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画文の人、太田三郎

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このマガジンで取り上げるのは、明治大正期にスケッチ画や絵物語で活躍した太田三郎という画家である。洋画家として名をなしたが、わたしが関心があるのは、スケッチ画の画集や、絵葉書、伝承…
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2024年6月の記事一覧

太田三郎の画集『ひこばえ』の美本が届いた!

 2009年頃からテレビを見ることはなくなったが、配信で流れる番組が目に入ることはある。  戦前をあつかったドラマで、本棚が映るとたいていは、茶色っぽい本が収められていることが多い。  待て、待て、それは間違ってはいないか。  戦前は,今から見て昔、だから本棚の本は古本のような昔の本っておかしくないか。  本棚の本はドラマの時代の新刊である場合が多いのだから、それは新しい美本でないとおかしいのではないかと思うのである。  どうやら世間では、昔の本というのは茶色っぽい古本だ

太田三郎の写真:『ハガキ文学』明治43年1月号(第7巻第1号)「師の面かげ」

 太田三郎の肖像写真としては、過去記事「画文の人、太田三郎(5) 日本画について」で『沙夢楼画集』の口絵写真を紹介した。  花の中に立つという特色ある構図である。  今回、雑誌『ハガキ文学』明治43年1月号(第7巻第1号)の「師の面かげ」という口絵写真(折り込み2ページ)に太田の肖像があることがわかった。  オリジナルからのコピーより作成した図版であり、少し立体感が減衰しているが、人々の表情はよくわかる。『ハガキ文学』の投稿欄の選者たちの肖像写真である。「師」というのは

太田三郎と『少年世界』

 ヤフーオークションで博文館の『少年世界』が出品されていた。太田三郎の絵があるものを数冊落札することができた。  表紙画や口絵を紹介したい。  太田三郎は、博文館系列の日本葉書会『ハガキ文学』で活躍したが、そのかかわりから、博文館の雑誌の表紙画や口絵、挿絵を描く機会が多かった。  女学生向けの『女学世界』での活動は知っていたが、少年向け雑誌での活躍についてはその絵を見る機会があまりなかった。  太田三郎そのものが、埋もれている存在なので、数点でも絵を紹介することに意義