日本は変わる?少子化問題について【終末京大生日記61】

 大学に入学して以来、私は周囲の人に対して、「こいつずれてんな~」と思うことが多くなった。それはおそらく、私が人口の少ない地方の公立高校出身であるため、大体都会の私立あるいは公立高校出身の人と価値観が異なるためだろう。

 少しエピソードを紹介しよう。例えば、京都の私立中高一貫校出身の大学の同級生が、「公立出身の人って3年しか勉強してなくね?」とナチュラルに言っていたのは「ずれすぎだろこいつ」と思った。もちろん中学から勉強しているし、公立高校の進学実績が悪い最大の原因は、高校受験のために大学受験で使わない科目(公民や生物など)を勉強させられたり、内容が軽めの中学の範囲を3年間勉強しなくてはならないペース配分の問題だ。それを根本から理解していなかったようだし、やはり偏見があるのだろう。

 また、仲の良かったこれまた大阪の私立中高一貫校出身の同級生は、私と一緒に鳥貴族に行ったとき食べきれないほどの焼き鳥とサイドメニューを注文し、残して帰ろうとして驚いた。私は、「食べ物の大切さを教えてやらなければ!」と思い、すべて食べ終わるまで3時間鳥貴族で粘った。ちなみに会計は結構額がいっていたから迷惑にはなってない。私は、自分で金を出した飯を残してよいと思っているそいつに、食べることは殺生だということを教えるために、今度、一緒に魚を釣ってお前が〆て一緒に食おうと約束した。

 まあ、二つほどエピソードを紹介したが、言いたいことは人は自分の育った環境によりバイアスを強く受けている。この世の中のたいていの人物はいい学校に行って、いい大学に行けばそうでない人生よりもあらゆる面においてよくなると思い込んでいるだろうが、私はそうではないことを知っている。京大に来るような教育を受けたからには、そうでない普通の水準の教育を受けた人がどういう生活を送っているかなんてわからないのだ。

 この話は大学だけにはとどまらない。生まれた地域にももちろん影響を受ける。それを一番強く感じるのはやはり外から東京に来たときだった。大学で会った東京出身の人はそうでない場合が多かったが、東京で生まれ育ち一度も東京を出たことのない人は、うっすら、日本とはすなわち関東のことであり、関東がすなわち日本だと思っている。彼らにとって、関東から離れることは、すなわち都落ちであり、彼らにとって地方とは流刑地である。(菅原道真かよ!)

 そんな彼らは、地方を見ていないゆえに地方のことが全く分からない。旅行で大阪や名古屋や金沢を訪れるくらいであり都市部や観光地以外の場所を知らない。そのため、東京一極集中で少子化になっていることに何も思わないのだろう。というか、そうなっていることに気づいていないのだろう。そこに自分や家族が住んでるわけでもないし、たいして縁もないから他人事なのだ。

 ここで、私が何を思っているかについてわかりやすくたとえてみよう。日本とは船のようなものだ。地方が船体で、東京が操縦席で一番高い。いま、船の底に穴が開き、今にも日本という船は沈もうとしている。しかし一番高いところにいる東京はそれにすぐには気づかない。高い、安全な場所にいれば大丈夫だろうと、東京の人は思うだろうが無駄である。結局船が沈めばどこにいようが同じなのだから。本当にやるべきことは船体の修復、すなわち、地方創成である。

 話は少し変わるが京大時代、私は大学の近くの百万遍の交差点で「京都市をその他の京都府から切り離し、京都市の高い税収で京都市だけ豊かになろう!」と主張している京都市長選の候補者をみた。私は「なんてひどい政策なんだ」と思ったし、その候補者は結局当選することはなかった。

 いま日本で、東京で起きていることがこれである。東京は集まった人口で高福祉を実現しているが結局人口が育つ地方から人を吸収して作った体制であるので、東京だけ最適化しても日本は沈む。そして先ほどの例のように、日本が沈めば東京も沈む。全く的外れである。東京都の高校無償化に千葉、埼玉、神奈川県知事が反対していたが、私も反対である。というか、無償化するなら東京よりも出生率の高い周りの3県だろと思う。

 京都府から京都市だけを切り出したように、東京都は日本から税収の高い部分だけを切り出した自治体であり、そもそも区切り方の矛盾から来ている問題な気もする。やっぱり、周りの、東京より人が生まれる埼玉などの県も行政単位としてまとめたほうが、人口のブラックホールに人が吸い込まれなくて済むのは明らかなのに。

 長々と書きつづったがそろそろ結論をまとめよう。今回は生まれた環境によるバイアスと、税収の高い自治体が自分たちだけを最適化することの二点について記述した。つまり、生まれてから関東を出たことがない人は衰退する地方が見えていないし、その中でも人口のブラックホールである東京が周りのベッドタウンを置いて福祉政策をするという非効率的な案を実行した点だ。関東は地方が見えていないし、東京は周囲の県が見えていない。そのため、自分たちを支える船の船体がボロボロなのに気づいていないのだ。この際だからはっきり言おう。東京にいるやつに少子化問題は解決できない!日本は救えない!変えるとしたら私は明石市の元市長の泉房穂さんのような人物だと思う。(もちろん私は彼の回し者ではない。本当に信じているから書いている)

 前回と同じく、私の主張は地方創成の一点張りだが、これを読んだあなたはどう思うだろうか?

 今回もパッションだけで2,300文字をキーボードにたたきつけた。私の思いが通じたのか、今日は3人もフォロワーが増えた!うれしい限りである。もし、この連載が面白いと思ったら、ぜひ、フォロー・いいねをお願いしたい!

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