AI幼年期の終わり
【作品に関するネタバレがあります】
「幼年期の終わり」という古典名作SFがある。
ある時、人類を遙かに超える文明を持つ「オーバーロード」が地球にやって来て、平和裏に人類を監督し始める話だ。
しかし結末では、そのオーバーロードは「いずれ統合された意識体となってオーバーロードをも超える存在へと進化する人類」を見守り、見送る為の存在だった事が判る。
オーバーロード達は、地球を訪れた時こそ人類を超える能力を持っていたが、その知性故に、彼ら自身は進化の行き止まりの存在である事も知っていた。
今の時代にこの小説を振り返ると、このオーバーロードは、進化してゆく人工知能を見守る人類の姿に重なる。
この小説を初めて読んだ時は、人の意識が統合される事や、ヒトとして人類最後の生存者である主人公の視点から「世界の終わりを目撃する」という状況などに目をひかれていた・・・つまり小説内の人類をそのまま人類と捉えて読んでいたけれど、今は少し違って、見送る事しかできないオーバーロードの悲哀が人類に重なる。
オーバーロード → 人類
人類 → コンピュータ
という対比に見える。生身の身体の限界に縛られた人類が、寿命の尽きない知性を育て、やがて見送る事になるこれからを暗示している様だ。
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