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行事・暦の俳句 6月(季節を味わう#0063)

世界で一番短い詩、俳句。
2024年度からは毎月第3水曜日の「季節を味わう」で その月の行事や暦をピックアップ、関連する俳句をご紹介します。
さまざまな行事・催し・暦の中から私の好みで選びました。


【入梅・梅雨入り(つゆいり・ついり)】

毎年6月11日ごろに当たるものの、必ずしもこの日から梅雨が始まるわけではありません。(今年の入梅は6月10日でした)ここから夏至の頃までが梅雨、雨が続くと気が滅入りますが、農作物にとっては恵みの雨です。この時期、いわしやアナゴなどの海産物、梅や赤じそなどの果物・野菜が旬を迎えます。この時期が旬の食べ物には、カリウムやビタミン類など、夏バテを防止できる栄養素が豊富に含まれているので、旬のものを食べて梅雨を乗り越えましょう。

入梅や墓さむげなる竹のつゆ          飯田蛇笏

入梅の日、雨の中のお墓参りでしょうか。
雨に濡れた墓石、近くの竹林の竹の葉に宿る雨粒、いかにも肌寒そうな光景が目に浮かびます。

紅さして梅雨入の憂さを払うべく   稲畑汀子

綺麗な色の口紅を塗ると、それだけでなぜか気分が上がります。
私は先日、久しぶりに鮮やかな色の口紅を買いました。
コロナ禍の3年間、私は口紅を塗らなくなっていました。せっかく口紅を塗ってもマスクで隠れてしまうのだし、マスクの裏側に濃い色の口紅がベッタリつくのも嫌でしたから。外出時に口紅を塗る場合も、淡い色、地味な色の口紅かグロスを塗るだけ。
今も電車に乗ったりするとマスク着用していらっしゃる方をお見かけしますが、以前のように「マスクしていないの?!」という冷たい視線を浴びることはほぼなくなりました。
そこで綺麗なローズ色の口紅を新しく買って唇に塗ってみたら、思っていた以上に気分が高揚しました。
ああ、今日から梅雨入りか、という物憂い気分を振り払うべく紅をさす…
「そのお気持ちよくわかります」と、思わず声をかけたくなるような句だと思いました。
ちなみに、稲畑汀子さんは高浜虚子のお孫さんだそうです。


「季節を味わう」は大阪府箕面市のラジオ局 みのおエフエムの毎週水曜日午前11:30と午後8:40から放送しています。
パソコン・スマホで全国から聴取可能。下記QRコードからお聞きください。

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