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音楽への触れ方 ①

音楽への触れ方。①


 小学生の頃は音楽が嫌いで、というより音楽の授業が嫌いで、リコーダーも鍵盤ハーモニカも弾けなかったし楽譜も読めなかったから(楽譜は今も読めないけど)演奏テストの時はブラジル人の友達とサボりがてら教室で雑巾を丸めてサッカーをしていた。
合唱コンクールではずっと口パクをしていて、そのことが担任の先生にバレて怒られた事もあった。
テレビの音楽番組もつまらなくてすぐにチャンネルを変え、ラジオを聞いていても途中で挟む音楽はいらないと思っていた。

 そんな僕が今では音楽を愛してやまなくなった理由。
もちろん全ての音楽が好きなわけではない。むしろ耳に入れたくもない音楽は山ほどある。

 おそらくキッカケは中学校で不登校になった事だと思う。
引きこもりタイプの不登校だったのため、1日中家にいる。だから、ものすごく暇で、本や漫画を読んで、勃起したらオナニーをして、眠くなったら寝る。そんな底辺であり至高の生活を繰り返していると流石に飽きてきて、家の中を色々漁る。
結局何も面白そうなものや新しいオカズも見つからず唯一発見したのは独立した姉が置いていったCDだった。
特になんの意識もせずに本当になんとなく気の迷いだったのか一枚適当に手に取って、ニッセンで親が買った安いCDラジカセにセットして再生ボタンを押す。
 
 このCDがTHE BLUE HEARTSのTRAIN TRAINだった。
アルバムを聴き終える頃には僕はボロボロと涙を流して嗚咽しながら泣いていた。
特に11曲目の「青空」を聴いた時は、怒り、悲しみ、不安、恥、孤独、悲痛、絶望、希望、ありとあらゆる感情が同時に溢れ出し、この初めて感じるコントロール不能な感情をどう受け止めれば良いのか分からないまま、涙が枯れた後も暫くは放心状態でラジカセの前に座り込んでいた。

これが僕が初めて触れた音楽だった。
それから、姉の持っていたブルーハーツのアルバムを全て聴いて、さらにブルーハーツの甲本ヒロトや真島昌利が影響を受けた音楽をネット調べて、sex pistols、the clash、The Beatles、THE WHOなど片っ端から聴いて、どんどん音楽にのめり込んで行く。
意識するつもりはなかったけど当時は何故か洋楽しか聴かなかった。(今思うと勿体ない)

色々な洋楽を聴いていくうちにジャンルも幅広くなって、パンクから派生してグランジやハードロック、ガレージ、等々
中高生らしい歪んだギターの音楽を好んでいた。

 が、ここで僕の音楽道に横槍を入れてくるバンドが出現する。
そのバンドがRED HOT CHILI PEPPERSだ。
歪んだギターの正統派ロックもやっているが、僕が衝撃を受けたのは、ファンク志向の強い曲でキレの良いカッティングギターにうねりながらツボを押さえてくるベース、タイトでパワフルなドラム、ラップ調のボーカル。
全てが新鮮で僕の中で新たな音楽の道が広がった瞬間だった。
なによりRED HOT CHILI PEPPERSの凄さはライブにあった。アルバムの曲も高クオリティで披露して、それ以上に凄かったのは即興で進んでいくジャムセッション。
ジョンフルシアンテのギターとフリーのベースのセッションはただのギターとベースの掛け合わせとは思えないほど自然で、音の一つ一つ全てが一番良い音量で、一番良いタイミングで、一番良いコンディションで僕の脳を駆け抜けるようだった。
僕は音楽の気持ち良さ、心地よさを知った。

 

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