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外資系で「お前はクビだ!」は本当にあるのか?

「お前はクビだ!」

外資系に関して、そんな感じで人がすぐに解雇されるという印象を持っている人は多いかもしれません。今回の記事では、実際のところがどうなのかを解説します。

外資「系」は簡単に人を解雇できない

外資系であろうと日本法人は日本企業です。従って日本の法令を遵守する義務があります。なので、そう簡単に人を解雇できません。

だからといって絶対に「解雇」できない訳ではない

とはいえ解雇できないわけではないですし、私も何回も人が解雇される場面を目撃してきました。

解雇となるケース

私が目撃した範囲で、文字通り「解雇」となったのは次のケースです。

・業績不振によるリストラ
・面接や入社時点の虚偽申請
・著しいパフォーマンス不振(欠勤なども含む)

ただし、いずれの場合も解雇された人からの訴訟リスクを免れるわけではないようです。特に最後のケースは訴訟リスクが比較的高いようで、実際に訴訟を起こされているケースも目撃しました。逆にいうと、そうしたリスクを取ってでも、外資系では人を解雇することがあります。

解雇されるとどうなるのか

解雇された場合、それがリストラであっても、パフォーマンスの問題であっても、基本的に会社のリソースへのアクセスは速やかに削除されます。例えばリストラの場合(いつか別の記事で書くと思います)、個人のパフォーマンスは問題なく、正式な退職日は例えば30日後だとしても、会社のメールは数日以内に使えなくなっているようでした。

パフォーマンス不足など個人の要因で解雇された場合はもっと劇的で、別室で解雇を告げられると、デスクに戻ることもできず、社員証などを没収されバッグだけを渡され、その他の私物は後日配送、という扱いをされます。

いずれも解雇を告げられた人が報復措置に出るリスクを考慮した対応ですね。不正の三要素は「機会」「動機」「正当化」と言われますが、解雇された人は「正当化」の感情を強く持つので、「機会」を排除して不正のリスクを下げるということなのだと思います。

また、解雇理由にもよると思いますが、解雇となった時にはそれなりに手厚い金銭的補償がなされます。

実際は解雇という形を取らずに辞めさせられることが多い

外資系といえども解雇は難しいが解雇することもある、という話をしましたが、実際には解雇という形を取らずに辞めさせられることが多いです。

(1)暗黙のプレッシャーをかけられて退職を選ぶ

外資系はパフォーマンス評価が明確で、他の人との差もはっきりつけるという特徴があります。それはパフォーマンスに対するプレッシャーが強く、期待に応えられていないことが容易に自覚できることを意味します。

特に営業職はパフォーマンスが数字で表れるので、暗黙のプレッシャーをかけられて自ら退職を選ぶ人が多いです。

(2)公式なプレッシャーをかけられて退職を選ぶ

公式にプレッシャーをかけられて退職を選ぶ人もいます。外資系でも日本法人は日本の法律に守られて簡単に解雇はできない、と言いましたが、外国であっても同じような労働者保護の法律はあるので、好きに解雇できるわけではありません。ということで、訴訟リスクを抑えるために段取りを踏みます。

具体的にはまずパフォーマンス改善のためのプログラムを提供し、そこで改善が認められないなどのいくつかの条件を満たしたら解雇、という段取りを踏みます。このプログラムのことを「Performance Improvement Program」略して「PIP」と呼びます。

これも詳細は別の記事でいつか書こうと思いますが、PIPが走って退職する人もたくさん見てきましたし、逆にPIPが走ってもきちんと乗り越えて、その後も長く働く人も見てきました。

まとめ

・外資系と言えども簡単に解雇はできないが、
・解雇されるケースは確かにあり、
・解雇される時にはアクセス権は速やかに削除される
・実際は自発的な退職を促されて辞めることの方が多く、
・暗黙的なプレッシャーや公式なプレッシャー(PIP)として行われる
・PIPが走ったからといってクビが決定するわけではない

解雇は本人にとって大きな影響を与えますが、会社にとってもリスクがある行為です。法的リスクは別として、現在はSNSなどで悪評を広められるリスクもあります。

外資系企業もそうしたことを踏まえて、円満退社やそもそも辞めずに済むことを考慮しますが、いざという時にはやるということです。

最後にコメントしておくと、外資系は人材の流動性が高いので、仮に解雇となっても比較的次の仕事は見つけやすい、という特徴があります。なので、過剰に解雇を恐れなくて大丈夫ではないかと個人的には思います。

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