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今日を肴に、今宵も一杯。⑤餅と鶏の揚げ出し

前回はこちら。
https://note.com/fyu529648/n/n63a08119e519


今日の晩ご飯はなんにしよう。
毎日毎日悩む。単純計算で365日×3食作るのだ。そりゃバリエーションも尽きてくる。

夫は「何でもいいよ」。
作るから案出しくらいはしてくれ。

息子は「マック!」。
日曜日に食べたばっかりでしょ。 


この頃は、外食や冷たいものが続いているから、胃腸はちょっと疲れ気味。
今日は、身体を労ってあっさりヘルシーな和食にしよう。


そう思いながら、昔 母からもらったレシピ本をパラパラとめくる。うーん家にある食材となかなかマッチしないな…。

ある文字を見て、ピタッと手が止まる。

「もちと鶏の揚げ出し」

…もちと鶏の揚げ出しィ……????
(CV:松重豊)


なんだそれは。

写真を見てみると、カリッカリにあげたお餅と鶏もも肉に和風出汁がかけられ、そこにちょこんと大根おろしとおろし生姜がのせてある。

なんだそれは。(2回目)

美味いに決まってるじゃないか!!!!!


ちょうど餅もある。
お誂え向きに、鶏もも肉も一口大のサイズにカットしたものを冷凍庫に凍らせてある。

5秒前に「今日は身体にやさしくヘルシーなご飯にしよ♡」なんて、考えていた意識の高い私はどこへやら。
カロリーこそ正義。

何より、これは絶対酒に合う。

つい最近、息子がしっかと掴んで離さず、仕方なく購入せざるを得なかった角餅を切っていく。ありがとう息子。きっとこうなることをわかっていたんだね。
本人は買ったことなど忘れて、今は玉置浩二の田園のPVを見ているけれど。今日だけで4回リピしてるよ君。

鶏もも肉を取り出し、下味をつけていく。レシピにはめんつゆと書いていたけれど、ここはあえて白だしでいかせてもらう。


油に菜箸の先をつけると、細かな泡がプチプチ上がる。そろそろ頃合いかな。

まずは、もちを入れる。コロコロ転がしているうちに、四隅からぷくぷくしてきて、あっというまにぷわわーっと膨らんだところでひょいひょいっと取り上げていく。
これ、そのまま塩かけて食べても美味しいな絶対。


次に、下味をつけて片栗粉をつけた鶏もも肉を揚げていく。低温でしっかりあげて一度取り出し、全部の鶏肉を揚げ終えた後、温度を上げた油に再度入れる。表面がいい感じにカリッとしてきた。


揚げたおもちと鶏肉をバランスよく盛り付けて、温かい白だしあんかけを上からかけ、仕上げに刻んだ青じそを乗せる。

スーパーで安かった水菜サラダを皿に出し、モロヘイヤと豆腐の味噌汁、きゅうりとわかめの酢の物を机に置いて今日の晩ごはんの出来上がり。
息子のお皿には餅を細かく細かく切って出す。


揚げ物だからビールもいいと思うのだけれど…。
お出汁だから今日は日本酒。「手取川 純米大吟醸 生原酒 百万石乃白」だ。


揚げた餅と鶏。ギルティの塊にかけた出汁あんかけの優しい味わいで、罪悪感を紛らわす。
我ながら揚げ具合が天才。
そこにスッキリした手取川のひやを流し込む。

こう言うのでいいんだよ。こう言うので。
(CV:松重豊)


あーーー確かにこれは大根おろしとおろし生姜がいいなこれは。


「揚げ出し」がつく食べ物に弱い夫は、無口ながらもどんどん平らげていく。
「ショートケーキのいちごは一番最初に食べる派」の息子のお皿はもう空っぽだ。
お気に召したなら何より。


揚げ物鍋の油の処理をしていると、今更ながらじわじわ「やっちゃった感」が這い上がってくる。


正直、今日は揚げ物をする気はなかった。
なんならお酒を飲む気もなかった。
もやしと豚を蒸すか、鶏むね肉で鶏ハムを作ろうかくらいの気持ちだったのに。

今の私の胃袋の中には、油をたっぷり吸った餅と鶏もも肉が収まっている。



…明日こそは、ヘルシーな和食にするかぁ…。



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