フランスの古城で五右衛門風呂チャレンジ
前回の記事はこちら。
オランダ滞在を終えて、ベルギーへ。バスで移動し、ブリュッセルで2泊した。
寒くなってきたのでコーデュロイパンツを30ユーロでゲット。ヨーロッパでは中心地にもたくさん古着屋があるのが印象的。簡単に捨てない感じがいい。
とりあえず元祖(?)小便小僧も見れたし、王道のベルギー料理も食べれたので満足。
ブリュッセルからは約7時間かけて列車でフランス南西部へ。
今回フランスでの滞在をホストしてくれたのは、みわさんファミリー。みわさんは徳島の藍住出身で、直接の面識はなかったけれど神山の友人につないでもらったおかげで出会うことができた。共通の知人も多い。
みわさんは私と同世代で、20代半ばからフランスに渡り、親しい親族・仲間と団体を立ち上げてエコビレッジの運営を担う。藍を育てるところから、藍染作品の製作も行っている。
今回滞在させてもらったのは、みわさんファミリーが暮らす、小さなまちの小高い丘にある古城。17?18?世紀頃に建てられたらしいその城は、最上階や周辺など崩れた部分もありながらも、その場所にどっしりと構えている。昨年から少しずつ改修をしながら住んでいるという。
事前にオンラインで挨拶をした際、「普通の家に暮らす人にとっては決して快適な環境ではないと思うけど大丈夫ですか」と念押しされた。長らく田舎暮らしを続けてきたので多分大丈夫ですと答えつつ、いかほどかと結構ビビっていた。
結果、とても良い場所でした!
自分たちのペースで暮らし、働く
朝はそれぞれ9時頃から思い思いに朝食を食べて、10時頃から作業スタート。2週間の中で、いろんなことを経験させてもらった。ざっと思い出すままに書くとこんな感じ。
・野薔薇の伐採
・果樹の植樹
・マクワウリのザワークラウトとチリオイルづくり
・藍の種とり
・木材の釘抜き
・貯水タンクの藻掃除
・グリーンハウスの改修
・牛小屋(未来の図書館?スタジオ?)の掃除
・五右衛門風呂づくり
フランスではホームスクーリングが認められていて、6歳・8歳の天真爛漫なキッズたちは家にいる。勉強をしている時間もあれば、「手伝うーーー!」と元気に外に出てきて、トンカントンカン金槌を打ち始める時もある。にぎやかに時間が過ぎていく。
12時を過ぎたくらいに、キリの良いところで午前の部が終了。
ランチが一日の中心かと思うくらいしっかりたっぷりつくって、フランスワインやシードルなんかも開けちゃったりして、ゆったりと食事を楽しむ。
ごはんをつくる時間も合わせると2時間くらいランチタイムかな。
しばらく休憩して、15時半頃からいそいそと午後の作業を再開する。18時頃には陽が落ちて手元が見えにくくなってくるのでその日の活動を終える。
みわさんたちは普段の夕食は軽く食べる程度らしいけど、私たちがガッツリ食べるのとみわさんのお義母さんも滞在していたのとで、この2週間はガッツリ食べる日が続いた。クリスマス前だしねーと言いながら、スープから始まるフランスの美味しい食卓を囲む。
21時頃には各々自室に戻り、静かに夜を過ごす。ちびっ子たちの元気が有り余っていて遊び相手に駆り出されることもしばしば。
Wifiがなくて無尽蔵にスマホを使えないので、読書が捗った。本棚にあった恩田陸さんの『麦の海に沈む果実』と石田衣良さんの『うつくしい子ども』を一気読み。小説はもっぱらkindleで読むようになったけど、手のひらサイズの文庫本もやっぱりいい。
そんな感じで、毎日その日の天気や体調などと相談しながら活動内容を決めて、わいわいと作業してまったりとご飯を食べて。一日があっという間に過ぎる。暮らしを真ん中に据えたみわさんファミリーの生き方は清々しい。
五右衛門風呂つくっちゃおう
お風呂はあるけど温かいお湯が出なくて、お風呂に入ると逆に身体が冷えてしまった。体温の高いフランス人たちはそれでいいかもしんないけど・・・我々にこれは結構ツラい!こちとらお風呂大好き日本人ですねん!
転がっていたドラム缶を見つけたので五右衛門風呂をつくれるんじゃないかと、自宅の庭で五右衛門風呂製作の経験のある夫が発案する。意気揚々と準備を進めていく。
錆びついたドラム缶を磨き、穴をパテで埋め、ブロックを積んで設置場所を用意。試しに井戸水を注いだところ、水圧で一箇所パテが取れてしまった。リベンジを誓うも、時間切れで完成まで持ち込めず。
お風呂入りたかったー!みわさん、あとはよろしくお願いしますー!
アイデアマンのジュルさん(みわさん夫)と、やってみよう精神のみわさんたちに影響されて、私たちも自宅を良くするアイデアが色々と膨らむ。ゲストを迎えられるように竹林か車庫近くにトレーラーハウスを置こうか。いや、搬入できないから木で組み立てるか。手付かずの朽ちたトイレを復活させるといいかも、などなど。
いろんなやりたいを貯めておいて、然るべきタイミングでやれるといいな。
つくれることの豊かさ
地域のマーケットに行った帰り道、近所の酪農家のところへ寄って牛乳をいただく。2リットルで2ユーロ。乳脂肪分40%だとか。生クリームじゃん!
これがあれば理論的にはヨーグルトもバターもチーズもできるのよねー、とみわさん。帰宅してから早速ヨーグルトを仕込んでいた。チーズ作りにも挑戦しているそう。すごい。
夫のジュルさんは食べられる野草にも詳しくて、ささっと10種類ほどの野草を摘んできてサラダにしてしまうのも尊敬しかない。
神山に来たばかりの頃、県外出張に行った道中でお土産に美味しそうなジェノベーゼソースを買おうとしたら「ジェノベーゼソースなんていくらでも作れるじゃん」と同僚に言われて衝撃を受けたことをふと思い出す。
恥ずかしながら、自分にとってこれまでソースやドレッシングの類はもっぱら買うもので、材料が何でどうやってつくるのかなんて考えたことがなかった。
7年経った今では、夏には庭のバジルでジェノベーゼを楽しむし、青ジソでアレンジしたり、冷凍保存でストックするようにもなった。ドレッシングも家にある調味料でいろんな味が作れることを知ってから、ここ数年は買っていない。私もちょっとは成長したねぇ。
みわさんたちは野菜の種をとる。ザワークラウトをつくる時にマクワウリの種を丁寧に剥がして、数日後にポットに植えた。暖炉のそばには乾燥中のカボチャの種が並んでいる。
ガーデンには勝手に種を落として自生した野菜たちもいる。ここの畑は畝がなく、明確にエリア分けされずに勝手に育ってる感じで、年中なんとか野菜が取れてるという。
種をとることと年中野菜ができる状態にすること。私はその2つをやりたいと常々言っていたけど、「狭い畑で種になるまで待ってると次の季節の野菜を育てられないから無理」だといつも夫に諭されていた。
農業の経験がある彼が言うのだからそうなのかな、とそれ以上のことを言えずにいたのだけど、みわさんたちがそれらを実行している様子を目の当たりにして彼の認識が変わったのは個人的には大きな収穫。「ただの理想だと思ってたけど、できるんだね」と。しめしめ。
あっという間の2週間。環境や経済の在り方に強い危機感を持ちつつも、冷静にそして着実に自分たちのできることを続けていこうとするみわさんたち。大事なものをたくさん受け取った気がします。
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