雲母刷り(きらずり)
継ぎ紙の体験会のための準備はまだ続きます。前回の続きです。
今回は、継ぎ紙の材料となる唐紙を作ります。今回も和紙づくりの作家でもある母に指導していただきました。
1.具引き(ぐびき)
薄めの鳥の子紙にドーサ引きし、胡粉と染料で色をつけてゆきます。ドーサ液のレシピは前回と同様。これを紙の表に3回、裏に2回塗って、乾いてから、胡粉と染料を混ぜたものを塗ってゆきます。
具引き用の胡粉のレシピは次の通り…
三千本を1本を水100ccで戻した膠液を30cc(残りは他の用途に使います)
胡粉80g(乳鉢で細かく擦ります)
これを、だんご状にしてから皿に叩きつけます。叩きつけを100回繰り返すのですが、これを「胡粉の百叩き」といいます。百叩きの後、お湯をヒタヒタに入れて5分程度待ち、さらに150ccほどの水で溶いてゆきます。
この胡粉液と顔料を適度に混ぜて、ドーサ引きした鳥の子紙に塗ってゆきます。乾いたらさらに表に3回、裏に2回ドーサを引いたら完了。
2.雲母刷り
板木は、母が彫ったものと板木屋さんに作ってもらったものがあるそうです。母は、裏表に彫られた板木を5種類ほど所有していました。
板木はあらかじめ水に浸して濡らしておきます。雲母刷りの雲母液のレシピは次の通り…
きら3
ふのり2
正布海苔
三千本1本
水は適当だそうです。これを乳鉢で擦ります。
3.具引きした紙に刷ってゆく
余分な水気をとった板木に、雲母液をポンポンとつけてから、具引きした紙を載せて、手のひらで押さえます。
擦り終えた紙は毛布の上で乾かして、完全に乾いたらさらにドーサを引いてゆきます。
こうして何度もドーサを塗られた鳥の子紙は、カチカチ、ゴワゴワの状態になるので、水で濡らして新聞紙に挟んで小槌で叩いて柔らかくします。
これらの工程全て終わるのにはそれなりに日数が必要です。書道用具店で、このような唐紙は1枚3000円程度から豪華なものは1万円弱もしますが、材料費やこれらの工程の人件費を考えれば頷けます。
平安時代には貴族でしか手に入れられなかった高価なものですが、今は私たち庶民でも楽しめるのですから、ありがたく、楽しく使わせていただきます。
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