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タックルバランスを”理科”してみた

 春だ。
 気づけば都内の暖かい気候に桜も開花し、まとまった雨も降った。マルタウグイ釣りの本格的なシーズンも始まった…と思う。※行っていない。

 さて、タックルのバランスを考えてみることにした。というのも、スポーツでは、ストレスの少ないバランスを取ることがパフォーマンスの向上につながる。故にタックルバランスは釣りのパフォーマンスを考える上で欠かすことのできない要素だ。
 そこで、ロッドにリールを乗せた時のバランス…「重心」の位置に注目した。

バランス…。

 パフォーマンス向上を目指し、自身のタックルを検証してみる。

#スピニングタックルの検証

【検証①】往年の溺愛セッティング
ロッド:ハートランドZ 742MFS-ti06 震斬(ダイワ)
リール:15レブロス3012H(ダイワ)
→リールフットから8cm前に重心。《写真上段》

【検証②】怪魚系の万能スピニングタックル
ロッド:ディアモンスターMX-7S (モンスターキス)
リール:19ストラディック4000XG(シマノ)
 このロッドは、グリップを上下で入れ替えることが出来、次の2パターンで持ち感が変わる。どちらが最適解か?
<A>リールを上側から固定する”アップロック仕様” ※出荷時の基本形
→ リールフットから8cm前に重心。《写真下段左》
<B>下側から固定する”ダウンロック仕様”
→ リールフットから2cm前に重心。《写真下段右》

ハートランドもディアモンも8cm前に設計。※②<B>だけ例外?

 <B>の方がリールと重心の位置が近い。
 で、意識して<A>と持ち比べてみると…。なるほど、②の方が持ち易い(…気がする)。実戦でのフィーリングも大切なので、あとは現場でチェック。

 リールフットからの位置がダイワ社もモンスターキス社も共通している。どうやら意図的にリールフットよりも8cm前に重心を設計しているのではと考え始めた。リールフットに重心がくると思っていたから意外だった。

#ベイトタックルの検証

【検証③】ブラックバスからオオウナギまで獲った最多登板回数のタックル。
ロッド:ディアモンスターVALITUDO MV-65(モンスターキス)
リール:TD ジリオン HLC 100H(ダイワ)
→重心はリールフットから5cm前。《写真上段左》

【検証④】珍魚系のフィネスタックル
ロッド:ディアモンスターVALITUDO MV-55(モンスターキス)
リール」01カルカッタコンクエスト51(シマノ)
→重心はリールフットの中心から2cm前。《写真上段右》
ようやくリールの位置が重心にあるセッティングを見つけた。

【検証⑤】怪魚系の"エキストラ"ヘビータックル
ロッド:ディアモンスターMX-8+(モンスターキス)
リール:グラップラー301HG(シマノ)
→重心はリールフットより5cm前。《写真下段左》

【検証⑥】怪魚系のヘビータックル
ロッド:ディアモンスターVALITUDO MV-75(モンスターキス)
リール:21スコーピオンMD300XG(シマノ)
→重心はリールフットより5cm前。《写真下段右》

フィネス系のみ重心がリール寄り。しかし、他はほぼ同じ5cm前の重心で統一されていた。

 全て同一メーカーのロッドなので、メーカー間の比較検証はできていないが、
メーカーの意図で重心がリールフットより前に設計されていることに気づく。

#なぜ重心はリールフット付近ではない?

握って理解。よく考えてみれば当たり前のことだった。

握ると親指がきっちり重心をとらえる。これが設計者の意図か。

《スピニングタックルの場合》
 握ったときの重心はまさに重心をとらえていた。構造上、ロッドの下にリールがくるから安定感もある。

《ベイトタックルの場合》
 ベイトリールはキャスト時とリーリング時で握り方が異なる。
■キャスティング時
 キャスト時の握りは、トリガーの前に指1本をおく「ワンフィンガーグリップ」が基本。重心よりも後ろを握る。
 握力や手首の力に頼ることになるのは、重心をとらえていないからか。ただ、スナップを効かせた小技が出来るし、親指がしっかりとクラッチやスプールに乗るから、絶妙なサミングが可能だ。

グリップはワンフィンガーに合わせて設計されている。

■リーリング時
 リーリングの様式で握ってみる。ちなみにこの時はトリガーの前に指を3本おく”スリーフィンガーグリップ”が基本。リールを手のひらで包み込むからパーミングとも言われる。自然に人差し指が重心の位置をとらえた。

リーリングの時はパーミングする。ようやく人差し指が重心をとらえた。「そういうことか」と納得。

 つまりだ。ベイトタックルの設計はキャストではなく、リーリング時(もしくはファイト時)を基準におかれている。よく考えてみると、釣りの動作の中で大半の時間を占めるのがリーリングであるから納得。

 さらに、面白いことに気づいた。上の写真《上段右》を見て欲しい。近距離を狙うフィネス系のタックルを使うシチュエーションでは、キャスト時もリーリング時も握り方は同じことが多い。時にはスリーフィンガーで全てやり切る。つまり、このような使い方もするから、重心は他のタックルよりもリールよりに設計されていると考察できる。
 ロッドデザインの奥は深い…。

#我流の変則ツーフィンガーグリップが気持ち良かった理由

 ちなみに、流れのある川で釣りをする事の多い私は、手返しの関係でリールは左ハンドルを使い、変則ツーフィンガーグリップ(自称)でキャストする場合がある。何が変則的かというと、人差し指を前に伸ばしてロッドに添える点だ。感覚的に気持ち良くてこのスタイルに行き着いた。
 偶然かもしれないが、この場合、キャスト時も人差し指がほぼ重心の位置をとらえていた。「安定感」=「気持ちよさ」と考えると、そこにはちゃんとした理由があったようだ。
(なお、右ハンドルリールの場合は、人差し指を重心にかける事ができない。)

人差し指で重心を捉えるキャストも気持ち良い。
左:変則ツーフィンガーグリップは人差し指で重心をとらえてキャスト。何となく気持ちいい。
右:基本のワンフィンガーグリップ 

#ビッグベイトでワンフィンガーグリップはキツい。

 やってみると分かるが、重量のあるルアーをフルキャストする場合、相当な握力が必要になる。そして手首にかかる負担も大きい。個人的には、ツーフィンガーで、ガッチリと握っておいた方が安定感があり、負担も少ない。

ツーフィンガーグリップの方が強く握ることが出来る。
左:ワンフィンガーグリップ  右:ツーフィンガーグリップ

#今回分かったことをまとめてみた。

①タックルの重心はリールフットよりも前に設計されている。それは、握った時に手元に重心をおくため。
②【スピニングタックル】グリップ時に重心をとらえる。キャスティング時もリーリング時もバランスが良い。
③【ベイトタックル】重心はリーリング時の握り方に合わせて設計されている。故に、キャスティング時にはバランスが悪いため、手首に負担がかかる。

重心が動かないことで安定したキャストが可能になる。

④【ベイトタックル】我流の変則ツーフィンガーグリップではキャスト時に重心をとらえていた。※注 左ハンドル限定
⑤【ベイトタックル】ビッグベイトをフルキャストする場合はツーフィンガーグリップが推奨される。

 以上、「タックルのバランスを”理科”してみた」というか、「タックルの重心を”理科”っぽく検証してみた。」でした。

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