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【NUTS考察】そこにリスはいるか?

プレイし終えて考察記事がないか検索したら、ネタバレありでストーリーを考察している記事がほぼヒットしなかったので、巧拙はともかく書いてみることにします。あくまでも私が考えた私の趣味の解釈なので全然正解ではないと思います。

※この記事はNUTSとうみねこのなく頃にとライフオブパイのネタバレを含みます。

結末を見た方は、これ結局最後どうなったの?とほぼ誰もが思ったでしょう。自分なりにあれこれ考えたら大きく二つくらいにまとまりました。

①主人公生存説

どちらかというと恐らく製作側が想定してるのがこっちかなあと思ってます。プレイ後に博士の発言やこれまでにあったことを振り返ったら、一つのテーマのようなものが浮かんできました。

「ただ一人の生存者が語る虚実が限りなく曖昧な話」

私が知っている範囲で思い出した作品は、「うみねこのなく頃に」と「Life Of Pie」です。いずれも限りなくおとぎ話に近いような話が出てきて、真実は実はこうだったけど、あまりにも辛いことがあったので真実はファンタジーなおとぎ話で覆い隠されたという構造があります。
この話もこれに近いのでは?

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ラスト付近で急に「あなたの写真だけが証拠」と言われて、「博士ちゃんと記録持っといてよ!」と思ったんですが、たぶんそういうことではなくて、森が水没し、調査記録は何者かによって上書きされ、真実は主人公だけが知っているという構造にしたかったのでは?

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(そもそもこのねつ造記録を誰が博士に送ったのかという謎もある)

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エンディング中でプレイヤーが一番あっと思うシーンがこれだと思うんですが、サイモンのバギーと箱が流されています。
これが出てくるということは、サイモンは恐らく9割くらいもう生きていないでしょう。(新しいカメラを持ってくる話以降ずっと連絡がつかなかったのはほぼ確定事項なので)

エンディング曲の歌詞で「It is my own truth」というフレーズがあったように思ったんですが、主人公だけがあの森の本当の記録を持っている生き証人で、主人公しか知りえない真実(森の空気、リスたちの存在、隠された不穏な要素、博士の過去)があった、という話だったのかなと

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一応最後に乗り込む船はパノラマ社の銘が入っているので、パノラマランドが完成した時に使われる予定の船だったんでしょうということで、船が丘の上にあったことの説明はつきそうです。

でも正直、これで主人公がリスの方舟に乗って無事生還できたとしても苦難の道のりが待っていることは想像に難くないので、生還ルートはなかなか結末としてはビターだなと思います。(こんな生還を果たしたらマスコミやパノラマ社に追われるのは目に見えているし、真実を発表したらしたでそんなことあるわけがないとバッシングを受けたり…)

②主人公死亡説


個人的に趣味に合うのは実はこっちの説だったりします。

カメラが壊され、主人公が身体を張って調査することになってしまった終盤、主人公はがけ崩れに巻き込まれて崖下に落ちてしまいます。

ここからの展開、かなりありえないことが連続して起こっていて、崖から転落して以降は死にゆく主人公が見た夢だったのでは?ということにしても別におかしくはないくらいのリアリティしかない気がします。

その1:15年前から森の中に放置されていた電子機器がなぜかほぼ正常に動く

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キャラバンに残されていた電子機器、たとえものすごく丈夫にできていたとしても森の中に十数年放置されていたわけで、発電機など割と耐久性がありそうなものが動くのはまだギリギリわかるんですが、モニターやプリンターやカメラなどの精密機械は内部が露で錆びたりなどして動かなくなっていそうなものです。(ゲームで動いたのを確認したとき嘘!?と思ってしまった)

その2:食料なしの調査生活を続ける主人公

崖の上で調査をしていたときはまだ持ってきていた食料を食べて調査できていたと思うんですが、転落して以降は食べ物があるような環境ではなかったので、主人公はルートを見つけるまでの間、恐らく水だけ飲んでギリギリの状態で調査を続けていたということになります。(懐にカロリーメイトとか持ってたんでしょということにすればこのあたりは乗り切れなくもないですが)

その3:リスを追跡調査できるだけの体力や気力が残っている

崖から転落してたぶん多少負傷している上に、風雨にさらされながら何日もロクな食事をとらずに調査を続けるだけの体力って本当にあるんでしょうか…?(状況としては十分遭難していると思うんですけど)

そして最終盤、主人公はリスが川を渡るルートを突き止め、自分も枝からジャンプを試みます。
案の定人間の体重の重みに耐えられなかった枝は折れ、主人公は川に落ち…その後なぜか対岸で目を覚まします。
待ち構えていたかのようなリスの大群に導かれ船に乗り…
この一連の流れ、仮に真実であったとしてもかなり荒唐無稽というか、信じてくれる人のほうが少ないのではないでしょうか。

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私は崖から落ちて以降は仮にギリギリ真実だったとしても、枝から落ちた時点で主人公は死んで、魂だけがリスの船に招かれたエンドでもいいな…と思います。(枝を飛ぶことによってリスの仲間として認められたので船に迎え入れられた)

あとこれはほぼ完全にこじつけ以外の何物でもないんですが、最後の博士からの連絡にあった、「権力者を巻き込む」「向こう岸で会いましょう」というのはつまり…研究所を追われ、悲観した博士が何か自爆テロのようなことをするほのめかしだったりしないでしょうか。(これは自分で言っていてもかなり無理があるので趣味の話でしかないです正直)

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(無理があると言いながらも自分ではけっこう気に入っている説です。)

川を渡るという行為が、彼岸と此岸というか、あの世とこの世の境を越えるメタファーだったりしないかなと思ったりもするんですが、このゲームの開発スタジオはカナダにあるし、博士も地獄の炎がどうとか言ってるのでキリスト教圏の考えがベースにありそうだからその線は薄そうです。(逆に聖域と呼ばれている森側がむしろあの世に近くて、向こう岸が現世という考え方もできそうです)

キリスト教と言えば、洪水と最後の船に乗って脱出するシーンはノアの箱舟を連想させます。

主人公死亡説は、その後のあまりよろしくないであろう展開のことを一切考えなくていいし、綺麗に終わるのでこれはこれで物語としては割とアリだなと私は思います。

余談ですが、日誌を最後に取っているかどうかでエンディング分岐があったりしないかなと思ったんですが、やり直してもどちらでも変わらなかったので分岐はたぶんなさそうだなと思ってます。

ここまで主人公死亡説でも別によくない?と散々言っておいてなんですが、このゲーム自体が、無事に生還した主人公が持ち帰った日誌を元に後年に自分の体験を振り返ったものなのではないか、というのでも綺麗にまとまってるなとも思います。

一人でここまで考えてきましたが、やっぱり一人で考えるのには限界を感じるので、これを読んでくれた方が真実を解き明かしてくれることを願います。

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