弱くても「狙えば」勝てます! ざっくりわかる「ランチェスター戦略」
経済バラエティ『がっちりマンデー!!』(毎週日曜あさ7時30分~放送中/ TBS系)をもっと深く楽しめる、『がっちりスクール!!』。
お金やビジネスについて、一緒に学んでいきましょう!
今週の内容は、番組がスタートした2004年の『儲かりマンデー!!』の時代から番組を15年率いる大松雅和(オーマツ)チーフディレクターが、番組や記事に登場したビジネス用語、儲けのしくみについて私見を交えて"ざっくり"解説していくコラムです。 『がっちりマンデー!!』では、毎週特定のテーマで経済やお金にまつわる内容を作り続けてきました。儲かり企業のトップにもたくさんお会いしてきたその知見をおすそ分け。経済専門家ではない目線で、「役立つ」「活かせる」話をわかりやすく届けていきます。
今回オーマツがみなさんと一緒に学びたいのは、「ランチェスター戦略」について。
先週の記事「アパホテル 『あえて狭い部屋で快適に』新スタンダードを生む儲かる秘訣は?」にもありますが、アパグループの元谷外志雄代表はスタジオでこう語っておられました。
「創業時から大グループとなった今も、『ランチェスター戦略』がベースにある!」
ん? 「ランチェスター戦略」って何だ?
はずかしながら、聞いたことのないカタカナ用語。これ、調べてみるとどうやら、ビジネスの世界ではけっこう有名な理論のようです。
せっかくですので、この「ランチェスター戦略」をわかる範囲で、オーマツがざっくりお伝えしてみます。
ランチェスター戦略は、第1次世界大戦中にイギリスで生まれた軍事戦略を経営に応用したビジネス戦術・戦法です。
トヨタやパナソニックはじめ、創業当時ベンチャーだったソフトバンクやH.I.S(エイチ・アイ・エス)、アシックスなど名だたる企業が取り入れ、成功につなげています。ランチェスター戦略は、「たまたま勝った」ではなく、「狙って勝つ」ための普遍的な原理原則。経営だけでなく、営業、販売促進、マーケティングや個々のビジネスパーソンなど、あらゆる局面で応用できるんです!
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「ランチェスター戦略」で小さくても勝てる
ネットによって様々なビジネスモデルが変化を強いられ、競争環境も激しくなっています。市場も成熟した今、個人であっても戦略を持つことがより重要になっているように思います。
ランチェスター戦略の基本は、「強者と弱者では戦い方が真逆」ということ。強者と弱者にはそれぞれ戦い方のルールがあり、その理屈を知ることで「小さくても勝つ」ことができます。
今回はランチェスター戦略の中でも、「弱者の勝ち方」に焦点を絞ってお話していきます。
ランチェスター戦略における「弱者」とは、市場シェア2位以下すべてを指します。
市場シェアトップだけが「強者」です。大企業=強者ではありませんし、規模は関係ありません。競争の局面においてもその立場は変わります。
たとえば、大企業ホンダは、二輪車・バイク市場の世界シェアは1位のため「強者」ですが、国内自動車の市場では1位ではないため「弱者」。ビール業界2トップであるアサヒとキリンは、缶コーヒーというジャンルでは「弱者」。缶コーヒーのトップブランドはコカ・コーラ社のジョージアだからです。
弱者の勝ち目は「差別化」以外ない
アパグループの元谷代表が創業時、「勝てる見込みのあるマーケットに集中し『差別化』を意識した」と語られていましたが、これこそがランチェスター戦略における「弱者の基本戦略」である「差別化」です。
大手や強者の模倣をしては、追いついたとしても一時的なもの。戦略的に差をつけて実践する以外にありません。
差別化の対象には、商品の機能やデザイン、品質の優位性や独自性、それを担保する開発力、あるいは価格、地域、販売方法、サービス力や営業力など様々なことが考えられます。
その際に意識する4つの差別化は、「局地戦」「一騎打ち」「接近戦」「一点集中」です。
「局地戦」で弱者は狭いマーケットに的を絞る
「局地戦」とは、ビジネスの地域や領域を限定すること。市場が広域になればなるほど巨大な資本力がものを言うため、広域戦を強いられるマーケットを避けて力を分散させないようにします。
地域でいえば、広域戦が予想される東京23区ではなく、郊外である府中、八王子などの狭いエリアに限定し、「その地域ナンバーワン」を目指すということ。
創業時のアパホテルの地域戦略はまさに、「局地戦」を意識しています。
石川県小松市で注文住宅販売会社を創業したあと、石川県金沢市の西部に第1号ホテルをオープン。第2号店を金沢市の東部、第3号店を北部に建てて金沢市内での存在感を高めてから、金沢の中心部に本社を移転。金沢進出は成功を収め、その後、富山、福井、関西とエリアを拡大していきました。
ネット上でのショップであれば、広範囲のカテゴリーであらゆる顧客に向けたAmazonのような強者に対して、狭く尖ったニッチな専門店で対抗せよ、ということですね。
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・ 小回りを活かした「一騎打ち」で強者と互角以上に
・「接近戦」で顧客との心の距離を縮めてファン増やす
・小さな市場で大きなシェアを取る「一点集中」
・『がっちりマンデー!!』にはライバルがいない?
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