受験勉強について(情報収集編)【終末京大生日記33】

 さて、33回目にしてようやく受験勉強の話をしようと思う。受験勉強の情報を提供するにあたり、読者に注意して欲しいことがある。それは統計的に情報を見ろということである。つまり、少数の情報や強くバイアスがかかった情報に影響されて受験をしてはいけないということである。

 具体的にどのような行為がNGか書いていこうと思う。まず、少数の情報に影響されてはいけないことを説明する。例えば、有名大学に合格した先輩が1人いたとして、彼または彼女の話を全て真に受けて合格を目指すというのはよくない。極端な例だと、その人が帰国子女で英語の才能があったり、逆に、数学や英語が非常に苦手で「数学は捨てていい」、「英語は捨てていい」などと過激な主張をしている場合が要注意だ。もしもこれを読んでいる方が進学校の生徒なら、なるだけたくさんの先輩に受験方法を伝授してもらうと良いだろう。

 以上により少数の受験情報で判断するとよくないことを説明した。そこで考えるのはどうやったら大量の受験情報が集まるのかということである。受験情報を集める上で"合格体験記"はまず真っ先に思いつくアイテムであるが、次はこれに焦点を当て、データのバイアスについて説明していこうと思う。バイアスのかかった情報とは何か?具体的にいうと、あなたの受験に際して、利害関係が発生するものの発する情報は基本的に危ない。例えば、河合塾、駿台、東進の出す合格体験記は、当たり前であるが「我々の塾に通うと合格できます」という内容しか書かれていない。合格体験記系は基本的に発行元を礼賛するような内容が採用されやすいし、逆に批判なんか間違っても載せない。これらの例は金銭というわかりやすい利益を基準にしているから非常にわかりやすい。別の例を見てみよう。例えば学校の発行する合格体験記はどうか?これもよくない。酷い例だと「我が校の方針に従えば合格できる。塾など必要ない」という主張が公然となされる。たとえ営利性の強くない組織といえど、生徒を集団としてまとめ、指導するという仕事のためには、自らを否定するようなことは書けないのである。

 以上を踏まえて受験生時代の私は見つけ出した。偏っていない情報を誰でも大量に集める方法をである。最もよかったのは"理3本"と呼ばれる東大の理3に合格した学生の受験体験記である。確か、家庭教師の会社が出版している本で、そこに登録した学生が合格体験記を載せている感じだったと思う。(ちなみに文系版の文1本もある)この本の何が良いかというと、有料であるという点である。塾が出している合格体験記は塾の勧誘が目的がメインの実質コマーシャルであるため、当然お金を払わずに手に入れられる。しかし、この理3本というのは2,000円程度で普通に本1冊買うくらいのお金を払わないと買うことはできない。これは何を意味するかというと、この会社は家庭教師の宣伝のために合格体験記を書かせているのではなく、普通に本を売ってそのお金を稼ぐことを目的としているのである。以上のように目的を設定しているため、「我が家庭教師を利用すれば合格できる」といった押し付けがましいメッセージもなく純粋な合格体験記を読むことができる(というか理3本の受験生は家庭教師よりユーザーではなく、有名進学校の生徒で鉄緑会などの予備校組ばかりだった)

 都市部の有名中高一貫校出身という彼らのバックグラウンドも驚くほど似通っていたし、彼らの利用していた参考書は驚くほど同じものばかりだった。多分受験の結論的なものがあるのかもしれない。有名校というのは親のパワーがメインなので、真似できないが、参考書くらいはいいものを使ったほうがいいだろう。一冊一冊自分でやって確認していてはキリがない。そう考えた私は結局「大学への数学」の問題集などをやって、最後には京大に合格した。

 
 以上により受験情報の正しい集め方を示した。肝心なのは少数の情報や、バイアスのかかった情報をあてにしないという2点である。それを実現するためにはたくさんの先輩に話を聞いたり、偏りのない受験情報が乗った文献を探すなどの具体的な方法が挙げられるが、もし「こういう方法を取ればさらに効率よく受験情報が集められる」という意見があるなら是非コメントに書くなどして欲しい。

今回もご愛読いただき誠にありがとうございます。面白いと思ったらフォローして是非今後の記事も読んでみてください。

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