受験勉強について(数学編)【終末京大生日記34】

 具体的な勉強法の第一回は受験生が最もつまづくであろう数学をテーマに行っていきたいと思う。



 大学受験生にとって数学はまさに鬼門という感じだが、大学受験における数学は頭のよさよりも要領の良さを試す科目だと思う。私はバイトで中高生を指導していたことがあるが、頭のいい子になってくるとしばしば、自分が考えた非常に効率の悪い解法にこだわってしまうことがある。私は、「その解法だと複雑になるから、時間もかかるし多分計算ミスするよ」と言っても、彼らは自らが自らの意思を持って考えている感覚にこだわる。逆に要領がいいと、素直に最適解法を丸暗記するだけで、効率よく進められる。



 自分の考えの正しさを検証するというのは今後生きていく上で要領の良さよりも重要な行為ではあるが、残念ながら受験においては相性が悪い。そもそも、高校生が抱く疑問には高校レベルを超えているものがしばしばあり、例えば「数列の収束とはなんなのか」、「背理法や数学的帰納法のロジックはどうなっているのか」という疑問は、大学数学の集合と位相や、数理論理学という分野を学ばなくては理解できない。そこにこだわるのは学問好きの大学生くらいがちょうど良いのであって、今やることではない。



 さて、ここまで受験における数学という科目の特性を述べてきた。ここからは参考書を通じた勉強の流れを紹介していきたいと思う。まずは学校の授業を受けたり、塾の授業で教科書の内容を理解する。時間がある生徒は予習や先取り学習をするとなお良いだろう。続いて、"Succeed"や"4Step"などの教科書傍用の参考書。これをやって初めて覚えたことを自分で使う力がつく。この時点でおそらく日本大学とか東海大学とかは受かるレベルになり、Marchとかでも多少点数は取れると思うが、難関大受験生はこのままでは終わらない。



 次は定番、"青チャート"である。("Focus Gold"でも可)青チャートやFocus Goldの例題を解くことによって入試で使う定番手法を学んでいく。ちなみに、青チャートやFocus Goldの分厚い系は例題だけで1, 000問くらいあるので例題だけで中堅の問題は大丈夫だ。大学への数学1対1対応がこれらの分厚い系と同じ難易度だという話があるため、1対1で代用するのもありだろう。



 この時点で高校三年生の夏だったら、おそらく赤本27ヵ年などをできるだけやって終了という感じだと思う。これだけで、北海道大学や名古屋大学まではいける上、27ヵ年をやり込みまくったら京大も見えてくると思う。



 その上で、もしも時間が余っている人がいたら、"大学への数学スタンダート演習"が考えられる。大学への数学は数学の問題の難易度をA ~ Dでランク付けをしている。概ね京都大学の入試問題はB, C問題中心に構成されており、B問題全てとC問題を半分解くと合格できる。スタンダート演習は主にB問題とC問題で構成されており、これをやることによって合格に近づく。ちなみに、"標準問題精講"や"オリジナルスタンダード"でもいいらしい。



 ここからは、中高一貫校所属の人や浪人生、部活に入っていない人向けになると思うが、"大学への数学新数学演習"はおすすめである。新数演は主にC問題とD問題で構成されるため、これをやることで京大でも余裕を持って合格できる。私が思うに、スタ演・新数演のいいところは、毎年改正されるので入試界隈で流行っている問題がすぐに対応できることだ。私の代では確率漸化式全国的に大学入試で流行していたが、それももれなく入っていた。(ちなみに"上級問題精講"もありらしい。)



 以上で、おおむね数学の勉強法について話した。"やさしい理系数学"、"ハイレベル理系数学"の話はあえてしていないが、これは実際に全ての問題を解いた上でおすすめできないと思ったから抜いてある。どちらもあまり流行っていない問題や、入試に出そうもない問題が多かったからだ。たとえば、やさしい理系数学は確か、数字の番号を言って最後をいうと負けになるゲームの必勝法を探すゲーム理論みたいな問題があった。結構有名で面白い問題だが、近年の入試界隈でそのような問題は流行っていない。また、問題はハイレベル理系数学である。テイラー展開の話を例題で長々している箇所があるが、非常にわかりにくい。しかもテイラー展開とか多項式近似は大学1年生の範囲なので、普通に"マセマ"や"数研出版の大学の微分積分のわかりやすい教科書"を来年読むことをお勧めする。



(理系プラチカは網羅範囲が微妙に簡単で、青チャートとかと差別化しにくいので置いておきます)



 以上で一通りの流れは終わりだが、注意しておきたいことが2つある。まず、参考書をやるときは問題の答えを何も参照せずに全て記述できるまでその問題をやることが肝心であるため、解答を再現できない問題は何度でも解答の再現にチャレンジするべし。(ただし、無駄に複雑だったり、悪問だったりこの問題をやる意味がないと感じたら飛ばしても構わない)次に、問題の難易度が記載されている問題集は簡単な問題から解いていくことが肝心である。簡単な概念から吸収することでスムーズに学習できる。



 最後に、この記事を読んで受験数学という科目と適度に向き合って、数学という科目に苦手意識を持つ受験生が減ることを願っています。今回もご愛読いただきありがとうございます。面白いと思ったらフォローして、是非他の記事も読んでみてください。

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