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「自分にはまだ早い」という遠慮から「もう遅いかも」という焦りへ

中学生から陸上始めた人だったらだいたいわかるんじゃないかと思うんだけど、ロンタイってちょっとかっこいいじゃないですか。

ロンタイ

入部して間もない時期に記録会に行くと、自分は学校のジャージ短パンと白Tシャツ(名前刺繍されてるやつ)にゼッケンをとめてんのに、なんか速そうな人がロンタイ姿で練習してて、なぜか招集時間ギリギリにやってきて大物感を出している。
ロンタイって要するにロングタイツなので、別にそこまでかっこいいアイテムじゃないんだけど、速い人や身体が成長している人が身につけているからか、中1の自分からしたらロンタイ履いている人ってかっこよかったんですよ。
で、ロンタイにあこがれるわけだが、同級生も誰も身につけてないし、何なら先輩も持ってない。自分もまだ始めたてて足が遅いので、おいそれと身につけられるものじゃない。「あいつ遅いくせにロンタイ履いてる」とか思われたくないし。
あとまあロンタイってピッチリしているので男子は股間が気になっちゃいますよね。思春期だったもんで。

中2になると急に記録も伸びて、北海道大会に出れるようにもなったけど、「まだ早いかな」という気がした。
結局中3か高校入ってから買った気がする。

高校生になって、中学時の実績もあってようやく安心してロンタイ履いて練習できるようになったら、今度は、他校の速そうな人たちがスポーツ用のサングラスをしているんですよ。
いや、さすがにサングラス=かっこいいというほど単純ではないんですけど、「高校生がサングラスなんかしていいのか!」と衝撃は受けました。サングラスって、コーチがつけるもんじゃないのか。

まあ夏場のタータンは照り返しもきついしシンプルに夏の日差しはまぶしい。目を守るためにサングラスをかけているんでしょうけど、じゃあなぜ中学では誰もかけていなかったのか。
やっぱり「まだ早いかな」という気持ちがみんなにあったんじゃないか。
大学生になるまでサングラスはかけられなかった(東京行くまではそれほど必要とも思わなかったからでもあるけど)


こういう「まだ早いかな」という気持ちがいつまでもある。
髪にパーマをかけるのはなんだかまだ早い気がする。32だし全然していいと思うけど。
高い時計を買うのはまだ早い気がする。全然いいと思うけど、その辺にぶつけそうで嫌。
1万以上する寿司屋に行くのはまだ早い気がする。本当は行きたいんだが、1万払って失敗したらすごい落ち込みそうで嫌。

遠慮というかリスクにビビってるだけかもしれない。
失敗を積み重ねて大人になるもんじゃないですか、えぇ!?


30過ぎて、自分の振る舞いやあり方が年相応かどうか、というのが人生の課題意識としてどんどん大きくなっているんだけれど、ロンタイの話を思い返すと、昔からそういうことを気にしていたのかもしれない。
しかし、以前は「自分にはまだ早い」という遠慮だったのが、今になってみると「もう遅いかも」という焦りになってきている。
長年遠慮を言い訳に子供じみたことしかしてなかったツケが来てしまった。挽回できない何かがある。

徐々に挑戦するということをしてこなかったせいで、今から挑戦するとしたらいきなり崖から飛び降りるようなレベルになってしまっているのではないか。そういう事態に怖気づいちまってんだよなあ。

まあやってみればなんてことないことだった、というのはこれまでもたくさん経験しているので、遅すぎるこたぁ無いんでしょうけども。
なにかそういう機を逸した人々で集まって、お互いの背中を押し合う会開きませんか。

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