サブスク配信されている噺家リスト 三遊亭編

 前回の三遊亭兼好師匠の「鈴ヶ森」紹介記事を書いている際に気がついたのですが、あの口演を含めた日本コロムビアの『三遊亭兼好落語集 噺し問屋』のシリーズはすべて公式よりサブスクアプリやサイトから配信されているのですね。
 見つけた時にはびっくりしまして、それで検索をかけてみましたら、さらにたくさんの噺家さんの音源がアップされているじゃないですか。

 なにしろレコード会社の音源ですから、録音も間違いないですし、厳選された名演を気軽に聴くことができるなんて、こんなありがたいこともありません。

 これがまだ落語を聴いたことのない方のきっかけになり、落語好きの方には新たな出会いの場になってもらいたいものです。

 そこで、何回かに分けて、サブスク配信されている噺家さんのリストをアップしていきたいと思います。
 基本的にはストリーミングサイト「Spotify」を参照する形となりますが、他のサイトやアプリでも同様の配信はされていると思います。

 まずはきっかけとなりました兼好師匠の三遊亭からはじめます。

 並びは基本的に生まれ順にしております。落語での上下関係を表すのには香盤という序列がありますが、落語聴きはじめという方を対象とした記事ということでご容赦いただけましたら幸いです。なにより香盤は私も全てを把握しているとはとても言えませんので……

三代目三遊亭小圓朝(1892-1973)

 東京大学落語研究会を指導した堅実な芸風の噺家さんです。


三代目三遊亭金馬(1894-1964)

 釣りを愛し江戸前を愛した江戸情緒を感じさせてくれ、それでいて語り口調は丁寧で流麗、批評家受けが悪かったために長く看過されていたのが非常にもったいない大名人です。


四代目三遊亭圓馬(1899-1984)

 東京生まれの大阪育ちで落語は上方・江戸双方のネタをこなされました。


六代目三遊亭圓生(1900-1979)

 いわずとしれた古今亭志ん生、桂文楽、三遊亭金馬などと並び称される昭和の大名人です。

 ただ、配信されているのは、割とよく出回っている「落語名人会」や「特選落語」のシリーズの音源のみとなっています。


四代目三遊亭圓遊(1902-1984)

 昭和前期の不況時代は幇間も行っていた、六代目雷門助六および二代目桂小文治の流れを汲む噺家さんです。


三遊亭圓右(1923-2006)

 剃り上げた坊主頭がトレードマークで快活な笑顔でテレビCMにも多く出演。新作派として数々の創作を行われていました。


三遊亭小圓馬(1925-1999)

 初期のテレビ放送で人気を博した明るい芸風の噺家さんです。

 得意とされていた酒を扱う噺が配信されています。


三代目三遊亭右女助(1925-2007)

 桂と三遊亭を行ったり来たりする名跡ながら元は三遊亭。ただし、この三代目は三遊亭から柳家、桂と次々に移籍をくり返した五代目古今亭今輔の門下なのでさらにややこしいです。

 新作派で、配信されているのも代表作の「出札口」と「ユーレイ自動車」となります。


五代目三遊亭圓楽(1932-2009)

 御存知面長の笑点司会者。三遊亭圓生の総領弟子でもあります。

 五代目圓楽の配信は多いようですが、実は「大山詣り」と「あわびのし」の二演目のみで、元になっているCDが違うだけで録音日も同じものになります。


三遊亭圓窓(1940-2022)

 圓生門下のうちでもパソコン通信や同人誌販売なども含め、広く落語の普及に努められていました。

 左甚五郎ものでの珍品「叩き蟹」などが配信されています。


三遊亭小遊三(1947- )

 こちらも笑点でおなじみの小遊三師匠。亭号は同じですがこちらは三遊亭圓馬から連なる一門で、圓生とはまた異なる流派となっております。

 配信されているのは、伝法な口調が小気味いい「粗忽の釘」と「大工調べ」になります。


六代目三遊亭円楽(1950-2022)

 笑点での桂歌丸師匠との掛け合いが思い出深い旧名三遊亭楽太郎師匠ですね。

 ソニーから出ている「朝日新聞落語会」の音源が配信されています。


三遊亭竜楽(1958- )

 五代目三遊亭圓楽一門。英語ばかりでなく、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語などでも落語を行い、海外公演も積極的な噺家さんです。

 配信限定販売だった「三遊亭竜楽の落語」その壱、その弐ともに聴けるのがありがたいです。


三遊亭道楽(1961- )

 五代目三遊亭圓楽一門。北海道出身の噺家さんですので道楽とのことです。


三遊亭好太郎(1961- )

「笑点」のピンクの着物の三遊亭好楽の一番弟子にあたる噺家さんです。

 好楽一門では珍しく新作にも力を入れられている噺家さんですが、配信は古典落語ばかりとなっています。


三遊亭歌武蔵(1968- )

 三代目三遊亭圓歌一門。元力士という異色の噺家さんで、高座に上がると「ただいまの取り組みについてご説明申し上げます」と相撲の取り組みの際の物言いに対するアナウンスをまねた口上を言うのがお約束になっています。

 日本コロムビアから発売されている『三遊亭歌武蔵 大落語集』が全て配信されていて大盤振る舞いです。


三遊亭白鳥(1969- )

 三遊亭円丈門下にして新作落語界の最終兵器もサブスク配信されています。

 配信されているのは古典落語の改作で、白鳥ファン・落語ファンどちらからしても少々ベテラン向けです。


三遊亭兼好(1970- )

 兼好師匠は『噺し問屋』の全巻などかなりの音源が充実しています。

 前回紹介いたしました「鈴ヶ森」はこちらになります。


三遊亭天どん(1972- )

 三遊亭圓丈門下で新作を中心としつつ古典もこなします。作る噺の世界観はかなり独特の雰囲気を発されています。

「こども落語」と銘打たれたCDからの収録ですが、演じられる「たのきゅう」は民話風ではあるけれども途中のくすぐりなどは普通の口演と変わりないようです。


三遊亭鳳志(1976- )

 五代目三遊亭圓楽の総領弟子三遊亭鳳楽の弟子にあたる噺家さんです。

 こちらも配信販売専用だった口演が配信されています。


三遊亭楽生(1977- )

 六代目三遊亭円楽の総領弟子です。語学勉強のために中国留学経験を持っています。


ここまでお読みいただきましてありがとうございます! よろしければサポートください!