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未来の学校にあったら面白いものを考えた話

2〜3月にかけての約1ヶ月半、僕は長野県小布施町を舞台とした「バーチャル町民会議」なるものにバーチャル町民として参加していました。教育班として。

コロナによる世界観の変化は、質量への憧憬をどこかに残しつつも新しい学びやコミュニティのあり方についてのアップデートを確実にブーストしてくれます。ちびっ子とのフィジカルな触れ合いはもう少し未来の話として、この1年やバーチャル町民会議を振り返りつつ、これまでの学校とこれからの学校について考えたこと・思ったことを綴ります。


【学ぶ価値≒将来への投資ならば学校の価値は?】

ここ数年は大学も学部も増えすぎて…という理由なのか、少子化によるパイの取り合いが飽和状態を迎えてしまったからなのか、はたまたアカデミア界隈の「横並び精神」の弊害なのか。とにかく学校の「宣伝文句」はどこもかしこも似ています。最近の学校だと中学校も高校も、ほとんどどこもかしこも

 ・STEM(最近はSTEAM)教育
 ・ITを駆使した〇〇
 ・創造性を育む主体的な学び
 ・英語教育&プログラミング教育
 ・ディスカッションを取り入れたインタラクティブな授業

まあだいたいこんな言葉が並びます。これらが大事ではない、と言っているわけではありません。でも「(実態はさておき)取り敢えず流行りに乗っておけ!」みたいな業界の雰囲気はイヤ。もちろんやらないよりは手を動かしてチャレンジすることは良いことですが、謳い文句それ自体には意味ないんじゃねーの?ってなるわけです。こうした流れは、最近流行りの「大学行くべきか論争」とか、その先の「企業か起業か?」みたいな問いにも繋がりますよね。

「学ぶ価値は将来への投資」という方は多いはず。
そうすると合格実績・就職実績はもちろん、未来はそれに加えて

 ・在学中にどれくらい稼いだ実績がある学生がいるか?
 ・学生起業した人数(これは既に結構出ているがSocial文脈にもスポットを!)
 ・学術論文の本数(世界ランキングにも影響しますしね)
 ・リカレント教育の整備と実績
 ・地域連携の活動実績

こういう今まではあまり表に出なかった、かつ比較的数値化しやすい項目を「学校で学ぶ価値」として偏差値表と並べて出していくと未来に幅が出る気がします。もちろん学ぶ価値は数値にはできない・形にできないものも沢山あるのが承知のこと。少々下世話な感じもしますが、これは過渡期のご愛嬌≒納得感の演出ということで。


【「学校=閉じられた世界」という大問題】

そもそも一般的な学校は依然として問題山積。最たるは学校というコミュニティが先生も生徒も「閉じられている」ということ。

たまたまこの記事を書いている最中に目にしたこちらの記事も象徴的でしたのでシェア。いやはや…。

 ・遅々として進まない統一カリキュラムと教科書
 ・「みんなもやっているでしょ?」という謎の説得方法
 ・通知表で算数5を取っても「でも社会が3なのよね」という指摘
 ・公立の先生はそもそもお金稼いだことない人ばかり
 ・個性的であることは受け入れられつつあるも結局評価はされない
 ・進路指導や将来の話はかなり少ない(実質的にできない人が多い)

もちろん学校や地域による違いがるのはわかります。が、実態は結構な頻度で上記のようなことがあり「あぁ!わかる!」っていう人も多いはず。社会・お金・課題・対人などの点で外に開かれていない。そしてそれ自体は問題として捉えられない。

なんだか「進撃の巨人」の巨大な壁があるイメージなんですよね。。・

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総じて言えること。
これまでの学校の在り方は、顧客のニーズからは作られていません。学校の起源にニーズドリブンな世界観は0でしたからね。でも、シンプルに考えてちびっ子たちがいきたいと思える空間・環境設計をする。親御さんが行かせて良かった・行かせたいと思える場づくりをする。そう考えると何が課題なのかは割とシンプルに見えてくるのではないでしょうか?

この問題を解決して価値のあるコミュニティに変えていく、すなわち「未来の学校」を作る時、新たにあると面白いことはなんだろう…🤔
バーチャル町民会議の議論でも少し登場したものも含めて3つかな…と思います。以下、それを書いていきますね。


【面白いこと其の壱:「攻め方」を選べる自由カリキュラム】

界隈だと何故か受け入れることが難しい、一番最初にして最大のポイント。そんな風に思っているのがカリキュラム。これは結構重たい問題だと思っています。
そもそもの学問・塾は「興味を持った事柄」を「興味を持っている人」が「共に学ぶ」ことから始まりました。だから学ぶことの本質を考えたら「同じものを」「同じ時期に」「みんなが同時に」というのは無理があります。特に現代は。

皆が同じことを同じようにやろうとするから同調圧力・変な比較が生まれて、不要な承認欲求も生まれる。

これらを解消し個々に充実した学びを得るために、小学校・中学校からいきなり大学の単位制のようにしておく。最初は当然戸惑いますし、親バイアスも凄いことでしょう(笑)。でも徐々にちびっ子たちもそのメリットに気づいて、自分で取捨選択できるようになれば良いのです。先生たちも学ばせたいことがあるならば、それを魅力的な案内と共に生徒を誘えば良い。「一緒に学ぶと良いよ!」「学んでおいて損はないよ!」と生徒に営業かければよろしい(笑)

ちなみに。

「最低限の基礎学力定着を図らなくなったら、それはそれで困るのでは?」という方も多くいらっしゃるかと思います。これは考え方が二つあって、一つは「得意なものを本気で伸ばすなら、今より凸凹があっても良いのでは?」という考え。そしてもう一つは「全体として学ぶべきものは決めておき、その順序やプロセスは本人に任せる」というもの。後者のやり方に近い形を取っている学校は、首都圏の私立を中心に既に多くあります。(まあ受験対策が理由のほとんどですが…)
これを参考に、基礎学力定着カリキュラムは国取りゲームのように「各自が先生と一緒に攻め方を考える」というのも折衷案としてありかもしれません。

 

【面白いこと其の弐:新たな成績スコアリングシステム】

「其の壱」を実現させていくと、併せて大切だな…って思うのがこの部分。社会に出た大人の方々、結構な人数で「社会で直接役立つこと」「お金とか社会の仕組み」こういったことをきちんと10代で勉強させて欲しかったという人がいます。確かに、冷静に考えて「学ぶこと=将来の投資」だとすればお金とか、社会とか、産業構造とかをもっとリアルに学ぶ素材に取り上げても良いはず。

それも理論から入るよりも体験的な学びから入る方が良い。その方が学びは血肉に浸透しますから。赤ちゃんが言葉を学ぶとき、文法とか理論からは入りませんよね?中高生・大学学部生の学びはまだまだ理論が多く実践がない。でも社会に出ると急に理論理屈ではなく成果結果を要求される。ならば、やはり早い段階で「お金を稼ぐ仕組み」「投資の仕組み」「課題発見の方法」などは実践やワークショップなどを通じて学びあった方が断然お得です。それも出来るだけ生の素材(≒実際の会社や地域)を使って。こうした取り組みはあちこちで実験的可動は進んでいるのですが、あくまで一過性のもの・イベント的な意味合いで終わるものが多い気がしています。

前置きが長くなりましたが、未来にあると面白いのは、こういうものも成績として数値化すること。尚且つ、この成績も・これまでの成績も「100点満点・5段階評価」を捨てて、天井を設けないスコアリングシステムに変えていく。それも360度評価的にスコアリングして、公平性と多様性を存分に引き出して…。

で、このスコアをお金に似せて、例えばポイントとかトークンのような形に変えてコミュニティ内で交換機能や測定機能を持たせて循環させても面白い。学食で使えるとか、地元の商店街で買い物できるとか、投資活動に使えるとか。こうした経験がちびっ子のうちに出来ることには大きな意味があります。勿論、この交換体験も実績としてスコアリングしておく。

そして最終的に貯蓄スコア&交換スコアとして実績化されて、受験などに適応させていけると尚面白い✨


【面白いこと其の参:シェアリングWhy&エモ】

最後にこちら。

起業経験のある人に話を伺うと、その動機は「Why」「エモ」だと思うんですね。不自由さとか、強い飢えや必要性って大事なのね…と。

マルッとまとめて「エモい」という感性をどう学校という環境で受容できるか?これがとても重要です。こうした感性は、画一的であることそのものが動機となって生まれることはまずありませんからね。

「ドライブがかかる」という状態・環境をいかに創るか?

「其の壱」の幅広く柔軟なカリキュラムはここにも関係しています。

①計算して偶然の出会いを作る
②考える余白を作る
③適度な摩擦とカオスを愛でる

そして芽生えた感情を大切にする。特に小さい頃ほど大切だな…と、教え子達を思い返すと感じるわけです。


【私以外は皆先生、の精神で…】

いかがでしたでしょうか?
そう言えばちょっと前に、未来に向けた様々な取り組みが始まっているよ…的なことを幾つか紹介した記事も書きました。

ここまで綴ってきた未来に面白いこと其の壱〜其の参、どうやったら実現するのだろう?🤔とても時間がかかり、且つ成し得難いものですが、それをあえて簡単に仕組み化するならば大切なことは2つ。

 ①老若男女は全て先生になる可能性があることを認める 
 ②オンライン・SNSで外に先生を求めていく

これです。これにより未来の学校は始まります。カリキュラムがないからこそ「?」で一杯になる。迷う。そして純粋な興味や感情の振れ幅で向き合える。身の回りの課題や面白いと思えることに向き合える。自分の知らない世界に想いを馳せるだけでなく、見て聞いて話し合える。そんなハイブリッドな学習環境ができたら、色んなものが一気に動き出すのは間違いない。

そんなことを書いていたら、こんな記事が…。

あちこちでうねりが、動きが生まれている予感✨
一言で言えば「私以外は皆先生」というマインドセットが未来を加速するのでしょう。そうなったら面白いですねぇ♪
小布施がそうであるように、このマインドセットができると地域条件関係なくいろいろなものが一気に動かせそうなのも実に面白い。

そして僕も面白い未来構築に向けて自分に出来ること、地道にやっていきます✨

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