蒲田健の収録後記:荒俣宏さん
怪談とファンタジーは、頭の中での創作物という点において通底している。
荒俣宏さんの最新刊「お化けの愛し方 なぜ人は怪談が好きなのか」
古より、人のコミュニケーションが生まれるところには、不可解な事象、
現象が多かれ少なかれ含まれてきた。それらが伝承され、
やがて怪談というかたちで記録されるにいたる。
その多くの源流は中国であるようだ。したがって基本的な骨組みは
かなり共通していて、そこからの派生。そしてどの部分を
強調するかということで国や時代によって様々なバリエーションが
生まれる。
それは日本では、例えば上田秋成によって傑作「雨月物語」となり、
三遊亭圓朝によって人情噺の名作「牡丹灯籠」となった。
想像力の羽根を豊かに広げて分け入ることのできる空想の世界。
その意味において怪談に「怖い」という属性は必要不可欠ではない。
臆病な者でもアプローチ可能な、奥深い世界がそこに広がっている。
食わず嫌いは勿体無い。
「人として 愛して生きて いくことを
色濃く描く それが怪談」
P.S.収録日が偶然にも「幽霊の日」ということで、ここでも不思議な
ご縁を感じました。死んだ後まで愛してくれる健気な存在ともいえる
お化け。結婚するならお化けとしたい、と子どものころ思っていたという
話は説得力あり、ですねー。
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