ガチ産業医3

13.ブラック産業医という落とし穴

2018年頃から「ブラック産業医」に関するニュースがいくつか出てきました。

特にブラック産業医という言葉に定義はないのですが、個人的に考えるブラック産業医の要件は次の4つです

ブラック産業医の4要件
1.不当な解雇に加担する
2.労働者の体調を悪化させる
3.悪質な守秘義務違反
4.健康障害を見て見ぬふり

ニュースでは主に「1.不当な解雇に加担する」(クビ切りや退職に追い込む)という文脈でブラック産業医という言葉が用いられていましたので、この記事では「不当な解雇に加担してしまうブラック産業医という落とし穴」についてご説明します。

真面目に産業医活動に取り組んでいれば、ブラック産業医になんてなるわけないと思う方も多いと思います。しかし、悲しいことに産業医を悪用したり、産業医を使って退職に追い込んだりする事業者や人事担当者は現実に存在します。会社が産業医に給料を払っているのだから、会社の言う通りに(会社にとって都合のいいように)産業医が対応するべきだと言う経営者も存在します。実際に私も過去に以下のようなことを言われた経験があります。(イラストはイメージです)

画像1

「あの人を辞めさせたいのですが」
「復職できないって言ってくれませんか?」
「辞めてもらうしかないですよね?」
「労災(会社の責任)ではなく
 私傷病(本人の責任)ですよね」
「あの人は仕事ができなくてみんな困っています」
「うちにはそういう人を抱える余裕はありません」
「担当させる仕事がうちにはありません」

このような企業側の言動によって、意図せずに知らず知らずに「解雇に加担してしまうブラック産業医の落とし穴」に陥ってしまうのです。産業医は、たしかに企業からお金を受け取って業務を行いますが、独立した立場であるべきです。事業者に迎合したり、忖度したり、言いなりになってしまい、会社にとって一方的に都合の良い産業医意見を書くべきではありません。

また、産業医が解雇に加担してしまうことは、産業医自身が訴訟対象になるリスクを高めてしまう懸念もあります。

事業者や人事担当者などから、労働者を不当に取り扱うような言動があったとしても、産業医は毅然とした姿勢が必要ですのでご注意ください。産業医としてのマインドは過去に記事にしていますので、そちらもご参照ください。
産業医は就業を制限する存在?という落とし穴
「診断と治療をする」という落とし穴

こちらの記事・ブログにはブラック産業医にならないためのヒントも書かれていますのでご参照ください。
「ブラック産業医」の誤解を生まないために
 (ヒューマンキャピタルONLINE 石井りな先生)
ブラック産業医!?復職に関して産業医が訴えられる訴訟が発生
 (アセッサ産業医パートナーズ株式会社)




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?