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冒険は男の子のもの? ~多様性あふれるポケモンの世界~(2021年度弁論大会中学予選優秀作)

 みなさん、ポケットモンスターを知っていますか。ポケモンは、日本人で知らない人がいないほど有名です。
 また、ポケモンは世界でも人気です。近年話題になった「ポケモンGO」は、世界150ヶ国以上でダウンロードされています。
 1996年2月27日に発売されたビデオゲーム「ポケットモンスター 赤・緑」から始まり、現在まで約25年間もの長い間、愛されてきたポケモン。なぜポケモンはこんなにも有名で、世界の人々に愛されつづけているのでしょうか。
 私は、ポケモンには多様性があるからだと考えます。ポケモンには、これが正解であるという決めつけがないのです。
 ここでは、ポケモンの三つの多様性について説明していきたいと思います。
 まず一つ目。自分の分身であり、ゲーム内で活躍するアバターについてです。アバターの人種、性別、服装を自由に選ぶことができます。例えば、山本慈訓校長先生が青い目で白い肌の少年、髪型はモヒカンを選ぶこともできるのです。性別や服装には強さがなく、優劣もありません。そのため、自分の表現が尊重され、多様性が認められているのです。
 また、性別を選べるということは、「冒険=男の子」という既存のイメージを壊すものになっています。
 ちなみに私の場合は、小学校の時にアバターは女の子を選びましたが、今は男の子でプレイしたいと思う時もあります。しかし、女の子の服は種類が多いため、私はいろいろな服を着て楽しんでいます。
 二つ目です。一般的なゲームはストーリーをクリアすることなど、目的は一つだけです。けれどポケモンの目的は一つではありません。
 例えば、自分好みの可愛いポケモン――エルフーンやチラチーノなど、かっこいいポケモン――アブソルやルカリオなど、強いポケモン――ザシアンやカイリューなどを集めることを楽しむ人もいます。ちなみに私は珍しいポケモンである、色違いのポケモンを集めています。
 そして、バトルに勝つことを目的にする人もいます。この人たちはインターネットを使い、世界中のライバルとランクバトルで競い合います。このように、ポケモンはゲームの目的に縛りがないのです。
 これにより、ゲーム初心者でも上級者でも楽しむことができます。多様なレベルのプレイヤーが楽しむことができるのです。
 そして、三つ目はポケモンの生態についてです。ポケモンの性別はオス・メス・性別不明となっています。オス・メスに必ずしも分けられない現実の世界が表れています。また、ポケモンによっては進化によって形が変わっていくものもいます。しかし、その最終形態は一種類ではなく何種類もあることがあります。その進化には優劣がありません。例えばイーブイの場合はニンフィア、ブラッキー、エーフィなど、八匹の進化形がいます。ブラッキーは夜に強く、エーフィは朝に強いポケモンです。そのどちらが優れているということはありません。私たちはこれからいろいろな人生を歩みますが、どちらが優れているということはないというメッセージに感じられます。
 ここまで説明したように、ポケモンには多様性があるからこそ、今でも世界で人気です。しかし、最初は違うところもありました。例えば、ポケモンの最初のゲーム「赤・緑」では、主人公である自分のアバターが男の子しかなかったのです。なぜ今のポケモンのように、アバターに女の子がなかったのでしょうか。
 それは、最初の方で触れたように「冒険=男の子」という勝手な思い込みがあったからです。それが現在は、性別の思い込みから解放され、女の子も選べるようになりました。これからはポケモンの性別のように、現実世界により近い男女以外の性別という枠を選ぶこともできるようになるのではないかと思います。
 このように、ポケモンは多様性や思い込みをなくしていったことにより人気になっていきました。私には、ポケモンの世界が多様性あふれるキラキラとした星に見えます。また思い込みをぶち壊していく鋼にも見えるのです。

(中学1年生)

Photo by David Grandmougin on Unsplash

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