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「ザナドゥおじさん」、執筆した時のあれやこれや④

※本文は、前回よりも更にうっすらネタバレを含んでおります。まっさらな気持ちで観劇を希望のお客様は、御観劇後お読み下さい。

さてメリーゴーランドの様に複数シーンを設定し、
そのシーンシーンに登場する固有キャストに情報を提示してもらう事で
16人全員にスポットが上手く当たる様にしてみた私ですが……。

複数シーンであるが故、
流れがぶつ切りになったり全体的なスピードが遅くなってしまう可能性がありました。
それでは全員が喋る時間を確保したとしてもキャラクターの魅力は乏しく、
「そんな役はいらないよ」
と役者に言われかねません。

どうすれば16役を全て魅力的にできるのか……。

そんな時、思い付いたんです。
(恐らく7月くらいの話)

自分の力ではどうにもならないのなら、
16人の役者の力に頼ろう
と。

そもそもピッカピカの長編作家一年生(43)である自分が
2時間以内におさまる、魅力的な16人が出る面白い芝居
を書き上げることに無理があった。
そんなスキルあたしゃないのよ。

ならば、
実力ある役者16人「ありき」で役を考え
彼らの個性を理解した上で物語に配置し
作品の魅力を増す手伝いをして貰えばいいのではないか、と。

そこで僕は16人の中から今回の柱となる、
【3人のペースメーカーと、3人のジャンルキーパー】
の役者6人を選び、配役しました。
勿論その後キャスティングが変更になる可能性は十分考えられましたが、
執筆上脳内キャスティングは必要だったのです。

物語の進行速度を守ってもらう為のペースメーカーは、
①遊佐・②亜音さん・③精さんの3人。
①遊佐は12年間僕の作品に付き合って来た役者です。僕が作品に望んでいる全体的な進行はよく分かっています。
②亜音さんは、数本出演作品を観ていましたが彼女の作品全体を保持する力には目を見張るものがありました。
③精さんは、舞台ドラゴンクエストライブスペクタクルツアーにて、1万人の客席相手に一人で大回ししていた人です、その胆力は間違いありません。

ストーリーの根底を作る研究チームに遊佐と亜音さんを配置。
対して精さんには、研究者チームとは対極のペースで登場する場所に配置。
研究所チームと精さんの2チームが一定の間隔で登場し、
全体のリズムを狂わぬ様にするのが狙いです。

奇しくも演技体の似ているこの3人に、
「ザナドゥおじさん」
のリズムを担ってもらう事にしました。

その後演出の島田さんがキャスティングを考えられた時、
島田さんの考えも僕がこの時考えていたものとほぼ同じでした。
きっと島田さんもこちらの意図を組んで下さったのだと思います。

で、ジャンルキーパーですが、
それはまた次回に。


老若男女問わず笑顔で楽しむ事が出来る惨劇をモットーに、短編小説を書いています。