EdGPTで教育支援|教育×GPT
近年、AI(人工知能)技術は教育分野でも大きな変革をもたらしています。
その中でも、EdGPT(エドジーピーティー)は注目すべき存在となっています。
参考資料:Guidance for generative AI in education and research | UNESCO
EdGPTモデルとは
EdGPTは、OpenAIが開発したGPT-3.5アーキテクチャをベースにした言語モデルであり、教育の領域において学習者や教育者に革新的な手段を提供することを目指しています。
ChatGPTなどを支えている「大規模言語モデル」は様々な領域の知識を持っていますが、さらにこれを教育目的に役立つように特定のデータでトレーニングされるGPT(言語生成モデル)です。
ベースがChatGPTでおなじみのGPT-3.5なので、高度な言語理解力と生成力により、教育分野において革新的なアプローチを可能にしています。大量のデータを学習し、文脈に即した自然な文章を生成できる点が特筆されます。
EdGPTによる教育支援の可能性
いくつか例を挙げてみましょう。
カリキュラム設計支援(UNESCO案)
・個別最適化された教育アプローチや特定のカリキュラム目標の提示
・学習者のレベルに合う資料(レッスンプラン、クイズ、インタラクティブな活動など)を生成する。
教材の作成
EdGPTは大量のデータをもとに学習しており、特定のトピックに関する高品質な教材を自動生成することができます。例えば、特定の講義や科目に関する要約、説明、例題、クイズなどを生成し、教員はこれを基により充実した教材を構築できます。
質問応答サポート
EdGPTは質問とその受け答えに優れています。学生が特定のトピックへの質問を投げかけると、EdGPTが即座に回答を提供できます。これにより、学習中の疑問や理解の深化が期待できるかも。
個別学習支援
EdGPTは学生の進捗データや学習スタイルに合わせて個別の学習支援を提供できます。学生が特定のトピックで苦手意識を抱えている場合、EdGPTはそれに基づいて追加の説明や補足資料を生成し、より効果的な学習をサポートします。
柔軟な授業計画の立案
EdGPTを活用することで、教員はより柔軟で適応力のある授業計画を立案できます。学生のニーズや進捗に合わせて授業内容を調整しやすくなり、より効果的な教育を実現できます。
学生のライティング支援
EdGPTは高度な文章生成能力を備えています。これを利用して、学生がエッセイやレポートを書く際に、EdGPTが提案するアイデアや文章を参考にすることで、ライティングスキルの向上が期待できます。
言語学習支援(UNESCO案)
1対1の言語スキルコーチでは、特定の言語に適したテキストでファインチューニングされたGPTを使用して、練習用の模範的な文章、段落、または会話を生成するために活用できる可能性があります。
学習者がモデルと対話すると、適切で文法的に正確なテキストを彼らのレベルに合わせて提供することができるという感じです。
理論的には、EdGPTモデルの出力には、通常のGPTよりも一般的なバイアスや他の問題のある内容が少なくなる可能性がありますが、依然としてエラーを生成する可能性はあります。
そのため、教師や学習者が、生成される成果に対して批判的な視点を持つことが依然として重要となります。
大学での実装例
現在、教育におけるGPTのよりターゲットされた利用のための基礎モデルのファインチューニングは初期段階にあるものの、いくつかの事例が報告されています。
例① 東華師範大学:EduChat
教育や学習のためのサービスを提供し、そのコード、データ、およびパラメータがオープンソースとして共有されている。
例② TAL教育集団:MathGPT
数学関連の問題解決と講義に焦点を当てたGPT
今後の発展に向けては、GPTの基礎モデルのファインチューニングに注力する必要があります。
単に学科知識やバイアスの除去にとどまらず、関連する学習方法に関する知識を追加し、それをアルゴリズムやモデルの設計に反映させることも不可欠でしょう。
課題
EdGPTモデルが学科知識を超えて学習者中心の教育法や肯定的な教師との相互作用を目指すことができるか。
学習者や教師のデータを倫理的に収集し利用してEdGPTを向上させるためにどの程度まで収集することが適切か。
EdGPTが学生の人権を損なったり教師の権限を弱めることがないようにするために、しっかりした研究が必要。