学会へ行こう!
はじめに
産業保健専門職として、学会に所属することとは、学会参加とはどういう意義があるのか、何をするものなのか、ということをつらつらと書こうと思います。あまり学会に行ったことがない方は、ぜひ学会へ行きましょう!
なお、産業保健職が参加を検討する学会集は「産業保健職が検討するべき学会集」にまとめていますので、ご参照ください。
*本稿では、専門家であることを強調する意図で、産業保健職を、あえて産業保健専門職と表現しています。
学術集会に参加すること
学会と分けるためには、「学術集会」と表記しています。
-ネットワークの構築
あえて、情報収集ではなく、ネットワークの構築を最初に書きました。他の記事でも繰り返し書いていますが、ネットワークを構築することは産業保健職にとって特に重要なことだからです。学術集会の場を活用して、積極的にネットワークを構築しましょう!待っていてはダメです、自分から積極的に動いていきましょう!
参照)「産業保健職のセルフケア」
-最新の知見の収集
定期的に発行される学術雑誌を読むことでも最新の知見は収集できると思います。ただ、学術雑誌は学術的な内容が多いため、すぐには実務に活かせないことも多々あります。しかし、産業保健の学術集会では実務的な内容が多いというのは大きな特徴かもしれません。特にポスター発表は、実務的に興味深いもの、明日からの実務に活かしやすいものが多いと思います。いずれにせよ、学術集会が、最新の知見、最新の産業保健活動を多く学べる場であることは間違いありません。
-相場感
先ほど、最新の産業保健活動を学べると書きましたが、ここで大事なことは「相場感」だと思います。産業保健活動は、各企業ごとで異なり、その活動内容は表には出てきにくいものです。そのため、どのくらいやることが妥当なのか、他社ではどうやっているのか、ということを知ることはとても大切です。絶対的であるはずの法令遵守事項であっても、企業ごとにその遵守レベルは様々だったりします。
学術集会からは話が離れますが、相場感の例で言えば、衛生管理者巡視をしているか、事務所則は遵守しているか、安全衛生委員会の実施状況や議事の周知はどれほどか、といったことでしょうか(これらのことを学術集会で確実に得られるということではありませんのでお気をつけください)。どの程度までやっていれば労基署が入っても指導されないのか、といったことも相場感として知っておくと非常に楽になると思います。
*法令遵守を否定するものではありません。
-リクルート
学術集会は、リクルートの場と言っても過言ではないでしょう。全国の優秀な産業保健職がごろごろいるわけですから、「ぜひとも我が社に!」「そろそろあの先生も定年だし・・・」「この地域で良いポストはないですかね」といった会話がばんばん飛び交うことも想像に難くないと思います(特に懇親会では・・・ボソッ)。どこにいったら良い産業保健職がいるのか、という質問をよくいただきますが、「良い産業保健職は良い産業保健職が知っている」のです。これはもう学術集会に行くしかないでしょう。
なお、某山田氏の言葉を借りれば、「使えない産業医は変えちゃいましょう」とのことですので、ぜひ良い産業医を学術集会でつかまえて、自分の担当している事業所に来てもらう、というのも全然ありですよね。
学術集会参加の楽しみ方
-名刺は箱で!
学術集会では名刺を配りましょう。バンバン配りましょう。その際に、名刺を切らすととっても恥ずかしいです。相手から名刺を頂く際に、自分は「名刺切らしちゃって・・・」と言わなければいけない瞬間はけっこう辛いです笑。なので、箱でそのまま持ってくるくらいの意気込みが必要です。50枚は最低持っていけるように、あらかじめ発注しておきましょう。ちなみに、「名刺は箱で!」と伝えていたら、こんな形で名刺を持ってきた方がいました笑
-お目当てをつくれ!
学術集会は、産業保健職の中で、有名人(レジェンド、重鎮)が多く集まる貴重な機会です。専門職なら誰もが知っている方が普通にその辺を歩いています(当たり前ですが)。みなさんもセミナーや研修会、書籍などで見て、お話ししたい、会ってみたいという方は一人くらいはいるでしょう。まあ、そこまででも、ということでも、抄録集をみて、ちょっと話したいなと思う方がいるかもしれません。ぜひそのようなお目当ての方をつくって、学術集会の会期中に名刺交換を目指してみる、というのも学術集会の一つの楽しみ方です。そういう方はだいたいセッションの演者かシンポジストか座長をしていると思いますので、終わりがけを狙って挨拶に行ってみてはいかがでしょうか?または、ちょっと知り合いに「〜〜先生に会いたいんだけど紹介してもらえませんか」と橋渡しをお願いしてみるのもアリだと思いますよ。一つ目的を達成したことで、学術集会参加の満足度はぐっと高まりますよ!
-最低一つは質問を!
学術集会に参加したのであれば、爪痕を残す!、存在感を示す!ということも楽しみ方の一つです。大きな会場で質問することはハードルが高いので、ポスター会場で質問してみるというのもありです。事前にポスターや抄録を見ておいて質問を考えておけば、そこまでアドリブ性は必要ありません。ポスター発表のプレゼン後の、ちょっとした時間を狙ってみるのもありです。発表演者側としても、質問されるということは、自分の発表に興味を持ってくれたということなので間違いなく嬉しいはずです(私はめっちゃ嬉しいです!)。質問といっても情報交換みたいなものです。発表演者はそのことについてとても勉強にしているはずなので、有益性の高い情報が得られることでしょう。
学術集会に参加した際には、質問を一つだけでもしてみてはいかがでしょうか?あえて自分の少し高いミッションを課しましょう。そのミッションをを達成することで、学術集会参加の満足度がぐぐっと高まると思いますよ!
-学会でお茶しよう!
学術集会開催中に、たまたま出会ってランチや夜ご飯を一緒に、ということでもよいかもしれませんが、最初の参加のときには、事前に知り合いと約束しておくとよいかもしれません。最近ではTwitterのオフ会として活用可能性も大いにあると思っています!
なお、地方の学術集会の場合は、会場周辺に食事処があまりないことも多く、ランチョンセミナーのお弁当に人が集まることも多いです。ここでの個人的なおすすめは、ランチョンセミナーを潔く諦める、ということです。朝からランチョンセミナーチケットに並ぶと疲れちゃうので、それは諦めて、ちょっと会場から離れていても、あたたかい名物のご飯を知り合いと食べる方が楽しいと思っています(思い出的にも)。また、ランチョンセミナーは、チケットがなくても入れるパターンもありますので、もしどうしても聴きたいセッションの場合にはチケットなしで参加する、ということでもよいかもしれません。
-流行を知る!
産業保健業界にも流行りというものがあり、学術集会の演題数やシンポジウムのテーマが毎回変わります。また、セッションごとの傍聴者数も変わり、人気のセッションは立ち見になったりもします。背景としては、労働者の働き方の変化や、法律が新しくできたことや、社会情勢などがあり、例えば、過重労働、禁煙、ストレスチェック、パワハラ、健康経営、ワークエンゲージメント、プレゼンティーズム、自律的な化学物質管理、ESG、SDGs、ダイバーシティ、LGBTQ+などなどです。流行りが去ったから産業保健上の重要性がなくなったということではありませんが、なんとなく業界的なトピックというものを把握する、みんなが何に興味を持っているのかを知ることも学術集会の楽しみだと思います!
-気合を入れすぎない!
学術集会はセッションが朝から晩までびっしり入っています。なので、あれもこれも聴きたい!と気合をいれすぎると疲れすぎてしまいます。身が持ちません。企業から出張費をもらっているから、レポートを書かなければいけないから、と責任を感じる方も多いと思いますが、ほどほどにして、肩の力を抜いて、学術集会をめいっぱい楽しみましょう笑。
-観光もセットで!
せっかくの遠出ですし、美味しいもの食べましょう。ちょっと近くまでぶらりと出掛けてみるのもいいと思います。お好み焼きとか、お好み焼きとか、お好み焼きとか・・・学び、よく遊び、よく学びましょう!(一休リンク)
それでは、次の学会でお会いしましょう!!
おまけ
学会の真の本番とも言われる懇親会で新しい知り合いをつくるコツについて
おまけ2
おまけ3
有料記事のようですが、産業看護職の方は一読の価値ありだと思います。
cocomiさんの記事です。
おまけ4
おまけ5
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?