金砂子を撒く
私が主催する書道教室「桃李会」で継ぎ紙の体験会を開きたいと思い、料紙や和紙人形の作家でもある母に講師をお願いしたところ、もう歳だからできないと断られてしまいました。代わりに、簡単な継ぎ紙の作り方を教えるから私が生徒さんに教えればいい、とのこと。ならば、教わりましょう。
ということで、まずは継ぎ紙の材料となる金砂子を撒いた料紙を作ってみました。
1.料紙にドーサを引く
「ドーサ」という言葉は知っていましたが「礬水」といういう漢字で書くことは知りませんでした。
ドーサの材料は膠と明礬です。膠は一般的に日本画で使用する三千本膠という細長い膠を使います。明礬は粒状になったものです。
ドーサ液の作り方はウェブで調べるとすぐに見つかるので参考にしてください。ちなみに、我が家のレシピは…
三千本膠1本
明礬小さじ半分くらい
水100cc
三千本膠はポキポキ折って瓶に入れた水に明晩と一緒に投入し、一晩放置すると、ほとんど溶けてしまいます。この状態ではかなり濃いので、用途に応じて適度な濃さに薄めて使います。
金砂子を撒くにはこの原液50ccを8倍に希釈して使います。
2.ドーサを引き金砂を散らす
金砂は本来は金箔を専用の道具「砂子筒」で細かくしてから撒くのですが、食用の金箔が手軽で、少量ずつ購入するにも便利なので、そちらを使用することにしました。
先ほどの希釈したドーサ液を塗りばけで料紙に塗っていきます。ムラにならないように、できるだけ均一に。そして、塗りすぎないようにうっすらと塗ります。
食用の金箔は、すでに細かくなった状態で紙筒に入っていてすぐに撒ける状態でした。ドーサを引いた料紙にパラパラと撒いてゆきます。紙の端のほうにも金箔が付いているようにしないと、紙が無駄になってしまいます。料紙は高価なので、できるだけ無駄が出ないようにしたいですね。
3.毛布の上で乾かして、金箔を押さえる
まんべんなく金箔を巻いたら、ウールの毛布の上でしばらく乾かします。半乾きくらいになったら、和紙を表面に載せて両手で押さえてゆきます。浮いている金箔もしっかり料紙に定着させるためです。
この時、ドーサがまだツヤツヤ濡れている状態だとせっかく蒔いた金箔が押さえる和紙の方にくっついてしまいます。金箔も高価なのでもったいない!逆に乾きすぎてしまうと、料紙につかない金箔ができてしまい、乾燥すると剥がれてしまいます。もったいない!濡れた感じがなくなって半乾きを見極めるのがポイントです。
押さえたら、完全に乾くまで放置します。料紙が乾いた後、紙のヨレやシワが気になるようでしたら、水張りをしてピンと伸ばしておきましょう。
今回、書道用品店で売っている色のついた料紙も使いましたが、母が草木染めで染めた料紙も使用しました。
手染めの料紙はさらに手間暇かかっているので、その分貴重なものです。金砂子をまいた料紙は、場合によっては1枚で数千円もするものもありますが、手間を考えると頷けます。
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