夏の季語「吹流し」(季節を味わう#0005)
世界で一番短い詩、俳句。
「季節を味わう」では、毎月第2水曜日に季語を一つピックアップ。
その季語が使われている俳句も紹介します。あくまでも私の好みで。
【吹流し】
吹流しとは、気流の向きや流れを目視で確認するための設備で、古くから魔除けの意味でも用いられています。
子どもの成長を願って飾るこいのぼり。一番上になびく吹流しはまさに魔除けの意味を持っています。
吹流しに使われている5つの色、赤、青、黄、白、黒は、古代中国から日本に伝わった陰陽五行説ではそれぞれ、火、木、地、金、水を意味しています。自然界の全てはこの5つの要素に含まれていると考えられていることから、この五色には重要な意味があると言えるでしょう。
ただし日本では黒が好まれず、紫や緑で代用する場合もあるようです。
雀らも海かけて飛べ吹流し 石田波郷
五月晴れの空に、風をうけて勢いよく泳ぐ鯉のぼり。
古代中国では、鯉は急な滝を登りきると登竜門をくぐって龍になると言われていました。その故事にちなんだ鯉のぼり。私はこの句から、日頃身近にいる小さな鳥である雀たちも、海に向かって飛べばもっと大きな存在になりうると励ましているように感じられます。石田波郷さんは自身に子供ができたことがきっかけでこの句を詠まれたそうです。ご自分のお子さんを小さな雀に見立て、未来に向かって羽ばたくようにと詠んだのかもしれませんね。
【補足】
吹き流し以外に端午の節句に関する季語をいくつか挙げておきます。
・鯉のぼり
・矢車
・兜
・兜人形
・武者人形
・菖蒲
(2023年5月10日)
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