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ラーメンと空集合

ラーメン=サッポロ一番の塩。
私の中ではラーメンと言ったらサッポロ一番塩ラーメンです。

これですね。

ここでお伝えしたいのは、あくまでも袋麺のカテゴリからサッポロ一番塩ラーメンを選択したのではないということです。ましてや、”サッポロ一番”の中から塩を選んだのでもありません。ベン図でいえば、大きなラーメンの○に内包された袋麺の○があって、更にそこにはカップ麺の○や、ラーメン屋さんの○(この中に、家系だとか二郎系だとかの○が入っている)が並んでおり、その一番外側の大きな○=サッポロ一番塩ラーメンということなのです。「袋麺共通部分ラーメン屋さん」がどうとか、中華料理屋はどれの部分集合かなんてことも説明したいところですが、本筋と外れてしまいますので、これについてはまた今度。

日本全国にはラーメン屋さんが2万6500軒(2020年時点)あるそうです。ググりました。コンビニが約5万軒とされていますから、その約半分です。でもカップ麺なんかはコンビニでも買えるということを考えると、それだけで7万6500軒以上のラーメン屋があると言っても過言ではないわけです。過言ですか?兎に角、日本人はラーメンが大好きなようです。会社員になっていろんな人の、それはもう自分にとって興味のある人ない人に構わず、いろんな人の日々の食事を目の当たりにするわけで、そのうち私のラーメンは皆さんのそれとはちょっと違ったのかなと気がつきました。

おじいちゃんおばあちゃんと暮らしていた小学生の頃、土日のお昼ご飯は、麺類かご飯を炒めたもののいずれかでした。それは素麺の時もあればうどんの時もあって、ピラフやチャーハン、何かわからない味付きの炒めご飯 in 魚肉ソーセージのこともありました。そしてその並びにいたのがサッポロ一番塩ラーメン。

おばあちゃんが作るサッポロ一番塩ラーメンはこうです。まず、家にある一番大きなフライパンで溢れかえるほどの野菜を炒めます。この野菜炒めはくったくたで、勿論 in 魚肉ソーセージです。魚肉ソーセージが、揚げ蒲鉾を刻んだやつになることもありました。おばあちゃんは手際よく、ふた口目のコンロで麺を茹でつつ家族全員に呼びかけます。

「たまごいるひとー」
とびきりお腹が空いていていくらでも食べれる日の私は「たまごいる!」と答え、おばあちゃんは野菜を炒めていたフライパンを退かしてスープ用のお湯を沸かし始めます。粉末スープが溶けたら、生卵をぽちょんっぽちょんと落としてぐつぐつと煮込むのです。ここまでくると家の中が塩ラーメンの匂いでいっぱいいっぱい。私もラーメンどんぶりを用意して、おばあちゃんにひとつずつ手渡します。ラーメンどんぶりってどの家庭にもあるのでしょうか。うちのは青を基調にしたのがあって、ちゃんと龍が描いてありました。

茹ったゆだったふにゃふにゃの麺、白濁のスープ、それらがなーんにも見えないくらい大盛りの野菜炒めが覆い被さって、その中に埋もれるようにスープでポーチされたたまご。ベジファーストでとっても健康的?ところどころ、魚の加工食品の甘味が混じっていて、これが私のサッポロ一番塩ラーメン。

おばあちゃんは料理が趣味みたいな人なので、我が家では外食をすることが滅多にありませんでした。多分、お金がなかったのもあると思います。子供の私からすると、帰ったら毎日ご飯ができているし、クリスマスのチキンも焼いてくれるし、お正月にはおばあちゃんお手製のおせちも6段くらい出てきたので、外でご飯を食べるという発想が全然ありませんでした。
高校生になって、飲食店でアルバイトをするようになってからは外食というものが一気に身近になりました。部活動のみんなとフードコートで各々好きなもの頼んだりして。その頃は、はなまるうどんが100円のかけうどんを出していたので、お腹が空いいている時はみんなそれを食べていました。それ以外は牛丼とか山盛りポテトとか。だから、ラーメンはやっぱり家で食べるサッポロ一番塩ラーメンです。大学生になった私は、体型を気にするようになります。ラーメンは太る食べ物。今度はラーメンを食べること自体がほとんどなくなりました。記憶の中のラーメンはサッポロ一番塩ラーメンのまま。

こういう訳で、会社の同僚から「昼に駅の反対口のラーメン屋さんに行ったんだけど美味しかったよ」なんて言われると、未だに面食らって・・・・・しまうのです。仕事中にラーメンだって?宇宙食さながらの見た目からできあがるサッポロ一番の塩。あれをを家で食べることこそがラーメンじゃい。

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