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行事・催事の俳句 5月(季節を味わう#0058)

世界で一番短い詩、俳句。
2024年度からは毎月第3水曜日の「季節を味わう」で その月の行事をピックアップ、関連する俳句をご紹介します。
さまざまな行事・催しの中から私の好みで選びました。


【こどもの日】

写真:mさま

5月5日。国民の祝日の一つで、端午の節句とも呼ばれます。
子供の人格を尊重し、子供の幸福を図る目的で昭和二十三年に制定されました。

子供の日小さくなりし靴いくつ   林翔


お子さんが誕生すると、ご家族はお宮参りや初節句など、さまざまな行事や節目ごとに喜びを感じることと思います。
お子さんの成長は早いもの。
ついこの前、初節句を祝ったと思ったのに、もう何度目のこどもの日でしょうか。
もうサイズが合わなくなった靴がいくつ靴箱にあることか。とはいえ思い出もあり、一気に捨てる気持ちにもなれない、といった句でしょうか。
子どものいない私には推測しかできませんけど。

【母の日】

写真:schun様

5月の第2日曜で、母に感謝をする日。一般的に赤いカーネーションを贈ります。
アメリカの一女性が亡き母を忍んで白いカーネーションを配ったことに由来します。のちにウィルソン大統領によって「母の日」に制定され広まりました。
日本には大正時代に伝わりましたが、定着したのは戦後です。
カーネーションの花言葉は「母の愛情」です。

母の日のきれいに畳む包装紙   須賀一惠

母の日のプレゼント。
日本の包装は元々美しいものですが、最近では母の日限定の綺麗な包装をしてくれるお店も多いです。
私はこの句に詠まれた母はある程度年配の女性のように感じます。
母の日のプレゼントの綺麗な包装紙を破ってしまわないように綺麗に剥がし、丁寧に畳む母。その手つきには、愛情を込めて育てた我が子からの贈り物を、心から喜んでいる様子が伺えます。そんな母の姿を見つめる子どもの温かい視線を感じる句です。

以上はこの句を子どもの視点で詠んだものとしての解釈。
この句を、プレゼントをもらった母の立場で詠んだものと解釈すると、
「こんなプレゼントをくれるようにったのね、あの子も成長したのねと、しみじみしながら包装紙を丁寧に畳んでいます」という解釈です。
親と子、どちらの視点で味わっても感慨深い句だと思います。


「季節を味わう」は大阪府箕面市のラジオ局 みのおエフエムの毎週水曜日午前11:30と午後8:40から放送しています。
パソコン・スマホで全国から聴取可能。下記QRコードからお聞きください。

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