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冬の季語「七五三」(季節を味わう#0031)

世界で一番短い詩、俳句。
「季節を味わう」では、毎月第2水曜日に季語を一つピックアップ。
その季語が使われている俳句も紹介します。あくまでも私の好みで。


【七五三・千歳飴】

11月(冬)の季語です。
「七五三」はお子さんの健やかな成長を祝い、祈願する日本の伝統行事で、平安時代に宮中で行われていた三つの儀式「髪置きの儀」「袴着の儀」「帯解きの儀」が起源と言われています。
医療や衛生面が未熟だった昔は早逝する子どもが少なくなく、「7歳までは神のうち(神さまの子)」と考えられていました。
無事に育ってくれた、これからも健やかに育ってほしいという願いのこもった行事「七五三」にまつわる句を二つ選んでご紹介します。

人の子の育つは早し七五三  関千世

全く、その通り!
「えっ!ついこの前“産まれました”のお知らせをいただいたばかりなのに?!」
「えっ?もう小学校に入学?」
私は出産・子育ての経験がありませんが、育児経験者も、人様のお子さんの成長は早いと感じるのでしょうか?
きっとご自身の育児は当事者として日々大変な思いをされているので長く感じるのかもしれませんね。
いずれにしても、お子さんの成長は喜ばしいことです。


千歳飴一段ごとに音たてて  岩﨑俊

七五三の象徴のような千歳飴は、伸ばすとどんどん伸びるあめの特性を生かして作られるお菓子です。
「長く生きてほしい」「粘り強く健やかに成長してほしい」という願いを込めて、千年飴と名付けられたものが、のちに「千歳飴」と呼ばれるようになったのだとか。
千歳飴は最長1mまで、太さも15mm以内と決められています。

小柄なお子さんにとって千歳飴はとても長いもの。
神社の石段を登る時、持ち上げきれず、一段ごとに千歳飴を段にぶつけてしまう光景が目に浮かぶ、微笑ましい句です。
「七五三」の傍題としてご紹介しました。

(2023年11月8日)


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