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【開催リポート(後編)】導入から3年!ICTツール活用の悩みに向き合った大日向小学校のDX

前編に続き、後編では大日向のICTの歴史を紐解き、今後の展望についてもお話ししてくれました。

前編はこちら。

大日向ICTの歴史を紐解く

この後、大日向のICT活用の歴史を丁寧に説明してください説明してくれました。
とても丁寧にスライドにしていただいているのでそのまま添付します。

■①誕生そして拡大【情報部誕生前】

初年度の写真です。この椅子の数で足りるくらいのスタッフ数。
それぞれが「こんなの便利だよ」とまずは並べてみよう、と持ち寄った時期
一番大事にしたかったのが「共有すること」でした。保護者との情報共有にSlackが使われました。
生徒が使うアプリもたくさん試しました
初年度の振り返り

■②縮小と停滞【情報部誕生前】

避難訓練時の写真です。後ろに映るのが校舎で、後ろに森があります。生徒の数も先生の数も初年度より増えました。
ツールが増えることで自分にあったものが選びやすいというメリットがあります。
同時にいくつか問題も起きてきました。
それらを踏まえて、「ちょうどよさ」を探すことが始まりました。
どこにあったかなー?と探す必要が発生。
子どもの記録を記録をしようと思って、Googleドキュメントのフォルダを開く→シートをクリックする→「あれ?違った。めんどくさいなぁ💢自分のやりたい方法でやっちゃえ」が生まれたり。

■③整理整頓はいつも大切【情報部誕生後】

情報部が誕生する前は、小さなこと含め、ICTに詳しいあっきーさんに質問が集中していました。
あっきーさんもいろいろ整理して皆さんにわかりやすくしたいと思っていましたが、学校の業務も忙しく、そこに手が回りませんでした。
令和4年度から4人で情報部として活動が始まりました。
まず始めたのがツールの整理です。たくさんツールがあり、使い方にルールがなく、どこに何があるか分からない状態になっていた状態から、用途とツールを整理しました。
また、フォルダを作って分かりやすくするなども行いました。

キントーンを使うことで、児童情報を主軸として、児童に関する様々な情報が関連付けながらどんどん蓄積されていき、ここを見れば子どものことがより分かるようになる場所を作ったとのことです。
また、外に出しちゃいけない情報なので、アクセスするユーザーもアクセス権も明確にし、セキュリティを高められるキントーンを使うことで、安心して運用したかったという目的があったそうです。

■情報部のこれから、ICTのこれから、大日向のこれから

前職でキントーン導入にも関わったみっきーさん。
前職の経験で「キントーンを使ってもらうためにはシンプルさが大切」と痛感しました。
その経験から、アプリの最適化をすることに最初に着手しました。
最適化して、こんなにシンプルになりました!(一部のメンバーのみ使うアプリについてはアクセス権を設定して、他の人には見えない状態にした)
児童・生徒情報を適切に最新化し、他のアプリとの連携させています。また日々の記録も気軽に書き込めるように工夫しました。
スタッフが基本情報を見る時にどんな目的が多いかを振り返り、家庭への連絡先を確認することが最も多く、次に、家庭科や校外学習などで食べ物を口にする時にアレルギーがあるかを確認することがある、ということが分かり、データベースアプリに項目を追加しました。
今後も使いやすさを追求してアップデートをしていくと思います。
キントーンにログインした時に一番最初に表示されるポータル画面。
最も利用頻度が高い、児童・生徒情報をトップに配置しました。
また他のツールに繋がるリンクも配置してみました。
最近配置してみたばかりなので、スタッフの反応を見ながら適宜変えていく予定です。

■今後のキントーン利用について ー令和5年度にやっていきたいこと

令和5年度にやっていきたいことを整理しました。
まだ同じ情報がキントーンとGoogleスプレッドシートの両方に書かれている現状があります。
キントーンにログインする目的を作り、キントーンに慣れてもらえるような取組みをしたいです。
児童・生徒情報アプリに、より多くの情報を紐づけて蓄積していきたいです。「○○さん辞典」になるようにしたいです。
良さがあるからこそ複数使っているツール。そのメリットを活かし、デメリットを少なくするために工夫をしていきたいです。例えば「打ち合わせ用のGooglemeetのリンクが分からない時にあっきーさんに聞く」という状態から、「キントーンを見ればわかる」という状態にしたいです。

■今後の課題(ICT全般)

保護者との情報共有としてSlackを使っていますが、より使いやすくするためにツールの再選択、使い方の改善が必要になりそうです。
セキュリティを強固にする必要はあるものの、それにより利用するハードルが上がること、そのバランスを考えていきたいです。
児童はICTの活用が上手ですが、メディアリテラシーについて子どもと一緒に学んでいきたいと思っています。
キントーンについては、基本機能の活用を定着させること。情報を繋げる機能をより活用したい。
そして、引き継ぎとして、その年に使ったプリントやデータを集める場所として活用したい。
いろんなメンバーがICTを活用して進んできた4年間でした。
キントーンは、これからの活動に必要だと改めて思っています。

みなさんからの質問コーナー

質問コーナーに入る前に、サイボウズ中村から一言。

「日本において、イエナプラン教育をどんな風に実現しているかについては、みなさん大変興味を持っていると思います。
これほどまでにICT機器を活用しながら教育をしている状態は、未来の教育を先取りしていて、同時に課題も先取りしているんだと思います。
また、情報部という役割は、経営的な視点でも大変重要な役割なんですよね。
みなさんは他の役割と兼任だと思いますが、できれば専任の方が1人いるといいですよね。そうすると先生たちがより安心してお子さんに向き合う時間が増えるようになると思います。」

続いて、視聴者からの質問です。

Q.質問者
「皆様のような私立校とはちがい、公立校ではまだまだオンプレミス上でシステムの運用をしていく例が多数です。(ゆえに効率化が進まない例も見受けられます。)大日向小中学校の場合、様々なSaaSを利用しているとのことですが、基盤を持たずに全てのシステムをクラウドで運用しているのでしょうか。」

A.あっきーさん
「私も公立校の教員をやっていたのでよく分かります。私は校務支援システムが入り始める頃に公立校の教員を辞めたので今どうなっているかがよく分からないのですが、効率化が進まないというのも確かかなと思います。
教科書システムというものがあり、教員をしている方は馴染みがあると思うのですが。
エクセル上で使えるので使いやすいのですが、操作が重い、操作方法がわかりにくい、などありましたね。
校務支援システムがあるのではなく、いろんなツールを活用して、校務支援システムのようにして使っているというのが現状です。」

Q.質問者
「IaaSではなく、全てSaaSにした背景はなんでしょうか?」

A.あっきーさん
共有することが必要だったというのが一番だったと思います。
また、Googleのツールは開校前からスタッフが使い慣れていたというのがあり、それを今でも使っているということは、共有とか編集がしやすいから、ということなんだと思います。
コロナ休校の時には、遠隔から共同編集することができて便利でした。

また効率化が進まないという事例は耳に入っていますが、私たちは私立校だから小回りが効くという特徴もあるのではないかと思います。

「キントーンのアクセス権限設定 こんなこともできるよ」のご紹介

サイボウズ中村龍太より、キントーンのアクセス権限設定を使うとこんなこともできるよ、ということを紹介しました。360度評価をしている例です。

中村直樹さんを校長先生に見立て、全員の情報が見えている状態。
小林さんという別のユーザーで入った時には、小林さんに対して誰が評価をしたかという「回答者」に閲覧権限がなく、見えません。
レコードの中を見ると、「どちらとも言えない」という選択肢は見せるけれど、自由記述は見せない(回答者を特定できるかもしれないから)という設定など、細かく設定が可能です。
かなり細かい設定が、ノーコードで、設定画面のマウス操作でできてしまうというのがキントーンの大きな特徴です。他のツールでは難しいと思います。

Q.
保護者からの情報共有もキントーンでやる予定はないでしょうか?

A.
春に保護者にたくさん記入していただく資料や、子どもが保護者にプレゼンする、わたしプレゼンでも活用できるといいなと思います。

サイボウズ 教育分野における活動のご紹介

2022年度は三島市教育委員会と一緒に、ICTツールの活用を進めました。
(詳しい活動の内容について関心のある方は、サイボウズまでお問い合わせください!)
ワークショップ形式の講座もやってます。
こんな指導案もあり提供可能です!
「サイボウズらしいワクワクする子どもの学び場を創りたい」プロジェクトの紹介です。
詳細はこちらです。(https://note.com/cywakuwakumanabi/n/n65bdeab462f7)

最後に

あっきーさんより一言。
「大日向のICT活用を振り返るいい機会をありがとうございました。」

龍太さんより一言。
「来年度は”統合”まで到達しているんですかね。
また1年後に開催されることを楽しみにしております。」

今年度はどんな道が刻まれるのでしょうか。
次回の開催をお楽しみに!

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