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【FX/株】利下げ織り込みを考察 2024年vol.21 5月20日週振り返りと5月27日週見通し

現在の株式市場では、金利安期待による上昇効果は薄れ、いわゆる”業績相場”となっています。1.2回の利下げを織り込んでいると思われ、これ以上の株高は実態を伴う経済成長にフォーカスされています。そんな中で最後の注目決算だったエヌビディアは申し分なく、半導体業界に限っては楽観的相場が続いています。

一方で消費や景気観は少し陰りが見えており、インフレ低下の”期待”と”不安”が入り混じる相場になっています。インフレ低下+底堅い消費がベストシナリオのわけですが、引き締めが続く高金利下で一般消費の低下には、株式投資家はセクターによっては慎重になっています。

CPI前後で今後はインフレは緩やかに低下すると、安心感のある相場になっていますが、今週FOMC議事要旨では少しタカ的な内容もみられました。今週PMI、ミシガンでは、米金利に大きな見通しの変更はないですが、サービス指数については少しお話します。その他にも、日本経済や為替などについてもコメントしていきます。



ラジオを更新しました。
5月24日公開 #28 ファンダ編 『株式投資と現在の相場感』


米材料振り返り

FOMC議事要旨 5月23日(水)

FOMC議事要旨(Federal Open Market Committee Minutes)は、連邦公開市場委員会(FOMC)の会合の詳細な記録です。通常、会合後3週間後に公開されます。この議事要旨に記載された内容・ニュアンスと市場心理に差があると、金利や株式市場に影響を及ぼすため、注目されます。

今回FOMC議事要旨によると、FRB当局者は直近のインフレ率に失望しつつも、中期的にインフレ率が2%に回帰すると予想しています。ただし、ディスインフレには時間がかかるとの見解も示されました。政策金利は当面据え置く姿勢を示しつつ、インフレリスクが顕在化した場合には、さらなる引き締めも検討するとし、ここがややタカ的に認識されました。議事要旨発表後、米国債利回りは上昇し、年内の利下げ観測は後退しました。

ややタカ的にと解釈された”利上げの可能性”は、もしも引き締めが必要なれべるまでインフレが亢進すればのことであり、現在はこのままの金利水準でいけばインフレ2%に向かうとのが大方の見方です。個人的には特にサプライズは感じませんでした。



米PMI 5月23日(木)

PMI(購買担当者指数、Purchasing Managers' Index)は、経済の健全性を評価するための重要な指標です。PMIは製造業やサービス業など特定のセクターの活動を測定し、経済の成長や収縮の兆候を把握するために使用されます。また、PMIは50を基準値とし、50を上回ると経済の拡大、下回ると経済の縮小を示します。総合PMI、製造業PMI、サービス業PMI、の3種類があります。

<4月結果>
総合PMI: 54.4(予想: 51.1 前月: 51.3)
製造業PMI: 50.9(予想:50.0 前月: 50.0)
サービス業PMI: 54.8(予想:51.2 前月: 51.3)

今回のこの結果は多少インパクトがありました。というのも総合PMIが2年ぶり?の高水準を記録したこともありますが、これまで低迷していた消費に関するサービス業PMIが好調だったからです。

ここ最近は製造業の堅調さが言われていましたが、サービス業まで好調となると、インフレ↑とまではいかないまでも利下げ期待は後退します。これにより米金利は上昇し、10年債は4.5%を付けました。

米10年債チャート


米ミシガンインフレ 5月24日(金)

ミシガンインフレ指数は、米国のミシガン大学が実施する消費者調査の一部で、消費者のインフレ期待を測定する指標です。消費者が予想する物価上昇の度合いを測定し、短期(1年)と長期(5~10年)のインフレ期待を集計します。ミシガン消費者信頼感指数も同時に発表され、この指標は、消費者の信頼感や景気見通しを測定し、経済活動の先行指標として広く利用されています。

<4月結果>
ミシガン大学1年期待インフレ率: 3.3%(予想: 3.5%、前月: 3.2%)

ミシガン大学5年インフレ予測: 3.0%(予想: 3.1%、前月: 3.0%)
ミシガン消費者信頼感見込み最終: 68.8(予想: 65.5、前月: 76.0)
ミシガン大学消費者信頼感指数: 69.1(予想: 67.4、前月: 77.2)
ミシガン消費者信頼感予備: 69.6(予想: 68.8、前月: 79.0)

この結果だけを解釈すると、インフレは予想より低いが1年後のインフレはやや上振れ、消費感は予想よりもいいが前回よりは低下気味となります。詳細は省きますが、過去の傾向も加味すると、インフレはいい感じに低下傾向にあり、消費感はやはり落ち着いているものの底堅い可能性があると考察しております。



FRB高官発言

ボスティック総裁:インフレ率が目標の2%に戻る軌道に乗るには時間がかかると述べ、物価情勢が不安定であり、利下げ後も政策金利が高く安定する見込みを示しました。また、利下げがインフレを刺激し、経済を不安定にすることを懸念し、利下げには慎重なアプローチが必要との見解を示しました。

バー副議長:インフレ指標の期待外れに言及し、利下げは保留する姿勢を示しました。ジェファーソン副議長もインフレ指標の鎮静化を喜びつつ、インフレ率が2%に戻ったかどうかの判断は時期尚早と述べ、利下げの開始時期は注意深く見極めるべきだとしました。

メスター総裁:現在の金融政策の制約性を指摘し、インフレ率は低下するものの急速ではないと述べ、利下げの適切性について疑問を呈しました。

ウォラー理事:最新のインフレ指標は安心できるものであり、政策金利は適切に設定されていると述べ、追加利上げはおそらく不要だと指摘しました。また、自然利子率上昇の可能性について発言し、金融政策や金利見通しには触れませんでした。

インフレは緩やかに低下する見込みであるが、利下げ時期を定めるには時期尚早であるという見解です。全体的に相場感にずれは少なく、相場の安定性が伺えます。



米金利

今週米金利は2年債は4.95%、10年債は4.5%まで若干の上昇となりました。きっかけはPMIですが、FOMC議事録もアシストになっていますね。

金利安をある程度織り込んでいるところに利下げ期待が後退したことにより金利上昇しましたが、利下げも現実的なことから10年債は4.5%前後で安定感があります。今後利下げ期待が1回に近づくほど、さらに米金利上昇になる可能性を想定します。



米国株

まずは今週注目のエヌビディア決算。FY25Q1決算はEPS $6.12(予想 $5.58)、売上高 $26.04B(予想 $24.59B)、四半期(Q2)ガイダンス売上高 $27.44B~$28.56B(予想 $26.84B)となり、文句なしの結果となりました。株式10分割も発表され、株価が上がりすぎたことによって変えなかった人も買いやすくなりました。ただし企業価値自体が上がるわけではないので、投機的な買いで高値掴みをしないように注意が必要です。

こちらは今週のナスダックの推移です。PMI後の金利高により株安となりましたが、金曜日にはミシガンアシストもあって、買い戻して終わっています。ただし月曜日は米市場休場ともあってか、出来高は少なかったです。

ナスダック

こちらはNYダウですが、今週2.34%の下落となりました。今週つぶやきでもお伝えしましたが、今は業績相場であり、セクターによって差が出ている状況です。よって、構成銘柄的に今週の騰落率で、ナスダック>SP500>ダウとなっています。



日本経済

5月24日(金)に日本消費者物価指数に発表されました。前年同月比は、総合値2.5%、コアコア値は2.4%の上昇率となり、安定した推移を見せています。この水準や消費見通しでは、利上げ観測にはつながりにくいしょう。

今週日本株は-0.31%下落と小幅な動きとなりました。エヌビディア決算を受け、5月23日やや上昇を見せましたが、米PMI後の米金利高株安を受け、週足は陰線となっています。

現在の日本株はパフォーマンスに苦労している印象がありますが、日本株は終わっていると捉えるには違和感を覚えます。ここ最近の日本株の上昇は、デフレからの脱却、円安、中国資本の流入、米金利安期待、新NISA制度開始など多くの要因により上昇してきました。

昨年と今年(5月24日時点)の米国株と日経のパフォーマンスを比較してみると、以下のようになります。ナスダックはさすがのパフォーマンスですが、日経のパフォーマンスがどれだけ優れているか分かります。

最近の日本株の上値の重さは、世界的な景気後退による懸念、日銀の利上げに対する懸念、日本政治の不安定性が影響していると思われ、これまで注目されてきたギャップによって、買いが落ち着いていると解釈しています。

なにを基準にするかによって、買われすぎかどうかの判断は変わると思いますが、PERをみても(日経21.64、ダウ27.28)日経が買われすぎ水準とは思いません。よって日経は今後も安定して推移すると想定していますので、特に心配はしておりません。

ただし米国株と比べて今後のパフォーマンスは目減りする可能性が高く、これは企業の収益に起因します。ここ2年くらいと同じような期待をしすぎると、ギャップを感じるかもしれませんね。

先週実質GDP推移を取り上げ、1Qの実質GDPが-0.5ポイントでしたが、内閣府は今年度もプラス成長率を想定しています。

デフレマインドから脱却は簡単ではありませんが、春闘は良い結果でしたし、企業決算からはボーナスも大きな上振れを想定されますので、日本経済だけ1人負けのような状況にはなりづらいと思います。



ドル円(5月27日週見通し込)

米財務官のイエレン氏に「為替介入はまれで、行うなら事前に伝えるべきだ」との発言や、神田財務官による「過度な変動あれば適切な行動をとる」との発言より、再び為替介入を警戒されているように思えます。恐らくドル円が3回目の為替介入をしたところを突破し、2回目の為替介入ラインまで近づいてきているからでしょう。

私は前回の為替介入ラインを意識して為替介入を懸念してはいません。あくまで過度な投機的な為替変動に対する措置と認識していますので、今のドル円の為替変動は比較的安定していると思われます。よって、価格帯だけでは実際に為替介入されることはなく、変動幅に注意するとよいでしょう。

ただし、実際の為替変動は”為替介入した価格帯”として、抵抗帯として機能はすると思われますので、トレードには活用します。

今週は2円弱の上昇と為替に沿った動きとは思いますが、日本の長期金利も上昇しており、円高に反応していないことは投機的でないかとの声もあります。個人的には、日米金利差はまだ10年債でも3%以上あり、日米インフレ差をみても、円安傾向に変わりはないと思います。

日本10年債利回り

ただし将来的には金利差は縮小が想定され、米金利安や日利上げには反応しやすいタイミングもあると思います。日本と米経済、インフレ差に注視しますが、現在はその度にドル円押し目を狙うのは有効戦略と思います。

<5月27日週見通し>

5月27日週の材料としては、注目米指標5月31日(金)PCE、月末に伴う円買いが想定されます。テクニカル的には、月足高値(始値)水平線ラインの158円、為替介入ライン157.600、週足安値151.800、5月24日(金)終値157円を参考にします。

米金利はもう少し上昇の余地がありますが、米指標材料無しでは10年債4.55%付近までと想定されるので、5月31日(金)PCEまでの上値抵抗帯は、157.600-158.100と想定します。

PCEがかなり上振れると160円を超えてくる動きも想定されますが、為替介入が始まった160円、そこまでの上昇は変動幅としても介入リスクとなるため、かなり意識されますので、今週大きく抜けることは想定していません。

想定レンジ:155.000-159.000



ユーロドル(5月27日週見通し込)

先週シナリオでは、久々の売りシナリオをお伝えしましたが、やはりタイミング難しくズルズルと下げていく展開でした。インスタのストーリーでユーロドルの売りを先出ししました。PMI次第とギャンブル寄りなトレードになりましたが、タイミングやRR的には悪くない勝負だったと思います。

とはいえ今週ユーロドルは陰線も、金曜には木曜日PMIから下げたライン付近まで上昇してきています。これはユーロ圏PMIの好調さが金利上昇に働いたことが要因です。

<5月27日週見通し>

今後も米金利や経済状況よりユーロドルは下降トレンドを想定しますが、来週ユーロ圏のGDPやCPIによる金利高、PCEでは米金利安の可能性もあり、月末フローを加味すると、来週週足ではユーロドル上昇となる可能性もあります。

中期的な1.100付近の売りシナリオには変更なく、引き続きユーロドル下降トレンドを想定しますが、来週程度の短期的には売りは引き付けることも想定したほうが良いと思います。



5月27日週見通し

<主な材料>
※5月27日(月) 米・英市場休場
月末週

太字は注目指標
5月28日(火) 日銀インフレコア指標
5月29日(水) ドイツCPI
5月30日(木) スペインCPI、米GDP・deflator
5月31日(金) CPI(フランス、イタリア、ユーロ)、米PCE

現在、米金利安はある程度織り込まれている状況です。FED Watchを見てみると、9月の利下げは半数、年内だとほとんど織り込まれてしまっています。

今週GDPやPCEの結果では、予想や前回値と比較して乖離がないと米金利に大きな米金利変化はないと思われます。特にPCEはFRBも重要視するインフレ指数の1つです。

製造業もサービス業も堅調な環境下で、PCEが多少下振れたとしても、これまでの米相場の強さを鑑みると、利下げ1回が2回になる織り込みになるとは思えません。この月末で利下げ期待が加速するには、GDPやdeflatorの下振れのアシスト+PCEやや下振れか、PCE単独なら総合値2.5%、コア値2.6%くらいの弱さが必要かと思います。

5月27日週だけでは、10年債利回り下限値は4.30%、無難な指標結果では4.4%と想定しています。強い結果でも4.55-4.60%の想定です。

株式市場ではAIをはじめとした半導体関連銘柄は堅調な推移が想定されますが、小売高や食品系はまだ様子見ながらも、急速な米経済の衰退がなければ、少しずつ買いが戻ってくると想定されます。よって、今週PCEで金利高となれば株安反応も想定されますが、暴落の恐れはなく、下げれば買い戻しも検討します。特にナスダック・SP500は底堅いと思います。

今週指標はあくまできっかけ程度と考えており、短期的に相場が大きく動くのは雇用統計やISM、FOMCによるドットチャート、CPIと多くの材料が揃う必要があるでしょう。

月末は変に荒れることもありますので、無理ないトレードをこころがけましょう!!


今回もご精読頂き
誠に有難う御座いました😄

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