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【掌編】ミントの肛門様

時は江戸時代。ここはとある寺子屋で、あの有名な肛門様の講義の時間である。

肛門様がゆう。
「例えば、流行病ハヤリヤマイ。誰が第七波まで予想したじゃろうか? わしでさえ第六波で収束すると思っていたぞい!ほんにしぶといやつじゃ」

寺子屋の弟子達は、真剣な表情で従順に頷く。

肛門様は続ける。
「例えば、イクサ。誰がこんな誤ちを繰り返すと思っていただろうか? わしでさえ第ニ次が人類最後の狂乱だと思っていたぞい!」

寺子屋の弟子達はみんな、張子の虎のように頷いている。

「時世のせいか、最近の君たちはいつも俯き加減でかなりストレスが溜まっているようじゃ。今日はわしがそのストレスを解消してやろう」

弟子達は爛々と目を輝かせている。

「ところで六兵衛はどこへ行ったのじゃ?」

「はっ、なんでも姐さんの入浴時間だと言いながら、走って風呂場に行ったようです」と、お付きの助さんが答える。

「わしが大切な話をするとゆうておるのに、相変わらずのウッカリ者よのぅ。
 まあ、良い。助さんも聞きなさい。角さんも聞きなさい」

「ははーっ、待ってました」とお付きの角さんがゆうと、弟子たちも一斉に固唾を飲んだ。

すると肛門様は弟子たちに背を向けると、お尻を突き出し、
プ〜ッ!と大きなおならを一発かました。

爽やかなミントの香りがした。

寺子屋の窓から見える桜の木は一斉に花を咲かせ、雀たちは飛び回った。

「ミントにはストレスを解消する効果があるのじゃ。そればかりか美肌効果やデトックス効果もあるのじゃぞ!
 わしのおならは昔からミントの香りがするのじゃ!
 ん?どうじゃ?もう一発、嗅いでみるか?」

シ〜ン......
寺子屋の中は静まり返った。

「爽やかな空気じゃ!さっそく、効果が出てきたようじゃのう!
 くわーっかっかっかっ!」

寺子屋の戸に突き刺さった赤い風車カザグルマが、風に吹かれてクルクルと回っていた。


(ぱひゅん)



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