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042 マーケティングとは「マーケットる」である

英語にはingを用いた動的表現がある

説明するまでもなく「ing」とは「~している」という現在進行中の動作 すなわち「自身の変化」を現わす表現である

簡単な中学生英語のはずだけど 日本語ではこのing発想がうまく表現できないようだ

たとえばマーケティングという言葉

日本語でもマーケティングとしか訳せない

マーケットは市場と訳せるのに「ing」が付いただけでうまく訳せないって不思議だよね

英語圏では「動的dynamic」「静的static」の区分がよくされるけど どうやらingは前者に該当する

この発想が日本人にとって分かりづらいようだ

今回はそんな「ing発想」について書いてみた


マーケティングとは「マーケットる」である

ちなみに世間ではマーケティングをどう説明しているのか

グクってみたら「市場調査」「広告宣伝」「売れるしくみづくり」という説明が多かった

もちろん間違っているわけじゃない

というか専門家も含めて普通に使っている説明である

でも敢えて聞いてみたいね

なぜ market + ing という言葉が「市場調査」「広告宣伝」「売れるしくみづくり」になるのか?

繰り返しになるけど 「ing」は「~している」という「自身の変化」を現わす表現

であれば単純に「マーケットる」または「市場る」とでもした方がニュアンス的に正しい

その方が率直に「自らマーケットの中に飛び込みマーケットの一部と化す」というマーケティング本来の動的な意味が伝わるからね

これに対して「市場調査」「広告宣伝」「売れるしくみづくり」って言うと、マーケティングがあたかも「技術の課題」のように聞こえてしまう。

もちろん技術も必要だけど、それがマーケティングの主旨じゃない。

マーケティングは「適応の課題」に対する解決策。

市場適応のために自らを変えて行くプロセス全体がマーケティングであり、「市場調査」「広告宣伝」「売れるしくみづくり」みたいな作業レベルの話じゃない。

どうも日本人は、自分自身の変化を考慮すること(ing発想)が苦手なようだ。

私も含めてだけど物事を静的に眺めてしまう癖がある。

「〇〇る」というing発想

日本語自体が動的表現に向いていない中において 最近「〇〇る」という動的な表現が増えている

「〇〇る」の例
ググる グーグルで検索すること
バズる SNSで急激に注目され拡散すること
ディスる 相手を否定すること

これらは全部ing発想だと思う

「ググる」は 単に教えてもらうんじゃなく自ら調べるというing発想

「バズる」「ディスる」は「相手のある話」を前提に置き 自分の行為が誰かに影響を及ぼすことを示唆したing発想である

ちょっと こじつけ臭かったかな

でも これまでみたいに「グーグルを使って調べる」みたいな表現より 「ググる」の方が理屈っぽくなくて良い

「自分自身も変化の一部である」ことが前提の「今すぐ感」があると思う

日本人がing発想を苦手とする理由

最近になって「〇〇る」が使われるようになったとは言え もともとの日本語は静的

その言葉を使っている日本人も「ing発想」を苦手としている

これはたぶん農耕民族だったことが関係していると思う

農耕民族って四季に合わせて毎年同じことをするよね

生産性を決めるのは土地と天候であり 人間はそれに合わせるだけ

狩猟民族のようにターゲットに向けて自ら動いていくという発想じゃなく、収穫のよい場所を見つけたら、そこに永住する発想が強い

例えば日本人らしさでもある「効率的な型を見つける」「それを愚直にこなす」そして「その型を代々受け継ぐ」などはその現れだと思う

日本人の仕事の特徴
✔過去の伝統を大切にし愚直に「型」を守る「真面目さ」
✔閉鎖空間でひたすらものづくりに励んだ挙げ句の「ガラパゴス化」
✔就職(job-hunting)と言いながら実際は「就社の慣習」
✔何を学んだか(学位)よりもどこの出かが問われる「学歴主義」

こういう国民性がある中「〇〇る」というing発想な表現が現れたのは幸いだと思う

日本人もようやく自らを変える在り方になろうとしているのかもしれない

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