それはまるでミニシアターからの手紙のような
『映画芸術』471号「ミニシアターはいまどうしている?」に稚拙ながら寄稿いたしました。脚本家の井上淳一さんから「やぎちゃんの文章が読みたい」と、嬉しくて大変恐縮なお言葉でご依頼をいただき、長岡支配人や原番組編成を差し置いて想いを綴らせていただきました。書店に並ぶ雑誌に寄稿するのは初めてで、浮かれ舞い上がっている元書店員です。お送りいただいたこの本にはミニシアターで奮闘する人々の想いが詰まっていました。それはまるでミニシアターからの手紙のような。そこに綴られた想いに触れ、指が勝手に動き始めたので「春の『映画芸術』感想まつり」をひとりで開催いたします。流石に全部の感想は書けませんでしたが、出来る限りの想いをしたためました。その時その時のテンションを大事にしましたら、劇場ごとに言葉遣いがやや変わってしまいました。読みにくかったらすみません。
鹿児島 ガーデンズシネマ
上田映劇でお手伝いを始めてしばらく経った頃、他の映画館について知りたいと思って一番最初に手に取ったのがガーデンズシネマさんの『39席の映画館 いつもみんなで映画(ゆめ)をみて』でした。愛溢れるその一冊に出会い、遠く離れた鹿児島の映画館に想いを馳せました。そして映画芸術に寄稿された黒岩支配人の想いを読んで久々に『39席の映画館』を読み返したくなりました。「ミニシアターで出会った作品は、これまで知らなかった世界へと連れていってくれました」そう書かれていたのを読んで、映画館って、ミニシアターって新しい世界への旅に出る空港みたいだなと思ったことを思い出しました。
埼玉 川越スカラ座
私にとってのミニシアター体験といえば川越スカラ座さん。観客としてではなく、映画館に携わる者としてのミニシアター体験ですが。そんなスカラ座さんの寄稿は変化球キタ!と読んでいてワクワクしました。いえ、正確にはハラハラもしました(笑)「運営しているというよりも、川越スカラ座に仕えているいう方が正しい」思わず「あ…」という声が出ました。腑に落ちたような、なんかちょっと不思議な感じ。あと「私にとって映画は娯楽です」の一文に「私も!」と共感しきりでした。早く御入場券サコッシュを持って遊びに行きたいです。
沖縄 シアタードーナツ・オキナワ
「美味しそうな映画館だ!」と、初めてシアタードーナツさんのことを知った時は思いました。だって、ロゴからしてもう美味しそう。しかも手作りドーナツとコーヒーが待ってるだなんて、なんて幸せな香りのする映画館。想像するだけで多幸感溢れます。ドーナツ食べたいななんて思いながら読んでいると「映画館で作品に向き合う時間は尊い。それは自分自身と向き合う時間でもあるからだ」とありました。なるほど、確かに。私は1年の中で1〜2ヶ月映画館で映画を観ることができない時期がある。観れない理由は色々あるけど、でもその理由のひとつに「あえて自分に向き合わない時期を作ってる」というのがあるのかもと思いました。常々、沖縄行きたい!と思ってるので、美味しい手作りドーナツと映画を堪能しにシアタードーナツさんにも行きたいです、ドーナツ!
広島 横川シネマ
お名前だけは存じていても、不勉強ゆえにあまり知らなかった横川シネマさん。先日こちらのnoteを読んで、makiさんの目を通して見た横川シネマさんがすごく素敵だったので俄然気になる映画館に。いざいざ!と読んでみると「支配人として20 年、初めて映画館でバイトをして30年経った」とあり、あまりの時間の長さにひょえー!と思った次第。何せ私はまだ30年も生きていないぺいぺいなのです。映画芸術では溝口支配人が横川シネマというスタートラインに立つまでについて書かれていましたが、むしろスタートを切ってからがとても気になりました。溝口支配人が見つめてきた広島と映画館、20年とはどんな時間なのだろう…。横川シネマのネオンがカッコ良くていいなぁと思いました。
新潟 シネ・ウインド
新潟と長野は隣接しているとはいえ、なかなか新潟市まで足を運ぶ機会がなく未だ訪れたことがないシネ・ウインドさん。以前『映画館(ミニシアター)のつくり方』(あ、これ、映画芸術の本ですね!)でシネ・ウインドさんについて読んで以来、そのあり方がすごく興味深くて、中でも「月刊シネ・ウインド」はとても魅力的に思った。今回、井上支配人の寄稿を読んで印象的だったのはタイトルにもあるように「映画上映という武器を使って、新潟の風景を変えたい」という想いだった。それが何を意味するのか、私にはピンとこなかった。だからこそ、すごく気になる。今はまだ上手く言語化できないけど、この「風景を変えたい」ということに何かがある気がする。まずは「月刊シネ・ウインド」を読んでみたい。
神奈川 横浜シネマリン
『無限ファンデーション』の映劇はんこを快く受け入れてくださった横浜シネマリンさん。Tシャツや手ぬぐいが本当に可愛くて、しかし無職ゆえに手が出せず涙を呑んでいます。そんな横浜シネマリンさんの寄稿は、震えました。横浜シネマリンさんの「とんでもなく大変な改装プロジェクト」。あまりの状況描写に思わず声に出して読み、その場にいた長岡支配人と震え上がりました。築100年を超える上田映劇、人ごとではありません。なんとしても応援したい。まずはグッズを買えるようにお金を稼がねば…。
長野 相生座・ロキシー
相生座・ロキシーさんと一緒に載せてもらえるのはとても嬉しい。先日もニュースで共に取り上げていただけて嬉しかった。でも、ロキシーさんに対して上田映劇のスタッフとしては「羨ましいラインナップ!」と思う反面、映画好きとしては「ありがたいラインナップ!」となんとも複雑な気持ちでいる。(とはいえ、実はなかなかロキシーさんで映画を観ることが叶わずにいる)いつかゆっくり田上支配人のお話を聞いてみたいなと思っていたところに今回の寄稿。長野市の映画館について田上支配人の目を通して語られていてすごく興味深かった。ロキシーさんが再開したら、SANCHの美味しいサンドイッチを食べて映画を観に行くぞ!…ふと、そっと出して下さる麦茶の味を思い出したのであった。
新潟 cafeガシマシネマ
「へぇ、佐渡島にも映画館があるんだ」たぶんTwitterで見かけたと思う。気になって調べてみると上田映劇が再開した2017年の4月にオープンしたとあって勝手に親近感。でも、月・火定休とあって、そこも映劇と一緒なのか!と行くタイミングを完全に逃してしまっている。ガシマシネマさんの寄稿を読むと「縁もゆかりもない別天地の佐渡島に家族で移住した」とあって、これまた勝手に再びの親近感!移住して、そして映画館をされている人がいる。私が知らなかっただけで他にもいるのかもしれないけど、そのことを知れてたまらなく嬉しくなった。定休日が被ってる!とかぐずぐず言ってないで、再開されたら行くんだぞ、もぎり。
茨城 あまや座
地元…とは言ってもあまや座さんがある瓜連は実家からはとても距離がある。それでも「茨城唯一のミニシアター」が気になり、去年6月弟に車を出してもらいお邪魔した。上田映劇でも上映が決まっていたのに、なぜかあまや座さんで井上淳一監督の『誰がために憲法はある』を観た。うえだ城下町映画祭で知り合った同じく茨城出身の根矢涼香さんを、あまや座さんはすごく応援していて、根矢さんもまたあまや座を応援しているのがとても良いなと思っている。上手く言えないのだけど胸がキュッとなった。上田映劇も上田の映画人を応援していきたい。あまや座さんの寄稿に私はちょっと泣いてしまった。だから、感想は書けません。何で泣いてしまったか、すぐにわかるので読んでください。
新潟 高田世界館
「上田映劇は高田世界館と似ている」と新潟日報の方に取材していただいた。光栄であり、恐縮である。似ているかはさておき、私は高田世界館さんを勝手にお兄さんのように思っている。建物も、上野支配人も。「「つっかけ(サンダル)で来られる映画館」それくらいの気軽さでありたいと思う」という一言に少し顔が綻ぶ。それってちょっと違うかもれないけど「お客さんがじまん焼きとかお菓子を差し入れてくれる映画館(上田映劇のこと!)」な雰囲気と似てるのかもって。あれやっぱり似てるのかな。でも、高田世界館さんがすごいなと思うのは「街と共にある」っていうのが伝わってくるところだと思う。正月に餅つきする映画館、なんて素敵なんだろうか。でも実はまだ一度もマサラ上映にお邪魔したことがないので、次こそは参戦するぞ!
おわりに
『映画芸術』読んだよ!という方は、一言でも全然OKです!#映画芸術 でSNSに投稿してみてください。きっと感想を書かれた映画館のスタッフさんたちのエネルギーになりますよ!もしまだ『映画芸術』買ってない!という方、ぜひお手に取っていただけると嬉しいです。自分が寄稿したと言うのはもちろん大いにあります。(読んで欲しい!感想欲しい!そういうのは臆せず声にしていくスタイルです!)でもそれ以上にこんな風に思わず指を走らせてしまうほど、様々な想いが綴られているのです。映画館というのはバラバラのように見えて、繋がっている。他の映画館について知ることは身近な映画館を知ることにも繋がっているのではないか、私はそう思います。感想を綴っていたら、映画館に行きたくなりました。早く映画館で心置きなく映画が楽しめる日が訪れますように。
ミニシアター・エイド基金
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