【サッカーxデータ】ロストフを忘れない #remember_rostov【プロジェクト】
要約
・ロストフの14秒悔しかった
・悔しいで終わらせてはいけない
・たとえば,あの14秒をデータで分析したらどうなるだろう
・トラッキングデータ必要
・そんなデータない
・じゃあ作ろう
・データをオープンにして一緒に作って一緒に使おう
くり返す感情
こんにちは,
2019年に入り,W杯も去年のこととなりました.
NHKスペシャルでも取り上げられた,ラウンド16日本対ベルギーの「ロストフの14秒」.
あのとき抱いていた感情も色褪せないうちにやってきたアジアカップ.優勝を目指しましたが,アジアでの王座奪還は叶いませんでした.
色褪せる感情,変わらないデータ
さて,W杯での逆転負け,アジアカップ準優勝のそれぞれについて思うこと,感じたことはあると思います.
しかし,ここでいう感情とは一体何を指すのでしょうか.
悔しさ?悲しさ?失望?怒り?裏切り?諦め?
それらの感情は試合終了直後から変わらずあなたの胸に残っていますか?
試合に対して抱く感情が変わっても誰もあなたを責められません.人間の記憶は流動的で,失われ,改ざんされます.
なので試合でなにが起こったかを正確に捉え,次に活かしたいとき,感情はしばしば不正確すぎます.
人・時間の経過によらず変わらないものは何でしょうか.
それがデータです.
どんなに悔しかろうが怒ろうが,いかなる失点も得点も決断も変えることはできません.事実は決して揺るがないものとしてそこにあるのです.
データ駆動型(Data-driven)分析
データであふれかえる現代,データの扱いかたについての知見も集まってきました.サッカーも例外ではありません.
xGという指標は「経験則的に」シュートやチャンスシーンのデータを集め,現在評価したいプレーのゴール確率を計算します.
ここでいう「経験則的に」というのは「デル・ピエーロゾーン」が代表するような「この選手ならここからのゴールが多い」といったイメージを,「この位置でこの状況(DF枚数など)であれば何%の確率でゴールに入る」というように数値化することです.
このように,イメージや経験論でなくデータを分析の意思決定の軸に置くことをデータ駆動型分析といいます.(他にも定義・考え方はいろいろあると思いますがここではこれでいきます)
データ駆動型の課題
データがないとデータ駆動型分析ができない
xGにしてもなんにしても,ボールや選手の位置(トラッキングデータ)がなければ指標自体の計算が難しいものが多いです.
実際,僕が修士課程でしているボロノイ図を用いた守備に関する研究もトラッキングデータが無ければ机上の空論で終わります.選手の位置がわからなければボロノイ図を作ることすらできません.
トラッキングデータの需要に反して,僕達が無料で使用可能なトラッキングデータは非常に少ないです.(生で与えられているような形式を僕は知りません)AFCの公式サイトからスクレーピングすればある程度はデータを集めることはできると思いますが.
僕達のようにデータを集める力がない人はどうしたら良いのでしょうか.
作ってしまいましょう
ロストフの14秒を
#remember_rostov ロストフを忘れない
そもそも「データを集める(≒作る)力」がないから困ってるのに「データを自作しよう」とは大志を抱きすぎ感がありますが,決して非現実的なものではありません.
このプロジェクトを #remember_rostov と名付け,サッカー分析におけるプロトタイプもしくはベンチマークとして分析家,ファンなどさまざまな人が使えるようにオープンにしていきます.
データは下のような特徴を持つはずです.
1. データに起こす情報量はわりと少ない(約14秒分)
2. 起こった事象の解釈度が高い(綺麗なカウンター,日本の対応)
3. 日本サッカーにとって忘れられない14秒
1.データに起こす情報量は少なめ
最初に挙げたNHKスペシャルのおかげで,あの14秒間で選手がどのように動いたかをほぼすべて追跡可能です.技術的に目視での選手位置入力になりますが,14秒であればその負担も少ないでしょう.(楽観)
2.起こった事象の解釈度が高い
今回データ化する14秒は「ベルギーにうまくカウンターをされ,日本はうまく対応できなかった」という意味でとても解釈のしやすい14秒です.解釈度の高いシーンを用いることにより,研究途中の分析手法を評価する際のベンチマークデータとすることができるでしょう.
3.日本サッカーにとって忘れられない14秒
結局,感情が人を動かします.
ロシアW杯の日本代表は,始まる前からいろいろなことがありすぎて「試合に対する感想」と「組織に対する感想」が混じった評価をされていると感じます.しかし,あの14秒に関しては「繰り返してはいけないもの」で同意を得られると思います.
僕がこのプロジェクトをやろうと決めたのは悔しさからです.
無力な個人がなにかできることはないかと考えました.
同じような気持ちを持っている人は他にもいるはずです.
This is what WE do
Unityを用いて選手のトラッキングデータをとります.
Unityはデジタル関係のものづくりをしたい人にはぴったりかもしれません.初心者でも簡単に始められます.
まだ,Unityでプロジェクトを作って要素を並べただけなので,選手の位置情報しか入っておらず,それらも不正確です.ピッチはまだペナルティエリアさえありません.
僕一人では無力なままです.
GithubからUnityのアセットファイルをダウンロードできるようにしました.
ポリシーやデータの用意仕方はこれから公開予定です.
データでサッカーを盛り上げる
そのために,できることから始めていきます.ご応援いただけるととても嬉しいです.興味があれば一緒にやりましょう.