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ロングセラーで増収増益の桃屋! ヒミツは「ごはんですよ」「キムチの素」など自社商品を使った‟レシピ開発”にあり

桃屋経済バラエティ『がっちりマンデー!!』(毎週日曜あさ7時30分~放送中/ TBS系)をもっと深く楽しめる、『がっちりスクール!!』お金やビジネスについて、一緒に学んでいきましょう!

『がっちりスク―ル!!』では、"読むがっちりマンデー!!”ということで、放送した番組の‟書き起こし”をすぐにお届け。前日の放送を見ていただいた方も見逃した方も、最新の儲かりビジネスやアイデア情報を、仕事のヒントにして活かしてもらえるとうれしいです!

今回のがっちりマンデーは…「桃屋」!
桃屋といえば、なんと言ってもそのイメージは…
1973年発売のロングセラー商品
「ごはんですよ!」
実に年間、20万食が売れているモンスター商品!
  
それ以外にも、ご飯のお供に欠かせない、
アレもコレも作っている「桃屋」は大正9年創業の超老舗なのに、いまも売上を伸ばし続け、今年の売上は127億円というからすごい!
  
今回はそんな桃屋の、老舗なのにぐいぐい伸びる秘密を潜入調査!

「ごはんですよ!」の極秘工場に潜入!
そこには、佃煮の味を決める”謎”の細長いプールが!

ロングセラー商品を連発する独自のレシピ開発に密着!
秘密は、謎の女性「マミさん」? 儲るご飯のお供企業「桃屋」のヒミツを大公開です!

※以下、1/26に放送した内容の書き起こしです。


「ごはんですよ」の極秘工場に潜入!4億円で作った海苔を洗うだけの工場!?


桃屋のとびきりの看板商品といえば…

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そう「ごはんですよ!」
1973年に発売された「ごはんですよ!」は
生のアオサノリを醤油や砂糖などで味付けした
いわゆる海苔の佃煮ですが、年間生産量は約20万食!
海苔の佃煮市場で約6割のシェアを占める、
業界ダントツのNo.1商品なのです!

ご飯にのせる数でいうと…

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なんとお茶碗2億杯分も売れているっていうからスゴい!

そもそも、「ごはんですよ!」人気の理由は何なのでしょうか?
街行く人に聞いてみると… 

「食感はいいですね」
「ねっとりしていて食べやすい」
「朝ごはんにはもってこいっていう感じで」

みなさん口を揃えるのが、
そのトロ~リとした、滑らかな食感!

そのヒミツを探るべくやって来たのは…

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三重県にある、桃屋松阪工場。
お出迎え頂いたのは、飯沼輝之工場長。
こちらの工場で「ごはんですよ!」を作ってるんですね? 

飯沼工場長:「ごはんですよ!」の原料になりますアオサノリの異物の除去と洗浄を行っている工場です。

実は、「ごはんですよ!」のトロ〜リ食感に欠かせない、
いちばん大事な作業が、「海苔の洗浄」!

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「ごはんですよ!」の原料であるアオサノリは、
三重県近辺の海で養殖しているものが主なのですが、
潮の満ち引きや波の影響で、葉の部分に
どうしても、他の海藻などが絡まってしまうんです。

もし、柔らかさが特徴のアオサノリに
他の固い海藻が混ざったままだと、
「ごはんですよ!」のとろ~り食感が作れないのだとか。
そこで桃屋は、わざわざ4億円をかけて
海苔を洗うためだけの専用工場を作っちゃったんです!

そんな桃屋の海苔洗い秘密兵器が…

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飯沼工場長:こちらがアオサノリの洗浄槽です。

桃屋が独自に開発した
全長約11mの「洗浄選別槽」

川のような細長い水槽の中を、
海苔が水と一緒に流れていく仕組みなのですが、
ポイントとなるのは…

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「水が流れるスピード」!

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詳しい速度は企業秘密ですが、
川上から川下まで、ある一定のスピードで流すことで、
海苔だけが水に流され、
海苔よりも重い、砂や貝殻などが水槽の下に沈むという。

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この水槽を10回通過させることで、
海苔に絡まった重い異物を取り除くことができるんです。

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そして、水槽の入り口と出口には何やら赤いベルトコンベアが。
よく見ると…

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ベルトが、水の流れとは逆方向に回転しています。

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実はこれ、ベルトの表面に
5ミリほどの小さな突起がついていて…

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この突起で海苔の表面をブラシのようにこすることで、
重さはないけど固い異物を引っ掛けるという仕組み。

さらにさらに!

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洗浄の仕上げが、こちらの作業場。

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何やら従業員のみなさんが
台の上で海苔をゴシゴシしてますが、これは?
スタッフ:何をやってるんですか?

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従業員さん:これは海苔の中に入っている異物を除去しているんですけど
海藻とかいろいろ入っているので、目視で取っているんです。


そう、最後は”人の目”!
機械だけでは取り除けない異物を、最終チェック!

海苔のチェック歴18年の田村さんが
実際に発見したのは…

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約1cmほどの海藻!と、かなり細かい!

スタッフ:コツとかはあるんですか?
田村さん:コツは一生懸命やるしかないです。

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こうして、洗浄が終わった大量の海苔は、
埼玉県の春日部工場に運ばれます。

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ここで、海苔に醤油や砂糖などの調味液を加え、
煮込んでいくのですが、
この工程にも「ごはんですよ!」の食感のヒミツが!

実は「ごはんですよ!」はとろみを際立たせるために、
あえて少しだけ海苔の食感を残しているんです!
ドロドロに溶けすぎても、海苔が残りすぎてもダメ!
絶妙な時間と温度の炊き加減が必要なのです。
春日部工場の岡村久人副工場長に話を伺いました。
   
岡村副工場長:温度と時間は企業秘密になっています
スタッフ:温度もダメなんですか?
岡村副工場長:絶対ダメです、私が怒られてしまいます。


こちらの工場で作られている「ごはんですよ!」は、年間20万食!
No.1海苔の佃煮は海苔への徹底的なこだわりで実現していたのです!

ロングセラー商品ばかりを作る「桃屋」ヒミツは新商品をなかなか出さない?


桃屋には
「ごはんですよ!」以外にも様々なヒット商品が。

これらのヒット商品に共通してるのが、
とにかくどれも、
ずっと売れてる「ロングセラー」ということ。

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例えば、こちらの「キムチの素」は、
1975年の発売から今年で45年。

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「いかの塩辛」は、1952年発売で今年で68年。

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でんぶを缶詰にした「あまだきでんぶ」にいたっては、1920年、
大正9年の発売から実に100年!

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実は桃屋、現在発売している52商品の中で、
3分の1以上の19品が
発売から40年以上のロングセラー商品なんです。
でも一体、どうやって、こんなにロングセラー商品ばかりを
作ることができるのでしょうか?

商品開発を担当して30年  
開発部長の品田直明さんに聞いてみると…

品田開発部長:これだという商品じゃないと出さないというところが一番のポイントだと思っています。

そう、桃屋は、新商品をなかなか出さない!

品田開発部長:平均して1年に1〜2個を出すっていうのが今の所ですね

満足のいく商品が開発できなかった年は、なんと新商品の発売は、ゼロ!これまで最長で2年半もの間、新商品を出さなかったこともあるんだそう。

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そんな厳しすぎる商品開発の現場を
今回、特別に見せて頂けることに…
商品開発部の小林弓恵さんに話を伺いました。

小林さん:11年かけて「麻辣香油」という、この前出たばっかりなんですけど商品を担当しています。
スタッフ:11年!?
小林さん:はい

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なんと小林さん、昨年の8月に
11年前から開発していた「麻辣香油」の発売にこぎつけた、
かなりの苦労人。

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味の決め手となる、花椒、和山椒、唐辛子などの
比率に苦労したんだとか。

スタッフ:どうでしたか?「麻辣香油」が出た時
小林さん:嬉しかったです。やっとかっていう気持ちですかね

そんな小林さんですが、
新商品発売後、休む間もなく新作を開発中。
今、作っているのが…

小林さん:海苔の佃煮の新しいフレーバーというか、新しい味の試作をしています。
スタッフ:何が入ってるんですか?
小林さん:ちょっとそれは言えないんですけど、辛い系の食べ物です

次なる新商品候補は、
ある「辛い食材」を混ぜた海苔の佃煮。

桃屋では、こうした新商品の発売を決めるため、
月に1度必ず、小出社長がチェックする「開発会議」が行われているらしい。

「開発会議」当日…

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本社の会議室に、小出社長がやって来ました!
開発部の部長と課長がじっと見つめる中、
果たして、小出社長の反応は!?

小出社長:おいしいんだけど、うちが出す新製品の意味って?他の会社がマネ出来るようなものを作ってもしょうがないんだよね…
新製品出すのが目標じゃないから。いつも言ってるけどね。
品田開発部長:またトライして持ってきますので。お願い致します

まだ社長が認める基準に達していないので、商品化はNG!
でも、具体的な指摘はなかった気が…。
  
スタッフ:どう直せばいいんですか?あのチェックを受けて
小林さん:詳しく説明してくれる時もあれば、ふわっとした時もあるので、私なりにもっと考えて、どうしたら混ぜている物の特徴を出せるかを考えて作っていきたいと思います。まぁ10年かかるかもしれないですけど、頑張ります。

なかなか遠い、新商品開発への道。
小林さん、ヒット商品の開発、期待してます!

▼スタジオでお話を伺いました。
加藤さん:普通の会社だったら、新商品をたくさん出して、当たったのを伸ばしていく。ダメだったものをすぐ下げる。そういう会社のやり方ですが、それとは真逆ですね?
小出社長:苦労してやってると神様が降りてきてくれるような、そんな味になったりするんですよ。
加藤さん:偶然がなにかを生んだりするってことですよね?
小出社長:苦労してるとそういうことがあるんですよ。
加藤さん:それを社長さんは待ってるんですね?
小出社長:そうですね。
加藤さん:すごいですね!

レシピ開発で売上15%UP!そのキーパーソンは謎の女性「マミさん」?


年間売上げ126億円の桃屋ですが…

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特にここ6年間は増収増益の絶好調!
その裏側には、7年前に小出社長が始めた、ある儲かり戦略が。

商品開発部の米山美穂さんに
どんな戦略なのかお伺いしました。

米山さん:メニュー開発をやってます
桃屋の商品を使って料理の提案をしてます。

 
そう、メニュー開発とは、
桃屋の商品を使った新しい料理のレシピを考案すること!

このレシピが広まれば、桃屋の商品で料理を作る人が増え、当然、売上アップ!

「メニュー開発」作戦を始めてから、
実に約15%の売上アップ!というからスゴい!

どんなレシピがあるかというと…

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例えば、チャーハンの味付けを
塩コショウの代わりに「ごはんですよ!」で整えた…

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オリジナルレシピ「黒チャーハン」!
他にも…

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トマトソースパスタに、
桃屋の「きざみにんにく」を加えた…

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「アラビアータ」!…など、桃屋のホームページ上には
桃屋商品を調味料代わりに使ったオリジナルレシピを335品も掲載してるんです!

米山さん:料理に使っていただくとそのまま食べていただくよりもたくさん使っていただけるので、売上げが伸びますのでがっちりです。

さらに、休日には桃屋のスタッフがスーパーに出向いて
オリジナルレシピをアピール!

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この日は、「麻辣香油」を使ったよだれ鶏をお客さんに試食してもらい
気に入ったら、すかさずレシピを手渡す!

そんな桃屋の新戦略「レシピづくり」を支えているのが、
商品開発部のみなさん。
新商品を開発する。レシピの開発もする。
商品開発部のみなさんは大忙し!

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この日は、米山さんが考案した新レシピ、
「麻辣香油牛丼」を部内でチェック!

「麻辣香油で臭みが取れてていいと思います」
「バランスはこれでいいと思います」

みなさん、なかなかの高評価です!

この開発部内でのチェックを通ったレシピは、
社長も出席する月に1度の「メニュー会議」で
レシピをホームページに載せるかどうかの最終確認を行うのです。

すると、スタッフはあることに気づいた…

米山さん:ホームページのラー油の方も
変えたほうがいいかもしれないね。
基準をね、見直しだね。マミさんもそう言ってました

マミさん?

スタッフ:マミさんっていう方がいらっしゃるんですか?
開発担当者さん:HPに載っているメニューの大半はマミさんがご提案した料理になります。

そう、実は現在HPに掲載されている
335品のレシピのうち、商品開発部が考案したのは約2割。
8割以上は「マミさん」なる人物が1人で考案したらしい。

マミさんとは何者なのでしょうか?

ということで、
マミさんが住むという都内某所のお宅へ。

スタッフ:よろしくお願いいたします。

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こちらが、レシピづくりの達人「真美さん」

スタッフ:桃屋とはどんな関係なんですか?
真美さん:主人が社長をやっております。

そう、実は真美さん、
小出社長の奥様!ということはつまり、
桃屋の創業者のお孫さん!

今回、真美さんも新しいレシピを
メニュー会議に提出するそうなんですが…

真美さん:キムチの素を使ってスープを作ります。
家に残りのパンとかってあまりません?フランスパン買っちゃったりとか
こちらを使ってパンの雑炊というか、
リゾットのパン版みたいなのを作ろうと思います。

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まずは、200mmのトマトジュースに
小さじ2杯のキムチの素を加え特性スープを作ります。
  
そこにカットしたフランスパンを入れて
中火で柔らかくなるまで煮込めば…

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真美さん特製「キムチの素パンリゾット」が完成!
さすが、桃屋創業者の孫。
小さい頃から慣れ親しんだ商品知識と、
主婦ならではの、余り物を有効活用する知恵があります!

社員ではありませんが、相談役という立場で、
アイデア出しとアドバイス役を務めているのです!

果たして、商品開発部米山さんの「麻辣香油牛丼」と社長の妻・真美さんの「キムチの素リゾットパン」はレシピに採用されるのでしょうか?

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会議当日、商品開発部の面々と、広報の担当者、
そして小出社長と真美さんが集まり、試作品のチェックを行います。

まずは、真美さんの「キムチの素リゾットパン」
小出社長は、奥さんに公正な評価を下せるのでしょうか!?

小出社長:うまい…優しい…
結構フランスパンってカチカチで家にあるよね
企画担当者:これ食パンでも大丈夫ですか?
真美さん:食パンでも大丈夫だと思う。

実は桃屋のレシピ開発のポイントは、
「どこにでもある食材」で、「誰でも簡単に作れる」ということ

ご家庭で余りがちなフランスパンを使った
真美さんのアイデアレシピは満場一致でホームページ掲載が決定!

続いては、商品開発部の米山さん考案「麻辣香油 牛丼」
果たしてみなさんの反応は?

真美さん:麻辣の使い方だったら混ぜ込まないで出来上がりにかけたほうが香りが立つかなって思う。
米山さん:わかりました。
小出社長:トッピングとして使うってことね。

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実は、米山さんのレシピでは
牛肉や玉ねぎが煮上がった直後に、「麻辣香油」を加えていたのですが、
熱で「麻辣香油」の特徴である、山椒の香りが薄れてしまっていました。
そこで、真美さんと社長は後乗せのトッピング方式にすれば
もっと香りが引き立つのでは?と提案。
さらに…

小出社長:こっちの「辛そうで辛くないラー油」でも作った?
米山さん:それでも以前、試したんですけど山椒が入っている方が香りが。
小出社長:ちょっとこっちでも食べてみたいな。
次回はトッピングにしたやつとラー油と食べ比べしてそれで決めよう。

「食べるラー油」を使ったパターンも食べてみたいということで、 
次回の会議で改めて試食することが決定しました。

桃屋の、食品メーカーの枠を超えた、レシピへのこだわり。これが、売上げ15%アップを支えていたんですね!

桃屋はメニュー開発でがっちり! 


(おわり)
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