(68)家族旅行

なんだか鬱々とした毎日だったんです。
次男が学校に行けなくなり、長男が「人生で一番の病み期で、衝動的に手首を切りたくなる」なんてことを言ったりする。

なんとか気持ちを立て直そうとしても、難しいんですよね。

私たちは多額のローンを背負います。だからとてもじゃないけど旅行なんてできる経済状況じゃなかったんです。

でもふと「ここから離れよう」って思い立って、主人に相談してみました。
主人も「いいよ」と同意。
貯金は減っちゃうけど、このどんよりとした毎日から脱したい。

選んだのは石川県和倉温泉。
選んだっていっても、直前で予約を取れたのがそこだけっていう話。
次男は大浴場が入れないんです、潔癖ボーイなので。
だから室内露天風呂付きで、四人で泊まれるお部屋、そしてお盆直前の週末で検索をかけたんです。

行ったのは、共立リゾート白鷺の湯能登海舟です。

最高でした。
コロナ感染者数が爆上がり中で、なるべく人と接さず、ただ静かに温泉に入って海を眺めるというコンセプトです。

海が静か。
波音もありません。湾内だからですね。
直前、石川県は豪雨に見舞われ、一部地域の方々は大変な思いをされていたようですが、和倉温泉はとにかく穏やかでした。

朝四時すぎ。
私は一人で大浴場に行きました。
誰もいない。
露天風呂の向こうには、夜明け前の海がただ静かに揺れていました。
私はお湯に肩までつかり、ただぼんやりと海と空を見ます。
あたたかなお湯が、ちゃぷんちゃぷんと皮膚に当たるのを感じて。
しばらく待つと、徐々に景色が白み、雲が朱色へと変わってきました。
水面に、まっすぐな光の道が通る。
そして、カモメが横切った。

ああ、本当に幸せ。
子供達のことが心配。
多額のローンも払えるか不安。
でも、今この時点では、私を悩ますものは何もない。

幸せ。

リフレッシュして帰ってきました。
問題は何も解決してません笑。
でもちょっと心が軽い月曜日です。

のどぐろ、うまかった〜。

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