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#28|家具職人さんが来てくれた。(その1)

2月、底冷え本番を迎えた京都ですがわが社は快適そのものです。
ピカピカの家具、赤いカーペット、総じて照明の反射率が高くて、若干眩しいくらいです。もちろん毎日温かいわけですが、体感温度は気温だけではなく様々な指標があるうちの一つ(?)、色温度も実感中。

さて、盛況だった1月のオープンオフィスの報告、これを語らずして終われないということで、旭川チームが来京してくださったお話、2回に分けてレポートします。

前回もお伝えしましたが、今回のオープンオフィスのハイライトはなんといっても、2名の家具職人さんが、はるばる北海道から完成したオフィスを見に来てくださったことでした。

冒頭写真は左から近藤さん、大柿さん、松本さん、秋友さん


旭川の職人さんたち

北海道の中央に位置する旭川は、木製家具を地場産業とするまち。
歴史と実績ある木製家具の生産地です。今回の弊社家具(の一部)を制作してくれたのは、その旭川を拠点に家具デザインのお仕事をされている、siroro design studio の近藤俊介さんと、同じく旭川で特注家具の制作を請け負っている、有限会社ワカサ の大柿剛士さんでした。

siroro の近藤俊介さん(左)とワカサ の大柿剛士さん(右)

そもそものきっかけは、非常に短納期な弊社の無茶振りに対応するため。大阪のLLAMA FACTORY・秋友さんから、旭川のsiroro・近藤さんへの助っ人要請があったそうです。設計の松本さんが秋友さんに家具製作を依頼されたとき、日数的にも量的にもだれかの手を借りる必要があり、「信頼できるのはこの人しかいない!」ということで同じ旭川の家具メーカーで、同僚として一緒に働いた事のある近藤さんに相談。
もともと京都出身の近藤さん、大阪のプロダクトデザイナー・喜多俊之さん(なんと弊社も喜多先生の著書を出版しているご縁!)のところで働いていたこともあるそうで、独立後も同じ関西でやりとりがあったとか。


突貫工事の華麗なチームワーク

旭川チームの皆さんには、現場で造作や加工のいらない、いわゆる「置き家具」と言われる、デスク・本棚・収納棚の製作をお願いしました。素材はシナの合板です。

製作は、ワカサの若狭社長と大柿さんを中心に、木と暮らしの工房の鳥羽山さんにも手伝っていただいたとか。普段より、数と量のある案件だったそうですが、声を掛ければすぐに家具職人チームが結成される言わずと知れた木製家具のまち旭川、さすがです。

置き家具の作業分担は、デスク・本棚の仕上がりの品質管理と、現場での取り付け施工を行ったのが、LLAMA FACTORY・秋友さん。設計の松本さんのデザイン図をもとに家具製作確認図を描いてくださったのが近藤さん。そして現場で手を動かしてつくってくれたのが、ワカサさんです。

松本さんのレクチャーでも、細かく発注先が分かれて意思統一の難易度が高そうな相関図がでてきました。弊社社長、そして緻密な設計者・松本さんからも、あれやこれや要望があったであろうことは容易に想像がつきます。

siroro の近藤俊介さん

旭川と京都、1500km超の遠隔やりとりで、現場のデザイン指揮をとる近藤さんは要の存在。図面や、製作途中での写真確認などでキャッチボールを重ねて、なんと改修工事の施工開始日には近藤さんが旭川から赴いて、顔を合わせながら最終打ち合わせをしてくださっていたとか。製作するつくり手の顔が見えない、という不安要素を解消できるようにと近藤さんの隅々への配慮のおかげでこの家具たちが生まれたのか・・・。


なんだかすごい家具製作所だった・・・

さてこのレポートでも以前松本さんが投稿したように、
製作前には原寸大のモックアップパーツを作成してくださるという心配り。
仕上がりだけではなく使用感の確認もでき、社長も大満足(→ミリ単位の調整現場 #6)。

そんな注文の多い厄介なクライアントとの遠隔仕事でも、
「木製家具のまち旭川でも指折りの特注家具製作所であるワカサさんにお願いすれば、オーダー通りのデスクと本棚をつくりあげることに不安はなかった」と近藤さん。

そうなんです。なんでも、ワカサさんは現在もいろんな業界から特注家具の製作依頼が舞い込んでいるすごい会社。もともと材木屋からスタートしたワカサさん、ウェブサイトには「決して、できないとは言いたくない」と書かれてますが、その言葉通りクライアントの無理難題に答えているうちに、いつのまにか家具の製作所になっていたという。

ワカサの大柿剛士さん


京都⇔旭川の2人親方

そんな職人魂溢れるワカサさんとの間に入って、プロジェクト関係者全員に満足してもらえるよう、日々裏方で調整してくださっていた近藤さん。ほんとうにありがとうございます。そして途中の細かなトラブルは、秋友さんが現場で調整してくれていたことも、とても心強かったそう。この机や本棚、京都と旭川で2人親方システム(と言ってみたくなる)の賜物なんですね。

そして今回、自分たちの仕事の出来を確かめに、はるばる足を運んでくれたところにも並々ならぬ職人魂を感じます。同時にこちら使い手も、粗末に使ってはならぬと背筋が伸びます。

今の綺麗な状態を保つため、社長もことあるごとに「120センチより上にモノを置くのは禁止!」と張り切って触れ回ってくれています。

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