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都会の自然を発掘せよ〜とうとうサメに手を出した #1〜

 ついにサメを釣った!
 いきなり理科を無視した、魚釣りだけの物語を綴ってしまうのは、満を持して2年越しの”ドチザメクエスト”がようやく達成されたからである。
 物語は「釣れるよ」と言われる釣り場で、なぜか釣れずに冷凍アジを投げ続けた記録でもある。しかし、結果として色々なでっかい魚を釣ってしまうという楽しき珍釣行だった…と釣れたらなんとでも言える。

伊豆大島でサメを釣ろうとした

 サメ釣りのきっかけを遡れば数年前の夏に仕事で伊豆大島に行ったことだ。仕事なのだが、監禁されているわけではない。監禁的であると噂された大学時代の臨海実習にも、釣竿を片手に姿をくらませる隙はあった。
 狙いは夜。そこで時間的制約はあるが、軽い気持ちで大物を釣ってしまおうという作戦を立てた。

 夜になった。
 私は朝のうちに確保しておいた名前の良くわからない魚のブツ切りを、手持ちので一番でかいハリに掛け、大きな防波堤から大島の海に「ドゥブン」とぶち込んだ。サメとはどんなアタリなのだろうか。たまに海中から伝わる生命反応にいちいちドキドキする。

巻き直したナイロン10号が眩しい

 しかし、どうしたことだろう。
 あの夏の夜、伊豆大島の海は何の答えも出してくれないまま、静かに私を送り出してくれたのであった。

東京湾でサメ釣りだ

 伊豆大島での出来事を無かったことにした私だが、やはりサメを釣ってみたい。そんなある日、東京湾でもサメが釣れるらしいと知った。釣れるサメの種類はドチザメ科ドチザメ属ドチザメというドチザメでしかない魚だ。通称ベイシャーク。
 しかし、東京湾の釣り場については、よくわからないことが多い。そもそも首都「東京」の港湾はどこでも気楽に釣り竿を振ることは許されていない。それでも、場所はあるようなので調べ尽くした。何せ、沖縄では1M超のオオウナギをほぼ一投目で釣ってしまった“運のある”男だ。「何とかする」力は人一倍あるつもりだ。

素敵な夜景にフルキャスト

 2021年秋。私はお台場にも足を向けたが、早期決着を目論み「ドチザメが釣れるよ」と名高い”ふれーゆ裏”という川崎の釣り場に行き着いた。目の前には素敵な夜景が広がる。しかし、サメ釣り人の眼中にはない。餌の冷凍アジに夢を乗せ、「えいやっ」と30号(約110g)の重りをつけた仕掛けを黙々とフルキャストした。

夜景がステキ…よりも”サメ”釣りたい。

エイダラケ

 ここで、東京湾の底について報告したい。とにかくエイだらけである。お台場でも川崎でも。とにかく「勘弁…。」ってくらい釣れる。想像だが、彼らはどこからともなくヒラヒラとやってきて冷凍アジを頬張るようだ。しかも1Mを軽く超えてくる。とにかく大物なのだから、大変だ。リールの糸は一気に引き出される。
 それでも始めのうちは「やった!やった!!」となる。しかし、ほどなくして気付くのだ。「いちいち大変だぞ」と。

エイはデカいし広い。122cm。

 後から知ったのだが、水温の高い時期はエイの活性が高いらしい。確かに秋が深まるに釣れ、エイは釣れなくなっていった。でも、サメも釣れなかったからその真偽は謎である。唯一の期待は餌のアジに刻まれた噛み跡。
 これがサメのものだと信じるしかなかった。

サメの歯形と信じたい

 そして釣れないまま冬になった。正直な話、サメを釣りに行っているのか、餌の冷凍アジを投げに行っているのか分からなくなってきた。そこで、この年のドチザメ釣りを一旦辞め、次のシーズンに向けてリセットすることにした。

「釣れるよ」という場所で「釣れない」は悩む。

 認め難いのだが、どうやら運とかに頼るだけでは、ドチザメを釣れないようだ。

#2に続く。

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