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長いようで、短いようで……(下)

夢は変わる変わる

やっぱり違うんじゃないかな、と思った教職

初任校で貧困世帯の女の子が学級にいたことは以前話した。

私の夢は、彼女との出会いにより大きく変遷を辿ることになる。

初めて耳にした”貧困”は私にとって大きな衝撃だった。
今まで私の周りにはそのような人々はいなかった(と思い込んでいた)からだ。しかも、こんな豊かな国の中で。
そこから私の学びは、教材研究や〇〇から大きく離れることになった。
主な勉強は”貧困”をはじめとする「社会構造」「地域福祉」等へ大きく傾いた。
初めて、色々な書物を乱読した時期だった。

無知であることは恥ずかしくはない。
ただ、やるべき道が見えてこないことが苦しかった(格好良く言えば)。
どうして親は理解を示してくれないのか、どうしたらこの子だけでも助かるのだろうかと、日々勉強していた。

貧困世帯の女の子と常に関わってくれていたのがSSWだった。
大学を卒業したて、右も左も分からない私はSSWの存在を知らなかった。
そもそも必要とされている役割は何なのか――教職に足を突っ込んだ2016年当初はあまり影響の広がりを持たなかったように感じる。

文部科学省「スクールソーシャルワーカー(SSW)活用事業」(2008)より

やりたいことはSSW??

3年目くらいまではどこかでSSWになりたいと思っていた。漠然と。
福祉と家庭をつなぐ橋渡しの役割は、福祉を専門に学んできた自分にとっては天職ではないかと考えた(福祉系の大学だったので)。
積極的に事例検討会やトレンドに上がりつつあった子どもの貧困についての勉強会に赴いた。
学校とは違う立ち位置で、子どもを含めて家族全体を俯瞰できる。
それこそがこれから求められている、本当の支援者の姿だと思った。

一方で、勉強会に行くと親子の関係について話を聞くことも多い。
事例でも「要保護世帯で親子関係も良くなく――」「親からの虐待が疑われる事案であり――」等と耳にすることが多かった。
その中で、次に考えたのが児童自立支援施設の職員。
これは異動として希望を出すことが可能だった。
親子の根本的な関係に目を通したい、そんな思いが少しずつ大きくなった。

大学を出て実家に一時戻り(現在は一人暮らし)、親は生活保護の相談員として再スタートをしていた。
学校内での子どもの姿、本当に必要な支援を考え、ほんの一時は行政職の児童相談所や生活保護の方へ行ってみたいとの思いもあった。
教職でそこへ行くには、生徒指導主任を経験する必要がどうやらありそう。
そんなことを聞いて、夢は破れた。

これから、ここから

こども食堂の存在と地域の応援団

初任校での右往左往する私の夢。
そんな中で設立され、動き始めた学区内でのこども食堂。
カレーの仕込みを手伝い、これから来る子どもに備えて待つ。
地域のボランティアの方々との話や笑顔を見ていると、この場所が私にとってのいていい場所=居場所であることが感じられた。

日々大変で、てんやわんやになる中でも、ここは私ですら応援してくれるようだった。
そんなひょんなことから「こども食堂っていいなぁ」と思い始めた。

初任校を異動になり、今の学校へ。
職員室で回ってきた、協働センターからの「やりたいこと事業」のチラシ。
迷わず、この学区でもこども食堂をやりたい思いを書いた。

異動1年目、目を通してくれた職員の方と共同で立ち上げた。
協力しながら、自治体の会合に顔を出して説明し、必要性を説いた。
資料を作って、形になっていくプロセスが私にとって新鮮で、言葉にできないほどわくわくしたことを覚えている。
子どものため、地域のため、ひいては私自身のため。

こども食堂から大きな地域へ

これがきっかけとなり、夢は大きく「地域づくり」となった。
紆余曲折ある中、今一歩、今日の離任式を持って進んだ。
少しばかりの貯金と、少しばかりの退職金と、大きな勇気。
不安はこれからもずっとついてくる。
それでも、今ここで行動しなければ、一生後悔するだろう。

「チャレンジは怖いですが、そんな時は一歩、二歩三歩と下がって、回り道しながらゴールを目指せば大丈夫です。一緒にチャレンジしましょう✨」
子どもたちに向けた最後の言葉。
どこまで刺さってくれたか分からないが、失敗してもいいから、まずはやってみる‼ 教職を離れ、反面教師になれただろうか(笑)

4月に入る前まではお世話になったNPOさんや団体と話をしたり、クラウドファンディング、企業への売り込み(社会貢献活動を一緒にしませんか?)等の資料を作成していく。
また、一から築き上げたこども食堂のようなわくわくがある(笑)
小さな一歩は誰かのために――そう思って踏み出していこう‼

持続発展させていくためのプロセスを考えていく、重要な一冊

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