結局人はいつか死ぬ

俺のおじいちゃんはメカだ。
ロボだし、普通に改造人間だ。

去年の暮れに親から、おじいちゃんは年明け前に死んでしまうかもしれないと連絡が来た。
俺は少し悲しかったが、なぜかおじいちゃんは死なない気がした。
結果あいつはピンピンしながら退院して、普通に今も入院したり退院したりを繰り返している。

おじいちゃんは癌になった時、医者から生存確率が低いと告げられて普通に生きて帰ってきた。
胃腸の手術をして、その後傷口から急に内臓が飛び出ても生きていた。
睡眠時無呼吸症候群で死にかけても、現代医療のお陰もあるがやはり何故か生きている。

若い時には会社を急に辞めて、たこ焼き屋を開店するべくたこ焼き屋の車を借りてきたりしていたらしい。
なのに生きている。
そんなやつはもはやメカニックジジイだと考えるほかないだろう。

この俺も四半世紀生きてきて病気こそないが、普通の人間なら鬱になり自殺を考えるであろう道のりを元気に歩いてきたと自負している。
借金に追われて、学校を辞めて、いろんな悪いことをして、家がなくなり、いろんな大事で大切なものをなくしてしまった。
でも、今もピンピン元気に生きている。

このマインドはおじいちゃんから来ているんじゃないか。
あのメカジジイが俺にくれた人生を生き抜く術だったんじゃないか。
そう思うこともある。

去年あたりにおじいちゃんの家に遊びに行った時、おじいちゃんは『だいちくんは本当のエッチをしたことがあるの?』という訳のわからない戦慄する質問をぶつけてきた。

俺はビビって『まだしたことない』と答えてしまった。


今週、お見舞いに行く時には教えてあげなきゃ。
俺、本当のエッチしたことあるよ。

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