潜りのススメ〜2024夏〜
今年も夏は終わってしまったのか。近年の猛暑で「もう日本は亜熱帯だ」という声も聞くが、まだまだ冬は十分寒いので、そりゃ盛り過ぎだろと思う。そこで、まずは「この猛暑を楽しもうや」とはしゃいだ話。
スイミングスタイルで入水
ある日、いつかは釣り場に潜ろうと考えていたことを思い出した。でも、装備などを考えていたら始まらんので、まずは行動あるのみ。
さっさと入水することにした。
というのも、私は4歳から泳いでいる元競泳選手。現水泳部顧問のスイマーなのである。要は、水が全く怖くない(この油断はいつか命取りとなるのは確かだろう…)。
思いついたが吉日。スキューバでもなければシュノーケリングでもない。
スイマーである私には競泳ゴーグルを使うスイミングスタイルこそが一番気楽である。
ファーストダイブ@多摩川
最初に飛び込んだのは多摩川
ちょっとしたスモールマウスバスの新規ポイントでのことだ。ここ数年は近所の里川でのスモールマウスバス釣りをしてきたが、多摩川本流にて今年の春にポイントを発見。久しぶりに本流スモールマウスバスにハマった。ところが、初夏になると目視できる魚が減った。
好調だったポイントに何が起きたのだろうか。そこで、根掛かってロストしたルアーの回収も兼ねて潜ったのである。
サクッと潜り、ルアーの回収を終えたのだが、潜ったからには魚を探すのだが。
まず、肌で感じた発見は水温だ。
ほんの1m潜るだけで水温は大きく下がる。そして、冷たい流れの中に定位する魚がいた。流れに逆らうように泳ぎながら魚種までは確認する余裕はなかったが、コイとバスの姿が見えた。
セカンドダイブ@霞ヶ浦
続いて霞ヶ浦でチャネルキャットフィッシュのヌードリングに挑戦した。
産卵期の最中、オスのチャネルキャットフィッシュは岩の隙間で卵を守る。そして、侵入者には噛みつき攻撃を仕掛ける。かつて生徒との研究で、オスの頭の変形はこの噛みつき攻撃の為の顎筋の肥大にすることが判明している。
(↓詳しくまとめた記事はこちらから。アメナマ3部作の#2です。)
ヌードリングとは、自らの手で「侵入者」を演じ、この手に噛み付かせた時に、魚の顎を掴んで水面まで引き摺り出す魚獲りである。結果は、残念ながら1バイト0フィッシュであったが、何ともドキドキの経験であった。
さらに収穫があった。それは、水中での魚の気配だ。
気配の正体は「音」。
ズズズとかコココとか。生き物の息吹が伝わってくることが幾度もあった。ところで、正体不明のあの気配はナニモノか。
なお、多摩川での経験から、水温が高い場所は捜索をパスしても良さそうな気もしたが、貴重な1バイトは生暖かいエリアでの出来事だった。理由はいくつか考えられるが、ヌードリングでは水温を気にしないでいいのだろう。来年の挑戦に活かしたい。
あとは、授業で話したら生徒も来年やってみたいと言っていた。来年も面白い遊びができそうだ。
振り向けば◯◯がいた
さらに面白いことがあった。
それは水中で振り向いたら顔の横にコイがいたことだ。
驚いた気もするが、嬉しさが勝った。
釣り人としての経験では、コイほど敏感な魚はいない。普段は人の気配を感じるとロケットのような勢いで逃げるものだから、不用意に水辺に近づきポイントを潰されて苦い経験は何度もしている。
「まじか!」とテンションが上がり、コイの頭を撫でたら逃げた(←撫でることはできた!)。
大学時代に読んだ動物行動学の教科書に、上空を横切る影は本能的に逃避行動を引き起こす鍵刺激になっていることが書いてあった。今回の経験と合わせて考えると、コイは人の近づく物音よりも、水中から水上を観察しているのではないかと思った。
来年潜りたいのは琵琶湖の岩礁帯
淡水魚の宝庫といえる琵琶湖。
特に岩礁帯に棲むイワトコナマズやビワコオオナマズを見たい。また、ある程度深く潜るとウェットスーツが必要なほど水温が下がるとも聞く。水泳歴40年越えの私にとって「何の為に泳いできたのか」の答えは、どうやらここに繋がりそうな気がしてきた。
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