蒲田健の収録後記:本谷有希子さん
“奥さん、犬は大丈夫だよね?”
本谷有希子さんの最新刊「静かに、ねぇ、静かに」
優し気な、しかし取りようによっては得も言われぬ不穏な空気も感じさせる、
不思議なタイトル。
スマホが急速に普及し、SNS社会ともいえるような状況の中、
コミュニケーションが円滑になっているように思える一方で、何かが
引っかかっているような違和感、異物感。
本谷さんご自身はSNSには積極的に関わっているわけではないという。
言わば外から見ている立ち位置。しかしだからこそ客観的に相対化して
その引っかかりを指摘できるということがあろう。
今回収められている三篇の作品はどれもそこはかとない怖さがある。
だがもしかしたら、この怖さを感じられなくなることが、もっともっと怖い状況
なのかもしれない。
「どっぷりと 中に浸る そのことが
周りを見えなく させてるかも」
P.S. 物語の中身はもちろん、タイトルや装丁、印刷などにも様々な仕掛けが
散りばめられています。是非お手に取ってじっくり味わうことを
お勧めいたします。
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