【SS】火星の冷蔵庫

ここは火星の会議室。
地球から帰ってきた１９人の小人たちの定例会だ。

小人α「地球人たちは我々が一度撤収したことを、ワクチンの効果だと思ってるようだな」

小人β「はい、議長。中には人流だったり天候のお陰だと思っているものもいるようです」

小人γ 「どれも的外れですな。俺たちが撤収する時、人流なんか全く減って無かった」

小人∂ 「ああ、彼らは知らないんだ。地球人の身体を媒体として生きていく僕たちは、定期的に増減を繰り返すしかないってことを......」

小人λ「俺はやだね。あのインフルエンサーＡやＢのように、冬の間だけ細々と暮らすような生き方だけはしたくない。次こそ大暴れしてやるぜ」

小人ω「まあ、落ち着け。地球人たちは、俺たちが個別単体で行動していると思ってるのさ」

小人α「そう、我々がこうして密に連携している事を、彼らは知らない」

会議室には、冷蔵庫のドアを開けた時のような冷気が流れた。

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