ファンキー・モンキー・ベイベー【井上勝正『サウナの賛歌は人間賛歌!!』第22回 デジタル加筆版】
真夜中に地下鉄に乗った。
でもまぁ、23時過ぎぐらいだから、まだ真夜中にはもう少しかな、と言う時間帯。
赤坂駅で降り立つと、賑やかな街並みが広がっていた。居酒屋の客引きの人に声をかけられる、ガッチリと入れ墨を施している腕がシャツの袖から見えている、手首にバングルが鈍く光る。
「どちらまでですか?」と軽く尋ねられる。
ボクは「サウナ東京」と答えると、彼はあっ!と言う表情を浮かべて「私も行きましたよー」と応えた。
そう、サウナ東京ではタトゥーもOKなのだ。
入館時には「STOP 暴力!」と「ととのん」のプリントが入ったわりと大きめステッカーを500円で買い、身体に貼る必要がある。
なんとも大胆なデザイン。
その客引きの男がステッカーを貼った姿を想像してなぜか親近感を覚え、嬉しくなってしまった。
変な意味ではない、別におちょくってる訳じゃない。それぐらい遊びがあって良い。
だって「ととのん」はサウナを心から愛する人の前にしか姿を表さない妖精なのだ、
客引きの男にも「ととのん」は見えているってことで、例えば一部で「入れ墨(タトゥー)」とは、アウトローの象徴だが、
ととのんの見える彼自身は暴力を望んでいないのだ。
もはや「赤坂の平和の使者」となった「ととのん」、
「ととのん は素敵だな」と、僕はつぶやいて「サウナ東京」に入った。
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