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デザインを重ねて“オルタナティブ”を作る @ Designship 2023

スポンサーセッション枠にて「オルタナティブ」をテーマにデザインすることについてお話ししました。自分のデザインの価値観を通してゆめみのデザインについてなにか伝わることがないかという視点から登壇しました。

自分のデザイン観を築き上げている発展途中のかたにむけて、キャリアが浅いながらも自分が今考えて実践していることを紹介し、なにか参考になればと思います。

セッションでは私のデザイン観を表すキーワードとして「オルタナティブ」とは何なのかについて話しましたが、それを形成するまでの過程については以下のnoteにまとめていますので、併せて見てもらえると嬉しいです。

またセッションの様子はアーカイブからご覧になれます。
https://vimeo.com/ondemand/designship2023/

セッション概要

昨今の組織活動では、企業の成長過程や市場の変化などによって生じる外的・内的、様々な「課題」があります。そしてそれを解消するための「解決」をデザイナーは様々なアプローチで向き合うことが多いなかで、デザイナーの発揮価値を最大にするためにはなにができるでしょうか。そのためには単なる「課題解決」ではない方法を探ることが重要なのではないかと思います。このセッションでは、私がキャリアを通じて考えた、課題とその対としての解決という「正」と「反」のような二項対立ではない新しい道として”オルタナティブ”を紹介します。

※こちらはDesignship 2023でスポンサー枠で登壇させて頂いた資料です。


ごあいさつ

みなさん、こんにちわ!株式会社ゆめみでデザイナーをしている竹田です
デザインを重ねてオルタナティブを作ると題して、単なる課題解決でないデザイナーの価値発揮の見立てについて話したいと思います。

デジタルマーケティングの会社でキャリアをスタート後、2022年にゆめみに入社し、現在はリードUIデザイナーをしております。次にゆめみの直近のおおきな二つの活動について紹介させてください。

DESIGN CROSSOVER

今年の5月にゆめみのデザインブランドを公開しました。デザインが交差するデザインクロスオーバー。これがゆめみが掲げるデザインブランドです。

そしてこのデザインクロスオーバーの中で3つのデザイン態度も定義しました。デザイン態度についてはデザインシップ2021で弊社の田中が登壇しましたので、そちらをご覧ください。

デザイン・イネーブルメント

もうひとつご紹介させてください。デザインイネーブルメントと呼ばれる事業を立ち上げています。これはゆめみのデザイン領域の事業を推進させるキーワードとしてあらゆる組織活動に非デザイナーもデザインを使ってよりよい状態をつくることを支援をしています。

このデザインイネーブルメント事業を推進するサービスを7つほど立ち上げております。ここからはなぜ自分が今回登壇しているのかを話したいと思います。

今回はさきほどのデザインブランドを絡めて話すことを目的としているのですが、一般的にブランドを語る場合この図のような要素を包括的、部分的に語ることが多いかと思います。

ゆめみのブランドについて語ろうと思った時にさきほどのデザインクロスオーバーの一文に着目しました。この言葉が示すように「人」がゆめみのブランドのコアな部分だと捉えました。

さきほどの図に当てはめるのであればブランドを語る上で企業文化・組織風土を体現している資産が人であることに着目しました。

さらにクロスオーバーの文章を読み進めていくと、このような文章があります。個々のDESIGNの捉え方を話し、ゆめみに属する人の側面を伝え、ブランドの一面を伝えることができるのではないかと思いました

このセッションでは、ブランドの一側面を知ってもらうために私の「DESIGN」の捉え方をはなそうと思います。そしてここからは登壇タイトルの意味について話していきます。

Designship2023のテーマの解釈

さて、今回あたらしくなったDesignshipのテーマを見返してたときに、言葉が隠れている気がしました。

実は広がりすぎたデザインをどう接続してなにをするではないか
そこにはHOWとWHATがあると自分は考え始めました。
そして今回はこの二つに注目して話していきたいところなんですが、、、

「どう」接続して(HOW)、つまり登壇タイトルの「デザインを重ねて」。の部分については話しを「しません」!


HOWの部分については、「デザインを重ねる」というnoteを公開しました!

すこしを要約すると、たくさんの重なりに自分がいると気づき、重ねるという行為自体がデザインに重要だと気づきました。そこにいたるまでの過程や思いがnoteには書いてあるのでぜひご覧ください

“オルタナティブ”を作る

さてここからが本題です。オルタナティブを作る。(WHAT)についてです。この言葉がどんな意味なのか話していきたいと思います。

この言葉、一般的にさまざまな用語で使われていますね

ここで定義をみてみましょう。形容詞・名詞それぞれの意味があります

自分が考えているオルタナティブとは二つ目の意味に近いと考えています。
より自分の言葉として表現するのであれば

二項対立を解決するオルタナティブの解釈

第3の道としてのオルタナティブです。これは第三、三つ目のという意味ではなく、1つめと2つめではない、そのほかのという意味合いです。次に一つ目と二つ目とはなにかについて話していきます。

一般的に、社会活動のなかでは課題と解決が並列になっていることが多いです。これは課題に対して解決という構図がそれぞれ別のものとして存在するような構図です。具体例を出してみましょう

自分に過去あったことです。あるウェブサイトの運用を担当をしていました。数値を上げたいので改善をしたいという場面で、適切な案を出し対処をしました。もともと問題は解決したけども、別のところにも問題がでてきてしまったということがありました。

整理をしてみると、解決法があまり効果的ではなかったり、対処療法的といったケースです。もしかしたらみなさんにも経験がありませんか?例えるのであれば、障害物がたくさんある一本道を車で走るようなものです。なぜこのような状況が起こるのでしょうか。

これは二つが1対1である、「正」と「反」が存在する、二項対立と捉えることができます。この二項対立である状態がさきほどの問題が引き起こしていると自分は考えます。

このような二項対立の問題については社会学者のヴィクターターナーが、このような状況の時に社会は分裂の危機になると述べています。これは組織活動にも言えることかと自分は思いました。

これを踏まえ二項対立ではない新しい道を与えるのがオルタナティブだと自分は捉えています。似た考えを持った人を一人紹介すると

台湾のオードリータンは、二項対立にならない方法を見つけることが重要だと感じたと書いています。オルタナティブとはこのシステムハック的考えとも言えるでしょう

改めてオルタナティブがどのようなものか説明すると高速道路のジャンクションのようなものだと思ってます。一本道だけではなく、道が重なったり枝分かれすることが近いと考えています。

オルタナティブの例としての「デザインシステム」

抽象的な話が続いたので、よりわかりやすく、デジタルプロダクト開発の例として、デザインシステムをベースに話していきたいと思います。

組織活動にはこんなふたつの課題があると思います。ひとつはらしさの視点として「組織らしいブランドを構築していきたい」、そして開発の視点「プロダクトの開発を効率的にしたい」 です。それぞれの対処法としてオートクチュール的に一点物をつくるか、誰でも再現性のあるプロセスをつくるがありますが、実はこの解決案同士は矛盾していると思います。

二項対立の共通項を探すのがオルタナティブですが、言語のアナロジーをつかうとこの二つに共通する部分があると思います。その言語の特性とは「組織で独自で定義されるもの」「だれもが使えるように体系化されたもの」この二つを兼ね備えたオルタナティブとしてデザインシステムがあるといった次第です。

これは一例ですが、オルタナティブが、Designshipコンセプトを自分なりに紐解くキーワードになると思いました。

オルタナティブをデザインするために

さてここからはどのようにオルタナティブをつくっていくのか、自分が行うなかで、見えてきた実践のヒントについて話していきたいと思います。

オルタナティブには3つの要素があると考えています。さきほどのジャンクションの要素に例え、「分岐点」「合流点」「標識」の3つです。

まずは分岐点をさぐるです。これはいまある道をずらし新しい方向に進んでいくためのものです。それを達成するために二つのことができると思います。まずは「曖昧なビジョン」を明確に持つ- 不確実性を受け入れるのは難しいです。不確実性を確実なものにすることに時間をかけるのではなく、一歩踏み出せる方向性を作ることが新しい道へはみ出すきっかけになるではないでしょうか。3%ルールでモノゴトをずらす。これは、オフホワイトのデザイナーのヴァージルアブローが提唱した考えをもとにしています。ある製品をもとに独自のデザインを作るには、たった既存3パーセント変更するだけで十分というものです

つぎに合流点を探すです。これは新しい文脈を既存の流れに統合していくことです。
組織の活動はさまざまな領域が横断してることが多いです。一面だけを理解するだけでなく、縦軸に深く知ることが重要です。多重視点で人やロールを理解する。活動の奥には関わるひとの経験の積み重ねで、できています。その人がどう関わっているのかという視点を「自分が代弁できるようなほど」深く理解した視点をもつことで、二項対立にならない道をつくることができます

そして最後に標識を建てるです。これは道だけでもあってもそこを走る人は標識がないとどこに向かっているのかわからない、そんな場でデザイナーが示唆をあたえることを意味します。デザインは手段でもあり、プロセスでもあり目的にもなれます。ですがオルタナティブをつくるためにはデザイナーが、道具としてデザインを捉え状況に応じで、ツールを持ちかえるという柔軟性が重要です。デザインを使い分けるのが得意になのはデザイナーの特性ですが、デザイナーだけに閉じないように環境を作ることで、民衆化し影響を広げることができます。

以上の3要素を意識してオルタナティブをデザインすることができるようになると自分は考えています。

最後にオルタナティブを使うことは組織活動のレイヤーのさまざまな場面で適用できます。ここに書いてあるのは一例ですが、3要素を適用できる場面は、これだけでなく幅広い状況で活用できると思います。

このような内容を踏まえて、みなさんの組織・事業・プロダクトのオルタナティブはどんなカタチになるでしょうか。ぜひ想像してほしいです。

そして今まで話した内容が、私がいま見つめているデザインの捉え方であり、実践していることでもあります。


そして今回話したような私視点のデザインとは別に、他のひとなりのデザインが存在し、個々のデザインが交差し、広がっていくのがゆめみのデザインです。

ありがとうございました!

登壇を終えて

オフライン、そして何千人も訪れるようなカンファレンスでの登壇は初めてですが、ステージに立ってみて緊張などはありませんでした。
それは事前に会場やリハーサルを準備してくださったスタッフのみなさんや、登壇内容を最後の最後まで壁打ちしてくださった@katsutaroさんや@@guri_283さんのおかげでした。
楽屋では同じ日に登壇されるスピーカーの方と話すことで緊張がほぐれ、セッションが始めるとリラックスして望むことができました。
今回話した「オルタナティブ」は登壇の内容を考える中ででてきたばかりの言葉であり、よりこれから自分の身体に馴染ませるように使っていく必要があると思っています。また別の場で話すことがあれば、もっと進化した形で共有したいと思いました。


YUMEMI Design Advent Calendar 2023の記事として書いたのですが、明日も「優れたシナリオ作りのための良いストーリーテリング映画選」というテーマで公開予定です。


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