本を捨てる日

どちらかというともったいながりなので、使わなくなったモノがあれこれ部屋に残っている。捨て方がよくわからないという理由もある。
一方で、中学生の頃に読んだ上大岡トメ『キッパリ!』に「使わないものを取って置いたらそれに家賃を費やしていることになる」というようなことが書いてあったのがなんか妙に記憶に残っているので、時々はモノを捨てるようにしている。
今日は服をたくさん捨てた。学生の頃のピーコートなんてさすがにもう着ないでしょ。体型も変わっているし。
そして、本も整理を始めた。これから引っ越しをするのだけれど、たぶん今より部屋が狭くなるから。

本を読むようになったのは大学生になってからだったけど、本棚が充実していることに満足するタイプだから、これまで10年以上にわたって買ってきた本はほとんど捨てずに、引っ越しするたびにちゃんと運んできた。
そんな本たちには、自分にとって影響力の大きなものもあれば、そうでないものもある。
影響された本、思い出深い本はやはり手元に置いておきたい。
で、かさばるし当面読まないであろう本は実家にでも送ろうかと思ったのだけれど、見ていくと「本当にもう二度と読まないだろうな」という本がたくさんある。
大学1~2年生の頃に浜田山や渋谷のブックオフで安く買った新書たちがそうなんだけど、とにかく数をこなすために読んだ本で、言ってしまえば特に得るところのなかった本だ。
今読むとまた考え方も変わっているから新しい発見もあるかもしれないけれど、特に読みたい本でもないし、売ったとしても「今更誰も買わないだろ」という気がする。
そういう本を、思い切って捨てることにした。

今後も本を買っていくとしたら、定期的にそういう処分をするのもいいかもしれないと思った。何でもかんでも残しておくんじゃなく、血肉にならなかった本は捨てていく。そうして幾度の入れ替えを経て熟成した本棚には、数十年後どんなラインナップが残っているのか。ちょっと楽しみだな。

捨てるのも決意がいるけど、「これは読み返すから残しておこう」というのも、単なる現状維持ではなく決意して選択したい。
しかし、ひとたび「捨てる」という選択肢ができると、なんかほとんど捨ててもいいような気がしてきてしまった。
いらないものはキッパリ捨ててしまうのが古本の流通、ひいては出版業界にとって健全な環境になっていったりしないだろうか。

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