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あなたは、なぜ山に登りますか。

「そこに山があるから」ですか?

こんにちは。木暮です。

多趣味とも言えないですけれど、私には好きなことがたくさんあります。

オールシーズンやるのは水泳。赤ちゃんの時に始め、中学生の競泳時代を経て、趣味と化しました。あとランニング。気が向いたらという感じですが、最近は9月からほぼ毎日走っています。

頻度は少ないですけれど、落語鑑賞も好きです。春風亭一之輔さんばかり聴きます。

夏はダイビング。大学卒業する直前にオープンウォーターダイバーの資格を取りました。たくさん経験を積むと資格のランクが上がり、深く潜れたり、難所に挑戦できたりするのですが、コンスタントに潜るのってなかなか難しいです。今年は遠方へ足を伸ばせなかったので、一番最後のダイブはちょうど1年くらい前になってしまいました。セブに一人で行き、ジンベエザメの群れを観てきました。

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海に行きたい。

旅行も趣味なのですけれど、この1年間は。。。今年の2月に台湾へ行ったのですけれど、時節柄ギリギリでした。3月から半年間は都内を出ずに過ごしました。

あと前にも書きましたが、盆栽を始めました。それに本を読んだり、YouTube観たりするのも好きです。

そんな中で最近、新しく私を引き摺り込むものがあります。

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山でございます。(すごいガス

山への興味

幼い頃は、父に連れられ、家族で何度か登山に行ったことがありました。父は大学で山岳部の主将をやっていたことがあり、家族の中で一人、気合が入っていました。立山とか乗鞍岳だったと思うのですが、小学生だったので記憶が曖昧です。ただ、とてもしんどかった覚えがあります。

それから山に登る機会というのはほとんどありませんでした。大学時代、富士山に1合目から登ったことがありましたが。スニーカーで、完全に遊びに行った感覚でした。完全に舐めています。

そんな私が先月、群馬県にある「日光白根山」に登ったのです。そこで何かが目覚めたのでした。

山を嫌いになれない娘

山が好きな私の父は、私が高校生の時に山で亡くなりました。彼はまだ雪のたくさん残るGWに山へ行き、47歳で生涯を閉じました。

学生時代に山岳部の主将として活動した父でしたが、私を含め、家族は全員、「お父さんは山が好き」くらいの認識しかありませんでした。登山がどれほど過酷で、父がどのような経験を積んできて、死の直前にいかにハードな山行をしてきたかなど、存命時に知ることはなかったのです。父の死後、それらは明らかになります。

「大学に入った時、私が山岳部を薦めなければ…」と祖母はよく悔いていました。山そのものに嫌悪感があるような、そんな風な言い方をしていました。その一方、私は山を嫌いにはなれなかったのです。父は山が好きだった。彼はすべての情熱を注ぐほど仕事のことを大事に思っていたし、私たち家族のことも愛してくれていたと思うけれど、山のことも大好きだったのです。さぞかし無念だったことでしょうが、そんな彼が好きなものを、私も好きになりたいと心から思うのです。

山への目覚め

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先月の日光白根山は一人で登ったのですが、やはりスニーカーを履いていましたし、山への知識は全くと言っていいほどありませんでした。

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父の教訓から、しっかり入山届けは出しましたが、あとはYAMAPというアプリでルートを確認して、それだけです。

でもこの山行で「この装備ではだめだ」「もっと山に登ってみたい」という気持ちが芽生え、本格的に登山を学びたいと思うようになりました。

山行計画を書きたまえ

最近出会った大学生に「今度八ヶ岳の赤岳に登る」という話をしたら、「山行計画書いてます?」と聞かれました。「携帯アプリの地図見てるだけ」と正直に話したところ、

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「それはダメです」ということで、山行計画の立て方や装備について丁寧に教えてくれました。すごい…こうやるんだ…と感心している自分が情けないです。父に怒られます。山の地図って結構詳細に載っているのですね。ポイント間の目安時間も書いてあります。どのポイントからどのポイントまで何分かけて歩き、どこで休憩をとるかを考え、それに伴い、何時にスタートすれば良いかを決めます。

まだ仮ですが、こんな感じで書いています。

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あとは装備を揃えます。まずは靴を登山靴にして

あとレインウェアが必須とのことなのでこれを。

ハットとか時計とか、そういうのももちろん揃えます。そして最近見ている「元OL登山日記byかほ」さんの赤岳の動画を見てさらに装備に不安を覚えます。ルートは違うのですが、さすがにこれまでのノリでは登れないとわかります。すると、Tくんはかほさんの動画にも出て来ている、mont-bellのヘルメットを譲ってくれました。あと、岩や鎖を触っても大丈夫なように、ゴム製の手袋も譲ってくれました。何から何まで…ありがとうございます…

クライマーのマインド

Tくんからは、携帯に計画を記すのではなく、紙で用意し、少なくとも3枚は用意するように言われました。1枚は入山届と一緒に提出するもの。あと、自分が確認したり記入したりするもの。そして、家に残してくるもの。何かあった時に、他人から見て自分がどこにいるかのヒントになるのだそうです。父があの日、自宅に山の天気を調べた形跡を残したのは、行方不明後の捜索のヒントになりました。山行計画はなかったけれど。歩きスマホしながら登山はできないですし、携帯が何らかの原因で故障するかもしれないので、紙にするのは必須なようです。

Tくんは高校生の時に山岳部だったそうで、当時の山行計画を見せてくれました。「どれが一番大変だった?」と聞いて帰って来た返答は「1年生の時の、3泊4日の北アルプス」でした。山岳部はチームプレイ。山という厳しい環境では、「誰かを置いて、他は全員山頂を目指す」ということはありえません。部活のメンツによって行く山は変わるし、組まれる山行計画も変わります。Tくんが1年生の時の部活は全体的にレベルが高かったので、一番大変だったそうです。1年生の彼は必死に食らいついて登ったそうですが、きっと最高の山行になったのだろうなと思います。

私が中学生の時、部活でスランプを経験したことがありました。メンタルが相当参っていた上、お年頃もあり大変難しい時期でしたが、その時に父がくれた手紙を思い出します。どんな文脈だったか思い出せませんが、山岳部の頃の話が書いてありました。「山は全員で登るもの。ある山を登っていた時、一緒に登っていた仲間が、恐怖で足を進められなくなった。それで全員で山を降りたんだ。引き返すのも勇気。」そんなことが書いてありました。山頂がいくら目の前にあっても、全員で行動しなくてはならないのです。私は自身の人間性が未熟であるがゆえ、人に合わせることが不得意で、自分でどんどん進めてしまうところがあり、人からもよく「相手の事は考えてる?」と諭されることがあります。Tくんが言っていることと、父の言っていることが重なり、そのクライマーたるマインドに心が打たれたのでした。

なぜ山に登りますか。

なんだか最近、本当になんとなく、自分の中の何かが行き詰まっていると感じています。人生になのか、それとも学業になのか、仕事になのかはよくわかりません。パッとしない感じです。それの解決法として登山があるわけではないのですが、それでも次に登りたい山のことを考えると少し胸が晴れるような気がするのです。人生というものが、よく登山に例えられることがありますが、確かにそうかもしれません。

父が生きていたら、むしろ山に登ろうとは思わなかったかもしれませんが、山に登る娘のことをそっと見てくれていたらと願っています。大きすぎる志を抱き、ほんの少しの経験を引っ提げて社会に挑むも、よくめそめそくよくして迷走する娘が、父へ、そんな人生について語りかけるように山に登りたい。

あなたは、なぜ山に登りますか。

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