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|012|三文字昌也/都市デザイナー/27歳

小説から研究書、図録集までジャンルを問わず本を読む雑食種です。最近では新書などをKindleで購入してサクッと読むことも増えたのですが、いつも手元に置いておきたい本は、できるだけ紙の書籍を購入するようにしています。

特に、海外に行くと必ず現地の本屋に立ち寄るので、そこで本を買うことが多いです。少しでも気になる本を見つけると、ここでしか買えないという焦りに襲われ全部買ってしまうので、だいたい飛行機の荷物制限を超過する羽目になっています。

そのようにして増えゆく本をどうするか引っ越しの度に悩むのですが、今の家では押入れをデスクにして、作業中にもすぐ本が取り出せるよう、奥に並べられるだけ本を詰め込んでいます。


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本の並べ方は、私の師匠のやり方に倣い、完全な背の順としています。背の順なんて本と本の文脈のつながりを無視した乱暴な並べ方だと最初は感じていたのですが、やってみると意外にそうでもない。

というのも、本のジャンルによって採用される判型に傾向があり、しかも国ごとに判型の規格に違いがあるため、背の順にすると自然とジャンルや出版国・言語ごとに書籍がまとまるのです。なんとなく覚えている本の装丁やサイズの記憶を頼りにスッと本を探すこともできて、なかなか気に入っています。


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自由に旅行できないこのご時世では、街の雰囲気が色濃く描かれた旅行記やエッセイに手が伸びています。いつか古本屋で見つけた藤原新也『台湾 韓国 香港 逍遥游記』は1978年初版のアジア旅行記で、黄色がかった装丁と写真がこの上なく美しい一冊。建築大叔(建築おじさん)を名乗り台湾で活躍する建築家の『建築大叔散步筆記』は、異常なほどの密度で都市の風景を描き出したスケッチ集。日本の都市も独自のコミカルなタッチで再現されており、新鮮な視点で日常の都市を眺められます。

本を通じて都市の人の生活に触れることもできます。橋本倫史『市場界隈 那覇市第一牧志市場界隈の人々』は、昨年建て替え工事が始まった市場で暮らす人々の生き様を克明に追いかけた一冊。最近中国で買ってきた中でとても面白かったのは、醉意葫芦(酔っ払いヒョウタン)というペンネームで書かれた『天下无摊』。タイトルを訳すなら“露天商なき世界”という感じでしょうか。長年都市管理行政の執行員を勤めた筆者により、露天商と筆者ら当局側との闘争エピソードがリアルに綴られています。中国現代都市の変化を現場目線で読み解きながら、屋台飯の描写にお腹を空かせています。

それぞれの著者の視点を通して、部屋のソファーから国内外・各時代の都市を観察する。街歩きができない特殊な時期ならではの読書を楽しんでいます。


●棚主プロフィール

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三文字昌也/都市デザイナー/27歳
1992年神奈川県生まれ。都市デザイナー、二級建築士。台湾への留学を経て東京大学大学院都市デザイン研究室修士課程修了後、2018年に合同会社流動商店を起業し独立。国内外で都市と建築の空間設計、計画策定、建築空間のリノベーション活用等の事業を行いながら、現在も東京大学大学院の博士後期課程で台湾の都市計画史の研究を続けている。
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