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受骗了。/ 騙された。

shòu piàn le
受骗了。

「世の中にはカモる奴とカモられる奴の二種類しかいない」
馳星周の小説を評した一説にそんなことが書いてあった。悪い奴は太古の昔から存在し、善男善女は騙されるのが世の常というわけだ。今ではオレオレだの振り込めだの騙し方のバラエティも多彩だ。

ある中国語学習本の例文を見ると、

我在古玩市场买了一个花瓶,说是唐朝的。
(骨董品市場で花瓶を買ったよ。唐朝時代のものらしいよ)
这是唐朝的? 你肯定受骗了。
(これが? 絶対騙されているよ)

とある。眼力がなければ骨董市で買い物はできない。

さて30年前の北京では、駐在員相手のカラオケが流行っていた。値段は高かったが安心して飲んで歌えた。当時、先輩のNさんは、酒は飲めないのに「酒吧」·の「新規開拓」に果敢にチャレンジしていたのだった。高級店だけでなく、完全ローカル店へも臆することなく軽やかに突入していくのだった。

ある日、北京は東三環路、崑崙飯店あたりだったと思う。季節外れのクリスマスネオンのような豆電球(ある人はこれをイルミネーションと呼ぶ)が垂れ下がる、「前から気になっていた」というカフェへと入っていった。(どう頑張っても、カフェには見えない)

そこは、お姉さんと飲めるという触れ込みだったらしい。さすが先輩。

店内があまりに薄暗かったため、いざとなったらすぐ逃げだせる店外オープンエア席に陣取った。無造作に置いてある安物のプラ椅子に座る。しばらくするとやる気のない店員が注文を取りに来た。コーラを発注。

だが先輩の「勘」で、ここはダメだと判断。早々に会計をするとコーラは20元だった(当時のレートで約600円)。もちろんぼられたのだが、先輩は動じない。

コーラが20元というのはどう考えても高いのだが、絶対額として目くじらを立てるものでもない。どうにもやるせない気持ちになるのは、やはり騙されたと感じるからだ。

だがしかし、本当にお姉さんが出てきたら20元どころではなかっただろう。場合によっては、(物理的に)怪我をしていたかもしれない。結果的にコーラ20元は安かった。今でもそう思うことにしている。


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