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サウナのサチコ『裸の粘土サウナー』

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サウナ支配人や熱波師をかたどった粘土造形を手がけるクリエイターにしてサウナー「サウナのサチコ」のサウナ訪問記。「ととのった」と感じるまで半年かかったという不器用サウナーならではの…
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#コラム

やりちぎる女【サウナのサチコ『裸の粘土サウナー』(第17回)】

その女と出会ったのは偶然。ある温浴施設のレディースデイ。出入りが激しいせいで、ちっとも熱くならないテントサウナ。口には出さないが、誰もがこんなはずじゃなかったと思っていた。 するといきなり一人の女が立ち上がった。そして「私の汗がついたタオルで悪いけどっ」と言いながら、首に巻いていたタオルで室内の熱を攪拌し始めた。潔癖な私はすぐ外に避難しようと思ったが、時すでに遅し。女は私に向かってタオルを振り始めた。冷え切っていた室内のどこにあったのか、熱さの塊が私の体に直撃してきた。なん

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【サウナのサチコ『裸の粘土サウナー』】第16回 「すまなそうな男」

その男はいつもすまなそうに歩いていた。 目立つようで目立たない、前に出ているようで奥に引っ込んでいる。つかみどころがない。 男も私も「自分のことを文字にするのが好き」であり、縁あって同じ紙面に名を連ね連載を持つことになった。しかしそれ以外で男と直接関わることはないと思っていた。今年の5月までは。 大阪にある、『なにわ健康ランド湯〜トピア』に、その男と熱波師の宮川はなこさんと私の三人が呼ばれた。やっていることがバラバラの三人が、なぜ一緒に呼ばれたのかは分からない。ただこの

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【サウナのサチコ『裸の粘土サウナー』】第15回『潔癖な人々』

まだ月刊サウナが日刊サウナという名で、webマガジンだった頃、『清潔な人々』という連載があった。高石智一さんが綴る文章は常に仄暗く、独特のセンスと笑いを含んでいた。私はそれを読むたびに感心し、かなり嫉妬もしていた。今回の私の記事のタイトルを『潔癖な人々』としたのは、どこかで高石さんのことを意識したからではあるが、内容はその世界観から遠く離れたものであることを前置きしておきたい。 さて、潔癖な「人々」と書いておきながら、その潔癖な人というのは私のことである。別にお風呂に入って

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【サウナのサチコ『裸の粘土サウナー』】第13回「占いからサウナへ~よしかわ天然温泉ゆあみ」

ホームサウナを持たない私が、6月だけでもう5回も行っている。 どうしてと聞かれると「近いから」と一応答える。が、電車だし乗り換えもあるし、本当はそこまで近くはない。まぁ駅近で便利ではある。 改札を出て最初の交差点を渡ったらいきなり見えてくる。

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